何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

今年の一字、今年の流行

2016-12-12 23:17:33 | ひとりごと
何かと気忙しく一冊本を読み通す時間はないのだが、日々気になる出来事は多いので、一日一言連作形式で記しておこうと思っている。

12月12日(月曜) 
今日12月12日は、「1(いい)2(じ)1(いち)2(じ)」の語呂合わせに因み漢字の日だそうだが、毎年この日に、清水寺の貫主が清水の舞台で「今年の一字」を揮毫するのは、もはや年末の風物詩の感がある。
「今年の一字」と同じく、その年を振り返るには良い行事で発表を楽しみにしていながら、選ばれたものを見るとしっくり来ないと感じるものに、流行語大賞がある。
金メダルに沸いたという理由で選ばれた一字「金」は、ピンとこないまでも納得できるものだが、流行語大賞の「神ってる」は、しっくり来ないどころか、流行語大賞の発表により初めて知ったというお粗末さ。
たしかに私は流行には疎い方だが、そのような人間でも知っている言葉を選んでこその流行語大賞ではないだろうか。
そこへいくと、オックスフォード辞書が選んだ「今年の単語」は考えさせられる。
「post-truth」
当のオックスフォード辞書によると、「post-truth」とは以下のような意味らしい。
「Relating to or denoting circumstances in which objective facts are less influential in shaping public opinion than appeals to emotion and personal belief」
「一般大衆の意見形成において、感情や個人的信条に訴える方が客観的な事実よりも影響力があるという状況を示す」形容詞だそうだ。
今年のイギリスとアメリカで行われた国民投票や選挙の結果を見れば、既存の言論人のもっともらしい論評よりも、暴言でも暴論でも心に熱く届くものを選ぶ傾向があったのは確かだろう。
それがたとえ一時の熱に浮かされた感情であろうと、暴言暴論を駆使してでもガツンとやらねばならぬ時はあるように思う。
だが、一時の熱が冷め、厳然と目の前に横たわる客観的事実と向き合わねばならない時に、暴言や暴論は通用しないという事を肝に銘じておかなければ、手酷いしっぺ返しを喰らうことになりかねない、そのようなことを考えさせてくれたオックスフォード辞書による「今年の一字」だった。

ちなみに、私の今年の一字は、「喪」かもしれない。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする