英国のEU離脱という衝撃的なニュースから一週間、選挙期間中ということもあってか日本では株と為替が比較的落ち着いた動きを示したために、急速に関心が萎んでいるようにも感じられるが、EU関係諸国の動揺は収まっておらず、国民投票やり直しを目指す動きはまだ穏当な方で、ロンドンがイギリスから独立かという話が出てきたり、UK存亡の危機かと思わせる動きがある一方で、この問題の根底にある「世代間の抗争」は日本も抱える課題であるため対岸の火事とばかりは見ていられない。
大騒動で離脱を決定したわりには実際に英国が離脱するには2年はかかると云われているが、その一歩は、さすがに聖書の国だけあると感じさせるものだ。
<英国が離脱なら、EUの公用語から英語を除外も> 2016年07月01日 00時22分 読売新聞より引用
英国が欧州連合(EU)から離脱した場合、英語がEUの公用語から除外される可能性が浮上している。
EUは加盟国が通知した言語を公用語として採用しているが、英語を通知しているのが英国だけだからだ。
英国を含む28か国が加盟するEUでは、イタリア語やスペイン語など24言語が公用語となっている。アイルランドとマルタも英語を自国の公用語としているが、両国がEUの公用語として通知しているのは、それぞれ古来の言語であるゲール語とマルタ語だ。
EUでは加盟国の国民が等しく情報を受け取れるよう、公式文書はそれぞれの公用語に翻訳され、会議でも通訳が行われている。ただ、英語、フランス語、ドイツ語のみで作成される文書もあり、英語が除外されれば、仏、独語の重要性が高まりそうだ。
ロイター通信によると、欧州議会のヒュブネル議員は27日、「英語を公用語のままにしておくには、すべての加盟国の合意が必要だろう」と語った。
離脱に2年も要するのは、数十年に及ぶEUとの間で結ばれた条約や取り決めや立法措置を整理しなおすという複雑な作業があるからだが(※1)、その第一歩となるのが、公用語の問題であるところが、「はじめに言葉ありき」を聖典にしている国々だと思わせる。
公用語や条約の改変は、その運用を考えれば現実的・実務的な問題だと思われがちだが、これはシステムの移行作業に比べれば、かなり観念的な問題かもしれないと感じるのは、「リブート」(福田和代)を読んだばかりだからかもしれない。 (『 』「リブート」より引用)
「リブート」は、関東に地盤をおく東邦銀行と関西に地盤をおく明徳銀行が合併するにあたり必要となった勘定系のシステムの開発・保守に粉骨砕身するSM(システムエンジニア)達を描いた話だが、地方銀行同士の合併で(しかも)顧客数が数百万から一千万程度の合併であっても、そのシステムの構築には下準備だけで四か月、本格開発に一年半の月日を要すると書いている。
もちろん英国はポンドを使用していたので、その点の作業は軽減されるだろうが、相対的にポンドの影響率が低下していたことや(※2)、あらゆる情報がコンピューターを介するようになっている現在を考えれば、28か国からなる組織から脱却する作業は、観念的な問題だけでなく、現実的な作業も膨大だ。
離脱を受け入れられない国民は多いし、離脱を先導してきた党首はその地位を降りると言い出すし、独立運動まで起こっているので、実務作業を話し合う段階ではないが、『システム屋を殺すのに刃物はいらない。システムトラブルと言えばいい』というほどに緊張感を伴う仕事が待ち受けているのだから、三枚舌外交で結論を先延ばしにせず、実務的対応が余裕をもってできるよう、早期に決着を着けるべきではないかと思っている。
こんなことを考えたのは、昨夜我が家のトイレがつまったからだ。
より正確に書くと、トイレがつまったというよりは、トイレの水の流れが悪いことで、排水管に異常が起こっていることが分かったのだ。
夜中に生ごみが腐ったような臭いが漂い、何事かと臭気のもとを探り、どうやら洗面所とトイレの排水管に問題がありそうだと分かったが、夜中のことでどうしようもなく、朝一番に「水回りお任せください」に電話することになったため、「リブート」のこんな言葉を思い出したのだ。
『すべてが順調に行っている時には、誰もシステム屋の存在など考えもしない。何かトラブルが起きれば、自分達の責任だと指をさされる。結局のところ、インフラを支える職場というのは、どんな仕事も同じ状況なのだろう。順調に動いて当然。誰も褒めてはくれない。
スイッチを押せば電気は届き、蛇口をひねれば水が出る。下水が詰まることはめったにないし、電車は時刻通りに運行して当然なのだ。』
その、めったにないはずの下水問題が生じたために、我が家は今、インフラを支える職業、縁の下の力持ちの有難さをひしひしと感じている。
大国の名誉や誇りも大事だろうが、それを見えないところで支えている人々がいることを頭に入れ、その人たちの負担が過重にならないよう、時間的に余裕ある話し合いが行われるよう願っている。
参照 ※1
<英国のEUからの離脱、2年かかる理由> 2016.06.24 Fri posted at18:26 CNNより一部引用
(CNN) 英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票は、離脱派の勝利で終わった。ただ、EUからの離脱は簡単ではない。28カ国からなる連合から抜け出るには最低でも2年は必要そうだ。
英国はEUの前身も含めると1973年から加盟国だ。英政府は今後、数十年に及ぶ同国とEUの間で結ばれた条約や取り決め、立法措置を整理し直すという途方もない作業に迫られる
http://www.cnn.co.jp/world/35084866.html
※2 通貨としてのユーロが幅を利かせるようになり、都市銀行でもポンドへ両替ができる所が減少していることを昨年秋に実感していた。 「再びのナンバーワンを目指して!」
大騒動で離脱を決定したわりには実際に英国が離脱するには2年はかかると云われているが、その一歩は、さすがに聖書の国だけあると感じさせるものだ。
<英国が離脱なら、EUの公用語から英語を除外も> 2016年07月01日 00時22分 読売新聞より引用
英国が欧州連合(EU)から離脱した場合、英語がEUの公用語から除外される可能性が浮上している。
EUは加盟国が通知した言語を公用語として採用しているが、英語を通知しているのが英国だけだからだ。
英国を含む28か国が加盟するEUでは、イタリア語やスペイン語など24言語が公用語となっている。アイルランドとマルタも英語を自国の公用語としているが、両国がEUの公用語として通知しているのは、それぞれ古来の言語であるゲール語とマルタ語だ。
EUでは加盟国の国民が等しく情報を受け取れるよう、公式文書はそれぞれの公用語に翻訳され、会議でも通訳が行われている。ただ、英語、フランス語、ドイツ語のみで作成される文書もあり、英語が除外されれば、仏、独語の重要性が高まりそうだ。
ロイター通信によると、欧州議会のヒュブネル議員は27日、「英語を公用語のままにしておくには、すべての加盟国の合意が必要だろう」と語った。
離脱に2年も要するのは、数十年に及ぶEUとの間で結ばれた条約や取り決めや立法措置を整理しなおすという複雑な作業があるからだが(※1)、その第一歩となるのが、公用語の問題であるところが、「はじめに言葉ありき」を聖典にしている国々だと思わせる。
公用語や条約の改変は、その運用を考えれば現実的・実務的な問題だと思われがちだが、これはシステムの移行作業に比べれば、かなり観念的な問題かもしれないと感じるのは、「リブート」(福田和代)を読んだばかりだからかもしれない。 (『 』「リブート」より引用)
「リブート」は、関東に地盤をおく東邦銀行と関西に地盤をおく明徳銀行が合併するにあたり必要となった勘定系のシステムの開発・保守に粉骨砕身するSM(システムエンジニア)達を描いた話だが、地方銀行同士の合併で(しかも)顧客数が数百万から一千万程度の合併であっても、そのシステムの構築には下準備だけで四か月、本格開発に一年半の月日を要すると書いている。
もちろん英国はポンドを使用していたので、その点の作業は軽減されるだろうが、相対的にポンドの影響率が低下していたことや(※2)、あらゆる情報がコンピューターを介するようになっている現在を考えれば、28か国からなる組織から脱却する作業は、観念的な問題だけでなく、現実的な作業も膨大だ。
離脱を受け入れられない国民は多いし、離脱を先導してきた党首はその地位を降りると言い出すし、独立運動まで起こっているので、実務作業を話し合う段階ではないが、『システム屋を殺すのに刃物はいらない。システムトラブルと言えばいい』というほどに緊張感を伴う仕事が待ち受けているのだから、三枚舌外交で結論を先延ばしにせず、実務的対応が余裕をもってできるよう、早期に決着を着けるべきではないかと思っている。
こんなことを考えたのは、昨夜我が家のトイレがつまったからだ。
より正確に書くと、トイレがつまったというよりは、トイレの水の流れが悪いことで、排水管に異常が起こっていることが分かったのだ。
夜中に生ごみが腐ったような臭いが漂い、何事かと臭気のもとを探り、どうやら洗面所とトイレの排水管に問題がありそうだと分かったが、夜中のことでどうしようもなく、朝一番に「水回りお任せください」に電話することになったため、「リブート」のこんな言葉を思い出したのだ。
『すべてが順調に行っている時には、誰もシステム屋の存在など考えもしない。何かトラブルが起きれば、自分達の責任だと指をさされる。結局のところ、インフラを支える職場というのは、どんな仕事も同じ状況なのだろう。順調に動いて当然。誰も褒めてはくれない。
スイッチを押せば電気は届き、蛇口をひねれば水が出る。下水が詰まることはめったにないし、電車は時刻通りに運行して当然なのだ。』
その、めったにないはずの下水問題が生じたために、我が家は今、インフラを支える職業、縁の下の力持ちの有難さをひしひしと感じている。
大国の名誉や誇りも大事だろうが、それを見えないところで支えている人々がいることを頭に入れ、その人たちの負担が過重にならないよう、時間的に余裕ある話し合いが行われるよう願っている。
参照 ※1
<英国のEUからの離脱、2年かかる理由> 2016.06.24 Fri posted at18:26 CNNより一部引用
(CNN) 英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票は、離脱派の勝利で終わった。ただ、EUからの離脱は簡単ではない。28カ国からなる連合から抜け出るには最低でも2年は必要そうだ。
英国はEUの前身も含めると1973年から加盟国だ。英政府は今後、数十年に及ぶ同国とEUの間で結ばれた条約や取り決め、立法措置を整理し直すという途方もない作業に迫られる
http://www.cnn.co.jp/world/35084866.html
※2 通貨としてのユーロが幅を利かせるようになり、都市銀行でもポンドへ両替ができる所が減少していることを昨年秋に実感していた。 「再びのナンバーワンを目指して!」