
もとは、小さな音を大きく
そして遠くへ飛ばすために作られてきたホーンスピーカー
空気がホーンを伝わって描き出す音は
軽やかで気持ちのいい音を奏でる
最近はそんなスピーカーが理想のスピーカーに思えてきた・・・、
様々なホーンスピーカーがあるが、
今回はコンプレッションドライバーのホーンではなく
ウーハーのフォールデッドホーンを考えてみる
フォールデッドホーンとは、折り曲げホーンのことで、バックロードなども含まれるが
今回はフロント・フォールデッドホーン
このホーンスピーカーの起源を調べていくと様々な元となるものがあるようだが
オーディオスピーカー用ホーンスピーカーの起源は間違いなく
今でも世界一美しい再生音を奏でる機械と言われる、クレデンザだと思う

ご存知の方も多いかと思いますが、電気を使わない78回転盤レコード専用の蓄音機
100年前にベル研究所が設計し、ビクトローラ社が製作した蓄音機が、
現在でも最も美しい音楽を奏でる「再生機器」、信じられないと思われる方は、
電気を使わない、気品溢れる再生音を、

ぜひ自分の耳で聞いてみてください
100年前の1920年、オーディオ機器のホーンスピーカーはここから始まったと言っていいと思います
ウェスタンエレクトリック社やその後のJBL社、ALTEC社のホーンの設計の原型となったホーンとも言われており
その後のトーキ映画の主役の

WEの様々なホーンやシャラホーンなどは、クレデンザの優雅な音の流れを使い、
聴衆に感動のセリフを届けたようです
熾烈なトーキー映画戦争のが行われ、
様々なスピーカーが劇場に設置されていた時代

1935年 シャラ―ホーン発売
1936年 ミラフォニックホーン開発・設置
そんな激戦の真っただ中
次の時代を見据え、家庭用分野の研究もおこなわれていた

1940年アメリカで一つの特許が提出された、
P.W.クリプッシュ氏によるコーナー型バックロードホーンで
「クリプッシュホーン」と名付けられ、
これがその後の家庭用スピーカーの原点ともいわれていま
特筆すべきは「圧」をかけることだと思います、

音道を狭くして圧をかけ、音の放射を効率よく行うことができる事でした
音の放射がいい
これは音で言えば軽やかに弾む低音、とでもいえばいいのでしょうか?
この軽やかに弾む低音はこの後多くの製品に影響を及ぼしました
1946 ALTEC社を契約切れで離れ、ランシングがJBL社を設立すると同時期に

アメリカでもスピーカーの主役はやがて劇場から、家庭用へ移っていったようですが
アメリカのそれよりも少し早く、クリプッシュの特許を使い
1947年 イギリスのシアター用業務機器を中心に開発していたヴァイタヴォックス社が
同社初の最高級家庭用コーナー型スピーカーシステムを発売
これがCN191コーナー型ホーン

名機の名をほしいままに、したこのホーンも「圧」を巧く使っていて
その中域の厚みを基にした音は、今でも最高の響きを奏でていて魅了される人は多い
1953年頃からタンノイ社のオートグラフ、次いでG.R.F発売(フロントフォールデッドではなくバックロード)

同じ頃アメリカでは、エレクトロヴォイス社のパトリシアン等のシステム等が
フォールデッドホーンシステムで発売された、
そして満を持してランシング亡きJBL社から家庭用最高級機が発売された

1954年 名機ハーツフィールド発売
これは後方密閉でフロントフォールデッドホーンを使った

まさに軽やかに気持ちよく弾んで響く音を奏でる名機だと思います。
(※因みにハーツフィールドではクリプッシュの特許は使われていないようです)
そしてステレオ時代の到来を見据えステレオでのファールデッドホーンの発売
1957年、パラゴン発売

これも後方密閉のフォールデッドホーン
小型フォールデッドの名機ラウザーなどもこの頃の製品

だが
1958年のステレオ以降、家庭用大型スピーカーはなりをひそめていき
小型化されブックシェルフ型が主流となっていったようです
・・・・・・・、
話をフォールデッドホーンに戻しますが
ホーンロードをきれいに空気が抜けるには、当然ながらある程度の圧は必要であると思います
アバンギャルドのように圧をかけない、ノンコンプレッションホーンも魅力的な広がりを聞かせるし、この辺は好みかもしれない

スムースな素直な音を奏でる、が、適度な圧に押されてホーンを抜けたほうが私は好きだ、
だから今回我がシステムが参考にしたのは、フォールデッドホーンで使われた
「圧」の掛け方

15インチウーハーのどの程度まで圧を掛ければ良いのかその方程式は知らないが、これはやってみるしかないと思っている
やわなエッジとダンパーではあの心地よい響きは出せないことが分かった
JBLでもウーハーユニットはふらふらエッジではなく、FIXエッジの剛性の高いユニットが使われている
横須賀の「極道」様のホームページから拝借

ユニットを取り付ける箇所は、クリプッシュほどではないが狭くなって圧が掛けられている
同じく極道のハーツフィールドユニットは150-4Cで、剛性のあるFIXエッジユニット

やわなユニットでは空気の負荷に負けて、音にならないのだと思う
バスレフ用のふらふらエッジ、スカスカダンパー、貧弱なコーン紙ではフォールデッドは語れない
個人的な意見だがバックロードホーンは、ふらふらエッジのでも結構鳴ると思う、
がバックロードホーンで軽やかな弾む低音は期待できない
バックロードで圧を掛けることはできないのが理由だと思う
感度よく弾み、押し出しの強い、豊かで気持ちいい低音を奏でるには
圧を掛けられる剛性を持った振動板を持つユニットを使い
振動板出口で何らかの圧を掛け、その勢いに押され
ホーンロードを気持ちよく駆け抜けることができるのが条件だと思う
フォールデッドホーン・・・・・、
夢は続きます