何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

那古野 なごや ではない①

2018-05-07 12:00:00 | ニュース
桜が咲き始めた頃、名古屋城に立ち寄った。
あの時は、晴天の名古屋の街がとても楽しげに見えたため遊び心が働いたのだが、あれから一月半で入場禁止になったことを考えると、なかなかに運が良かったのかもしれない。

<コンクリ天守「上り納め」名古屋城、木造化工事へ> 日本経済新聞2018/5/6 19:45配信より一部引用
名古屋のシンボルとして再建から約60年間親しまれてきたコンクリート製の名古屋城天守閣が6日午後、閉鎖された。名古屋市が進める木造復元が完成する予定の2022年末まで入場禁止となる。
-連休後半の入場者、前年より45%多く-
名古屋市によると、大型連休後半の5月3~5日の名古屋城の入場者数は前年より45%多い約8万6千人(速報値)で、記録が残る過去10年で最多だった。入場禁止に伴う「駆け込み」訪問や、近くに3月開業した商業施設「金シャチ横丁」も入場者数の増加に寄与したとみられるという。
名古屋城の天守閣は1612年に完成し、1945年の空襲で焼失。現天守閣は59年にコンクリートで再建された。ただ、震度6強の地震で倒壊する恐れがあるとして、河村たかし市長が木造復元を決めた。
市の計画では、国特別史跡の天守台石垣の調査に続き、19年に現天守閣の解体に着手する。同じく空襲で焼失した本丸御殿は復元が完成し、今年6月に全面公開される予定。

なるほど、これのための、あのニュースだったのか。
少し前のことになるが、あるニュースを見て、今ではタイトルも忘れてしまった推理小説を思い出していた。
それは確か、上高地から穂高岳だか槍ケ岳だかにロープウェイをかけるという計画をめぐり殺人事件が起こるというものだったが、「めっそうもない」という怒りが先走り、もう推理どころではなかった事しか印象にない。

ロープウェイ推進派の国交省や観光業界などは、「ヨーロッパアルプスの山岳列車は、見事に景観にマッチしているのだから大丈夫だ」と主張するし、福祉団体は「足が不自由な人も、その頂に立たせてあげたい」と言い張る。

この手の問題は、どう書いても誤解を招きかねないので あまり言及したくはないが、鉄道列車で有名なユングフラウヨッホの空間的広がりと、河童橋から仰ぎ見る穂高連峰の繊細な美しさを比較することが、私にはそもそも無理があると思われる。
そして、日常生活を越えた空間の場合、自分の足で歩き辿り着ける場所が、自分が楽しめる場所だと思っている(日常生活的空間のバリアフリーは重要)。

名古屋城木造再建で話題となっているのが、コンクリ天守の手前(桜の向こう)に見える歪な建造物。

天守閣内部にもエレベーターがついていたが、大変混雑しているため、大方の人は汗を拭き拭き「ひーひー」言いながら階段を上っていた。
そうして、てっぺんから見えた景色は、こういうもの。


再建される木造建築に敢えて設置してまで見なければならないほどのものではない、と言うと、推進派に叱られるのだろうか、それとも名古屋市民230万人の怒りを買うのだろうか。

てっぺんから睥睨しなくとも、素晴らしいものが名古屋城には多くあった。
それについては又つづく