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He who laughs last laughs best

空っぽでない真の空で道を!

2016-12-15 23:50:51 | ニュース
<プーチン大統領また遅刻=主導権狙い?常習-日ロ首脳会談> 時事通信2016/12/15-17:48より一部引用

15日の日ロ首脳会談で、ロシアのプーチン大統領の特別機は当初予定より約2時間40分遅れて山口宇部空港に着陸した。大統領は今月2日にサンクトペテルブルクで行われた岸田文雄外相との会談にも約2時間遅れで臨んでおり、日本側が振り回される展開が続いている。
プーチン大統領は世界の要人との会談に遅れる「遅刻魔」として有名。英紙ガーディアンによれば、大統領は2013年のフランシスコ・ローマ法王との初会談に約50分遅刻。12年にはモスクワを訪れたケリー米国務長官を3時間待たせた。03年にはエリザベス英女王との会見に遅れたことがある。13年に大統領と離婚したリュドミラ元夫人は「私は決して遅れないが、彼はいつも遅れ、平均で1時間半だった」と語っていた。
大統領の遅刻には、相手をいら立たせ、会談の主導権を握りたいという思惑ものぞく。「プーチン氏が時間通りに来ることは少ない」(日本政府関係者)との認識から、日本側もある程度こうした事態を想定していたとみられるが、北方領土問題を含む平和条約締結交渉の前進を目指し「じっくり交渉したい」とする安倍晋三首相が出はなをくじかれたのは間違いない。

会談が行われる其処が、山口県であるだけに、総理、佐々木小次郎になられぬようにと願うしかない。
遅れてじらすという作戦勝ちを収めた宮本武蔵は「五輪書」の空の巻でこう述べている。
『空を道とし、道を空とみる所也』
「空とは無心を、道とは武士道を指し、無欲無心で臨んだとき成功する」というのが分かりやすい意味だと思うが、その前段には、「ある所を知りて、なき所を知る、是則、空なり」とあり、有るところを知ったうえで無きところを弁えている空こそ真の空だと云っている。

さて今回の会談、双方がよもや無心で臨んでいるとは思えないが、ある所とない所の腹の探り合いをする時間はあっただろうか。

道を武士道から柔の道へ広げると、彼の国の大統領はその道の達人である。
何で読んだか記憶が定かではないが、日本の報道記者がモスクワに大統領を訪問した時、道場を案内された際のエピソードが印象に残っている。
すたすたと道場に入っていった日本人記者は、傍らに大統領がいないことに気付き振り返ったところ、畳の前に佇み道場に向かい深く一礼している大統領がいた、日本人として恥じ入りたい心地がした、と書いていた。
これも曖昧な記憶ながら、たしかシモネッタ&ガセネッタ姉さんの本で読んだのだと思うが、彼の国の諜報機関の語学研修は厳しく、日本語を学ぶためにはまず17条憲法から入る、と書かれていたと思う。
いわんやプーチンをや、である。

つまり彼の国の大統領は、たんに黒帯を持っているというだけでなく、その精神も有しているということだ。

そうであれば、数時間遅れの機上から厳流島をしっかと確かめたうえで、会談に臨んでいるのかもしれない。
いや、明日の講道館訪問こそが、彼にとっては本命なのかもしれないが、それでは我が国、あまりにも寂しすぎる。

会談が実りあるものとなり、双方の国にとって『我事において後悔をせず』「独行道」宮本武蔵)となることを、願っている。