大阪都構想が17日の住民投票により否決された。
大阪という地の息遣いが感じられる小説で印象に残るのは、「細雪」(谷崎潤一郎)と「泥の河」「道頓堀川」(宮本輝)という、余りといえばあんまりな両極端さ。
大阪人といって真っ先に浮かぶのが「白い巨塔」(山崎豊子)の財前五郎、いやその舅の又一か。こう書くと
大阪人は嫌な顔をするかもしれない。
生身の関係性はともかく、あくまで小説の世界でいうと大阪には馴染みが薄いし、大阪都構想の政策への理解も薄いので、住民投票の賛否の結果については意見はないが、投票行動からみる世代間の問題には、大きな危機感を感じた。
<20・30代は6割賛成 都構想 朝日・ABC出口調査>2015年5月17日22時59分朝日デジタルより一部引用
今回の住民投票で、朝日新聞社と朝日放送(ABC)は17日、投票を済ませた有権者を対象に出口調査を実施した。賛成は20~30代にとりわけ多く、反対は70歳以上に多かった。全体では男性の59%が賛成だった。賛否の理由として最も多かったのは、賛成が「行政の無駄減らし」、反対が「住民サービス」だった。
年代別にみると、とくに賛成した人が多かったのは20代(61%)と30代(65%)。40代(59%)、50代(54%)、60代(52%)も賛成が過半数を占めた。一方、70歳以上は反対が61%で賛成を上回った。
賛成に投票した人が挙げた理由で最も多かったのは「行政の無駄減らしの面」で41%を占めた。次に多かったのが「大阪の経済成長の面」で31%だった。
一方、反対に投票した人が挙げた理由で最多は「住民サービスの面」で36%。次に「橋下市長の政策だから」が26%と続いた。
賛成の人が理由とする「行政の無駄減らし」がまさに、反対の人が重視する「住民サービス」とリンクするので双方心情的に反発が生じるのかもしれないが、これでは一票の格差ならぬ、世代間の格差であり、世代別でみれば(まだ)若い部類に所属する自分としては、笑いごと他人事ではない衝撃の結果だ。
人口体系が極端に歪になっていく我が国では、この問題は、これ以後あらゆる方面で生じてきて、新たな社会不安と社会不満の最大因子となってくるかもしれない。
この問題の萌芽が最初に顕在化したのは、皇太子様の「時代に即した公務」(平成16年ご会見)というお言葉かもしれない。
若い世代からすれば当然の皇太子様の「時代に即した公務」のお言葉は、「それまでの為さり方を否定するのか」という怒りと不満とともに批判され、以後、このお言葉のご説明に皇太子様は苦慮され具体案を明示されないままでおられるが、お言葉のあった当時、若い世代の起業が増える一方で、それが旧来のシステムに受け入れられずに右往左往としていた世相と相俟って、「世代間の抗争」と解釈する評論家がいた記憶がある。
旧来のシステムを構築した人や維持してきた人には譲ることの出来ない「守るべきもの」であっても、時代が変われば、それに応じて変化し役割を終えなければ、新しい時代はいつになっても始まらない。
旧来のシステムは「当時のその時代に」即したからこそ機能したのだろうから、それをそのまま未曾有の超高齢化人口減少時代にあてはめ続けるのを望むのは土台無理な話で、これからは「皇族方の公務」も「住民サービス」も、これまで通りとはいくはずがない。
「かぐや姫の大義」で紹介した経営者の言葉に、
「時代に即した正しい判断を下せる資質を持たない経営者が君臨する企業は必ずや滅びる。」がある。
時代に即した正しい判断を下せる資質を持たない人間で構成される組織も国家も必ずや滅びる、となる前に、
何か早急に手を打たなければならない。
ところで、浪速の風雲児は引退するらしい。
「細雪」から「泥の河」、財前又一から千利休まで、何が誰がとは言わないが、清濁あわせもちパワーに溢れているのがナニワの良いところであり、あの秀吉ですら浪速を掌握しきれなかった。
露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢
むしろ何者にも掌握されないことを望む浪速の気風はともかくも、このままでは露と落ち儚く消えかねない諸々を思い知らされた17日住民投票の巻であった。
大阪という地の息遣いが感じられる小説で印象に残るのは、「細雪」(谷崎潤一郎)と「泥の河」「道頓堀川」(宮本輝)という、余りといえばあんまりな両極端さ。
大阪人といって真っ先に浮かぶのが「白い巨塔」(山崎豊子)の財前五郎、いやその舅の又一か。こう書くと
大阪人は嫌な顔をするかもしれない。
生身の関係性はともかく、あくまで小説の世界でいうと大阪には馴染みが薄いし、大阪都構想の政策への理解も薄いので、住民投票の賛否の結果については意見はないが、投票行動からみる世代間の問題には、大きな危機感を感じた。
<20・30代は6割賛成 都構想 朝日・ABC出口調査>2015年5月17日22時59分朝日デジタルより一部引用
今回の住民投票で、朝日新聞社と朝日放送(ABC)は17日、投票を済ませた有権者を対象に出口調査を実施した。賛成は20~30代にとりわけ多く、反対は70歳以上に多かった。全体では男性の59%が賛成だった。賛否の理由として最も多かったのは、賛成が「行政の無駄減らし」、反対が「住民サービス」だった。
年代別にみると、とくに賛成した人が多かったのは20代(61%)と30代(65%)。40代(59%)、50代(54%)、60代(52%)も賛成が過半数を占めた。一方、70歳以上は反対が61%で賛成を上回った。
賛成に投票した人が挙げた理由で最も多かったのは「行政の無駄減らしの面」で41%を占めた。次に多かったのが「大阪の経済成長の面」で31%だった。
一方、反対に投票した人が挙げた理由で最多は「住民サービスの面」で36%。次に「橋下市長の政策だから」が26%と続いた。
賛成の人が理由とする「行政の無駄減らし」がまさに、反対の人が重視する「住民サービス」とリンクするので双方心情的に反発が生じるのかもしれないが、これでは一票の格差ならぬ、世代間の格差であり、世代別でみれば(まだ)若い部類に所属する自分としては、笑いごと他人事ではない衝撃の結果だ。
人口体系が極端に歪になっていく我が国では、この問題は、これ以後あらゆる方面で生じてきて、新たな社会不安と社会不満の最大因子となってくるかもしれない。
この問題の萌芽が最初に顕在化したのは、皇太子様の「時代に即した公務」(平成16年ご会見)というお言葉かもしれない。
若い世代からすれば当然の皇太子様の「時代に即した公務」のお言葉は、「それまでの為さり方を否定するのか」という怒りと不満とともに批判され、以後、このお言葉のご説明に皇太子様は苦慮され具体案を明示されないままでおられるが、お言葉のあった当時、若い世代の起業が増える一方で、それが旧来のシステムに受け入れられずに右往左往としていた世相と相俟って、「世代間の抗争」と解釈する評論家がいた記憶がある。
旧来のシステムを構築した人や維持してきた人には譲ることの出来ない「守るべきもの」であっても、時代が変われば、それに応じて変化し役割を終えなければ、新しい時代はいつになっても始まらない。
旧来のシステムは「当時のその時代に」即したからこそ機能したのだろうから、それをそのまま未曾有の超高齢化人口減少時代にあてはめ続けるのを望むのは土台無理な話で、これからは「皇族方の公務」も「住民サービス」も、これまで通りとはいくはずがない。
「かぐや姫の大義」で紹介した経営者の言葉に、
「時代に即した正しい判断を下せる資質を持たない経営者が君臨する企業は必ずや滅びる。」がある。
時代に即した正しい判断を下せる資質を持たない人間で構成される組織も国家も必ずや滅びる、となる前に、
何か早急に手を打たなければならない。
ところで、浪速の風雲児は引退するらしい。
「細雪」から「泥の河」、財前又一から千利休まで、何が誰がとは言わないが、清濁あわせもちパワーに溢れているのがナニワの良いところであり、あの秀吉ですら浪速を掌握しきれなかった。
露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢
むしろ何者にも掌握されないことを望む浪速の気風はともかくも、このままでは露と落ち儚く消えかねない諸々を思い知らされた17日住民投票の巻であった。