前回のブログで、教え子の結婚式に参加したことを書きましたが、そこに当時の同じクラスの仲間も数人出席していました。
どの子とも久しぶりの再会を懐かしみました。
大学生として勉強している子も、就職して社会人をしている子もいましたが、その中で一人
「自衛隊」
としてがんばっている子がいました。
女の子です。
その子は小学生当時からめちゃくちゃ元気な子で、いつも大きな声を張り上げてはクラスを盛り上げてくれるような子でした。
女の子ですが、男の子顔負けのパワーがあり、ドッジボールをしては男子全員をぶっ飛ばすほどでした。笑
その子が高校生のころに会ったときに
「私は絶対自衛隊に入ります!」
と豪語していました。
そのときは
「こいつなら本当に入るかもな」
と思う一方で
「でも元気だけでやっていける世界ではないだろうから、大丈夫だろうか」
と心配もしました。
そして高校卒業後、その子は本当に自衛隊に入隊。
今年で5年目を迎えていました。
「先生、お久しぶりです」
話しかけてきたその子は、相変わらず体つきはがっしりとしていて、でもドレス姿だからアンバランスな感じ。
「お久しぶりです」
なんて丁寧な言葉もすっかり社会人らしく身についていましたが、表情はやっぱり昔のままの愛らしい教え子そのものでした。
披露宴の最中、その子とじっくりと話すことができました。
その子は、自衛隊としてやってきた5年間について、私に話したいことが山ほどある様子で、興奮気味にいろいろな話を聞かせてくれました。
聞くと、やっぱり、自衛隊という世界は全く甘い世界ではないということでした。
ハードな訓練
上下関係の厳しさ
私たち教員には想像もできないほどのものがあるようでした。
しかし、その子が言うには
「国を守るという任務を果たすために、必要なもの」
とも言っていました。
力強く。
聞けば、その厳しい世界に耐えられず、ギブアップしてしまう同僚も少なくないそうです。
さらに、女性だからこその辛さというもの存在するのでしょう。
元気が取り柄のその子も、ハードな訓練の話をしながら、ときおり思い出すかのように辛い表情も見せていました。
そんな、私も経験したことのないような厳しい世界を、もう5年も乗り切ってきたその教え子を見て、私は誇らしくなると同時に
「お前はもう俺を超えてるな」
素直にそう思えました。
私はその子に最も聞いてみたい質問をしました。
「お前、そんな世界をどうやって5年間も乗り切ってきたんだ」
この答えこそ、今の子どもたちに本当に必要なものになるんじゃないかと思えたのです。
私が小学校に戻った時に、子どもたちに身につけさせなければいけないものじゃないかと。
その子は、すぐに答えました。
「会話です」
…会話。
「とにかく、いつもいろんな人と話をしています。
上司に質問するし、先輩にアドバイスを求めるし、同僚に愚痴ります」
うんうん。
「自分はこう見えて、一人でたくましくやっていけるタイプじゃないんです。
だから、すぐに人に頼るし、人に支えてもらいます。」
「話しているうちに、辛いことも解決策が見つかることもあるし、解決策が見つからなくても、なんとなく、解決できそうな気になることってありませんか。」
あるある。
「それに自分、弱いくせに頭固いから、いろんな人の考え方を知ると、えーって驚くことがいっぱいあるんです。
そしたら、なんていうか、自分も違う行動がとれるようになるっていうか、同じ問題に対しても違う方法でやれるようになるんです。」
それそれ。
「そうやって、ここまでやってきました。ほら、私前からおしゃべりだったでしょ。あはは」
ありがとう。
やっぱりそうだった。
自衛隊として5年を立派にやってきた教え子の中に、大切な答えがありました。
会話。
会話力。
毎日の授業の中でも、繰り返しのように子どもたちには言っています。
「積極的に自分の意見を伝えなさい」
「友達の考えを聞きましょう」
「話し合って、新しいアイディアを見つけてごらん」
そういうことが授業中の課題を解決するのに有効になることもあります。
しかし、この教え子がするそれは、もう次元が違います。
心底、それが必要なのです。
それがなくては生き残れないと思っているんです。
だから、それに必死になってるんです。
私が今算数を教えている子たちが、社会人になり、本当に人を頼りたくなったときに、この教え子のような「会話」ができるでしょうか。
会話は、意欲だけでなくやっぱりスキルも必要です。
それに相手との信頼関係を築くだけの人柄も必要です。
この教え子は、自衛隊としては駆け出しですが、きっとそういったものが十分に身についているのでしょう。
小学生時代を思い出してもそう思えるし、久しぶりに会って話した感触からも、それは明らかでした。
だからこの子は生き残れているし、この子はきっと強い。
そう自然と思えました。
私が今教えている小学生にも、ぜひこんな資質を身につけさせたいと、久しぶりに心から思いました。
正直、それが十分にできているとはとても言えない今の自分の仕事ぶりに、情けなくもなりました。
だって、やはり毎日の算数において、そこに「必死」になるものはないから。
しかし、算数を言い訳にはできません。
算数をあきらめてはいけません。
今の私が子どもと接することができるその接点は算数だけです。
だったら、そこを極めるしかないのです。
自衛隊の教え子に、心から感謝します。
どの子とも久しぶりの再会を懐かしみました。
大学生として勉強している子も、就職して社会人をしている子もいましたが、その中で一人
「自衛隊」
としてがんばっている子がいました。
女の子です。
その子は小学生当時からめちゃくちゃ元気な子で、いつも大きな声を張り上げてはクラスを盛り上げてくれるような子でした。
女の子ですが、男の子顔負けのパワーがあり、ドッジボールをしては男子全員をぶっ飛ばすほどでした。笑
その子が高校生のころに会ったときに
「私は絶対自衛隊に入ります!」
と豪語していました。
そのときは
「こいつなら本当に入るかもな」
と思う一方で
「でも元気だけでやっていける世界ではないだろうから、大丈夫だろうか」
と心配もしました。
そして高校卒業後、その子は本当に自衛隊に入隊。
今年で5年目を迎えていました。
「先生、お久しぶりです」
話しかけてきたその子は、相変わらず体つきはがっしりとしていて、でもドレス姿だからアンバランスな感じ。
「お久しぶりです」
なんて丁寧な言葉もすっかり社会人らしく身についていましたが、表情はやっぱり昔のままの愛らしい教え子そのものでした。
披露宴の最中、その子とじっくりと話すことができました。
その子は、自衛隊としてやってきた5年間について、私に話したいことが山ほどある様子で、興奮気味にいろいろな話を聞かせてくれました。
聞くと、やっぱり、自衛隊という世界は全く甘い世界ではないということでした。
ハードな訓練
上下関係の厳しさ
私たち教員には想像もできないほどのものがあるようでした。
しかし、その子が言うには
「国を守るという任務を果たすために、必要なもの」
とも言っていました。
力強く。
聞けば、その厳しい世界に耐えられず、ギブアップしてしまう同僚も少なくないそうです。
さらに、女性だからこその辛さというもの存在するのでしょう。
元気が取り柄のその子も、ハードな訓練の話をしながら、ときおり思い出すかのように辛い表情も見せていました。
そんな、私も経験したことのないような厳しい世界を、もう5年も乗り切ってきたその教え子を見て、私は誇らしくなると同時に
「お前はもう俺を超えてるな」
素直にそう思えました。
私はその子に最も聞いてみたい質問をしました。
「お前、そんな世界をどうやって5年間も乗り切ってきたんだ」
この答えこそ、今の子どもたちに本当に必要なものになるんじゃないかと思えたのです。
私が小学校に戻った時に、子どもたちに身につけさせなければいけないものじゃないかと。
その子は、すぐに答えました。
「会話です」
…会話。
「とにかく、いつもいろんな人と話をしています。
上司に質問するし、先輩にアドバイスを求めるし、同僚に愚痴ります」
うんうん。
「自分はこう見えて、一人でたくましくやっていけるタイプじゃないんです。
だから、すぐに人に頼るし、人に支えてもらいます。」
「話しているうちに、辛いことも解決策が見つかることもあるし、解決策が見つからなくても、なんとなく、解決できそうな気になることってありませんか。」
あるある。
「それに自分、弱いくせに頭固いから、いろんな人の考え方を知ると、えーって驚くことがいっぱいあるんです。
そしたら、なんていうか、自分も違う行動がとれるようになるっていうか、同じ問題に対しても違う方法でやれるようになるんです。」
それそれ。
「そうやって、ここまでやってきました。ほら、私前からおしゃべりだったでしょ。あはは」
ありがとう。
やっぱりそうだった。
自衛隊として5年を立派にやってきた教え子の中に、大切な答えがありました。
会話。
会話力。
毎日の授業の中でも、繰り返しのように子どもたちには言っています。
「積極的に自分の意見を伝えなさい」
「友達の考えを聞きましょう」
「話し合って、新しいアイディアを見つけてごらん」
そういうことが授業中の課題を解決するのに有効になることもあります。
しかし、この教え子がするそれは、もう次元が違います。
心底、それが必要なのです。
それがなくては生き残れないと思っているんです。
だから、それに必死になってるんです。
私が今算数を教えている子たちが、社会人になり、本当に人を頼りたくなったときに、この教え子のような「会話」ができるでしょうか。
会話は、意欲だけでなくやっぱりスキルも必要です。
それに相手との信頼関係を築くだけの人柄も必要です。
この教え子は、自衛隊としては駆け出しですが、きっとそういったものが十分に身についているのでしょう。
小学生時代を思い出してもそう思えるし、久しぶりに会って話した感触からも、それは明らかでした。
だからこの子は生き残れているし、この子はきっと強い。
そう自然と思えました。
私が今教えている小学生にも、ぜひこんな資質を身につけさせたいと、久しぶりに心から思いました。
正直、それが十分にできているとはとても言えない今の自分の仕事ぶりに、情けなくもなりました。
だって、やはり毎日の算数において、そこに「必死」になるものはないから。
しかし、算数を言い訳にはできません。
算数をあきらめてはいけません。
今の私が子どもと接することができるその接点は算数だけです。
だったら、そこを極めるしかないのです。
自衛隊の教え子に、心から感謝します。