人の噂も75日なんて言葉が昔からあったくらいなので、世間の風評ほど無責任なものはないのだろうが、たしかにネット社会になり、個々人が思い思いに呟くことができるようになり、無責任さに拍車がかかってはいる。
そんな状況を危険だと感じている作家さんもおられるようで、最近立て続けに、善意とか良識とかの仮面をかぶった一般人の悪意を描いた本を読んだ。
「セイレーンの懺悔」(中山七里)
「夜がどれほど暗くても」(中山七里)
「正義を振りかざす君へ」(真保裕一)
念のため書いておくと、「セイレーンの懺悔」は2016年、「夜がどれほど暗くても」は2020年、「正義を振りかざす君へ」は2013年に出版されているので、作家さんたちは早くから一般人がネット上で垂れ流す呟きを危惧されてはいたのだろう。そんな本が今私のアンテナに立て続けにかかるのは、ワンコからの警告に違いないのだが、世間の噂や風評を十把一絡げに誹謗中書雑音と切り捨て、世間様の思いなど物ともせずにズルとインチキばかりする者が大手を振って歩いているのだから、例のお家的に誹謗中傷というところのものの一つも言いたくなる。
今15歳のインチキには目をつむるべきかが話題となっている。
その来し方在りようも、倫理に反したかたちで得たうえに、ズルとインチキを繰り返しひたすらその世界のトップに形式上君臨しようとする。
形式上でもトップに名を刻めばそれが勝ち、という価値観がまかり通っている。
『無理を通すと道理が引っ込むから、大抵思い通りになる』は、上記の二作の作者・中山氏が「銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」で主人公の要介護探偵に言わせている言葉だが、道理を率先垂範しなければならない世界の人間が、無理ばかし押し通すのを見せつけられれば、あほらしくて戴く気にもならなくなる。
15にもなればズルもインチキも分かろうはずだが、15の子が乗っかるものは、たしかに15の子だけで用意できるものではない、おそらく周辺の人間こそが醜悪なのだろう。だが、周辺の人間は一度でも考えたことがあるのだろうか、15の子が乗っかるトップは、すべての世界のトップではない。世界はいくつもの社会と状況と時世からできているのだ。ズルとインチキでトップに立ったとして、その世界を仰ぎ見る人がいなくなれば、ズル人だけでなくズルとインチキを押し通す世界・体制を世間が嫌悪すれば、そこは成り立たなくなるのだ。
ゆっくりと瓦解していく
ゆっくり腐っていく
朽ちていく
神輿が腐っていてはもとよりどうしようもないが、腐っても神輿だとズルとインチキ街道ばかりを地ならししていては、やがて道はなくなる。
憶測に基づいた根も葉もない罵詈雑言は許されるものではないだろうが、神輿と担ぎ手がどっぷりセイレーンに浸り、人々の声に耳を傾けなくなってしまえば、あとは難破するしかない。
対照的に清々しい19歳
並みいる知の巨人を倒し前人未到の偉業を成し遂げても、「自分はまだ森林限界の手前」と自己研鑽の意思を示す19歳
この19歳が素晴らしいのはもちろんだが、このような19歳が育まれるのは、周囲の人間も素晴らしいからだと思うのは、一勝もできずに王位を明け渡した対戦棋士の言葉が素晴らしかったからだとも思う。
「棋聖戦に続いてストレートで負けたことについては開催地をはじめ多方面に申し訳ないという気持ちです」「五冠というすごい存在がいても、対戦相手が強くないと面白くないので、その責任を果たせなかったのは悔しいし力不足を残念に思います」(ニュースより引用)
自分を取り巻く世間と、自分の世界が真っ当に続いていくことへの責任を感じておられるからこその言葉だと思う。
これは、この19歳に記録を抜かれた錚々たるお歴々すべてに通じる心意気に思える。
その世界がより高いものであるために、継いでいく者にはより良いものであって欲しい、そのために自らが高い壁にならねばならぬという責任感と矜持。それこそが敬意と称賛が向けられる世界に属する者の責任ではないか。
もう心はそこを離れ、
違う世界に希望を見出すしかないと思っている。
並みいる知の巨人を倒し前人未到の偉業を成し遂げても、「自分はまだ森林限界の手前」と自己研鑽の意思を示す19歳
この19歳が素晴らしいのはもちろんだが、このような19歳が育まれるのは、周囲の人間も素晴らしいからだと思うのは、一勝もできずに王位を明け渡した対戦棋士の言葉が素晴らしかったからだとも思う。
「棋聖戦に続いてストレートで負けたことについては開催地をはじめ多方面に申し訳ないという気持ちです」「五冠というすごい存在がいても、対戦相手が強くないと面白くないので、その責任を果たせなかったのは悔しいし力不足を残念に思います」(ニュースより引用)
自分を取り巻く世間と、自分の世界が真っ当に続いていくことへの責任を感じておられるからこその言葉だと思う。
これは、この19歳に記録を抜かれた錚々たるお歴々すべてに通じる心意気に思える。
その世界がより高いものであるために、継いでいく者にはより良いものであって欲しい、そのために自らが高い壁にならねばならぬという責任感と矜持。それこそが敬意と称賛が向けられる世界に属する者の責任ではないか。
もう心はそこを離れ、
違う世界に希望を見出すしかないと思っている。
ついにやっちまったか、というより明確にばれてしまったか、というニュースを見たので補足
ちなみに、上記の『 』は本文からも分かるように「銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」からの引用。周りがインチキなお膳立てばかりしているから、ついに本体がインチキ文章で恥ずかしげもなく賞まで盗るようになってしまった。しかし、それが裏口go toトーダイ選考の一つになっていたとしたら、今日の結果はそれで良いのだろうか?