ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

インレイ取り外し

2009年02月13日 | ネック関連
指板修正に入る前に、インレイを外します。削り幅が大きく、インレイの厚みが薄い場合は、インレイが消えてしまうこともあるためです。

ヤマキのインレイはヘキサゴンのアバロン貝。

最近のアバロン貝はラミネイトがほとんどですが、これはソリッドのアバロン貝でした。70年代製ということを考えれば、頷けます。

チャキは一見、セルロイドに見えましたがソリッドの白蝶貝でした。


ヤマキは瞬間接着剤で固定されていたため、取り外しは割と容易でしたが、チャキは(おそらく)ニカワで固定されていたため、熱を加えての取り外しとなりました。1967年当時は、まだ瞬間接着剤は登場していなかったと思われます(接着剤の変遷について詳しい方は是非教えて下さい)。

インレイの方向を間違えないように保管します。

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怒涛のフレット抜き!

2009年02月12日 | ネック関連
まとめて4本、フレット抜きの作業です。

まずはヤマキ


続いてL-00


その次はChaki


そしてフェンダー


フェンダーは、フレット交換はせず、同じフレットをそのまま使うため、順番がわかるように保管します。


ささっとやった様に見えますが、できうる限りスロットの角にチッピング(欠け)が生じないように慎重に、それなりに時間をかけてやっているのです。

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ギターの保管に関して

2009年02月11日 | ギターの保管
ギターは作られてから時間が経つほど、ネックの反りや指板のゆがみ等が必ず生じてきます。構造上の避けられない問題でもあり、また、木材であることや個々人の管理状態も関わってくるので、事は単純ではありません。
ギターの保管に関しては、温度湿度管理ということがよく言われ、確かに大事なことなので極端な状態は避けるべきですが、個人レベルでの厳密な管理は無理でしょう。たとえ日常的に、完璧に温湿度がコントロールされた部屋で保管していたとしても、それ以外の場所、例えばライブ会場等で同じような状態を望むことは現実問題として不可能です。保管状態優先、温湿度コントロール優先であれば、極論すると「ギターを弾かないで永遠に保管する」のが一番いい。でも、それでは本末転倒です。
完璧な状態を未来永劫保つことは不可能であり、ギターを(いい状態で)弾き続けようとする以上は、必要に応じたメンテナンスとリペアを施すべきだと考えています。それが、今のところの結論です。
では、温度湿度は無視していいのか、というと、そういうことではなく、適度に注意する必要はあります。が、厳格には管理できないので、温湿度計である程度の値を把握し、適度に除湿機・加湿器を使いながらコントロールする、というのが、個人レベルでできる管理方法だと思います。とりあえずは極寒・極暑、極度な多湿・低湿を避けて、人が過ごす上で適度に心地よいところであれば、基本的に大丈夫だと考えています。
ケースに入れておくべきか否かも、よく言われることですが、それこそケースバイケースで(オヤジギャクではありません)、一律に「こうしなければならない」ということはありません。シンプルに「弾く時は出す、弾かない時はしまう」でよいのではないでしょうか。ケース自体が湿っていたら話は別ですが…。一番大事なのは「ギターを弾くこと」です。

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フレット関連リペアの多さに驚愕

2009年02月10日 | ネック関連
今さら、ですが、フレットに関わる修理の多さに驚きます。先日お伝えした怒涛のフレット交換が始まらないうちに、またフレット関連の修理をお預かりしました。一連のフレット交換のスケジュールに組み入れることになります。

1982年製 ヤマハL-15

ネックヒーター修正とフレットすり合わせ、ナット・サドルの交換です。

フェンダー GA45SCE

これは指板が若干、しかし無視できない程度に歪んでいるため、一度フレットを外して指板修正を行い、フレットを打ち直してすり合わせを行います。弦高が低いため、サドルの交換も必要です。

フレットが減ってビレが生じる場合は、すり合わせをすれば問題はほぼ解決しますが、減りがひどかったりフレット自体の高さが残っていない場合は交換です。車で言えばタイヤに相当するので、減ったら交換が原則。しかし単純に交換すればいいというものではなく、ネックと指板の状態を補正しておくことが望ましいと考えています。何故ならば、フレットを新しくしても指板が歪んでいれば、フレットの高さにバラつきが生じ、均一な音が望めないからです。今回はやりませんが、指板修正で対応できない場合はヒーター修正、それでも駄目ならネックリセット…という具合に、状況によってネックと指板の補正は変わってきます。フレット関連の修理は、とめどなく深いものなのです。

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D-35 修理完了

2009年02月09日 | ナット・サドル作成・調整
D-35の修理は終盤に入りました。ブリッジを削り、ペーパーがけをして成形します。


ピン溝穴のカウンターシンク(ピン用の窪み)をつけ、弦溝を少し補修します。サドルの溝を切り直した跡があり、左用だったことがわかります。


切り直し跡を目立たなくするため、木地着色をして色を整えます。


作成したサドルを磨き、弦を張り、ナット・サドルを微調整し、これで完了です。当初より弦高がかなり低くなり、恐ろしいほど弾きやすくなったと思います。


PUも付いていたので、配線止めのやり直しとジャックのガタツキの補修もやりました。そしてボディ内部にある、おそらく20数年分の蓄積であろうホコリも取り、これで身も心も綺麗になったという感じです。

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D-35 サドル溝加工・ブリッジ削り・サドル作成

2009年02月08日 | ナット・サドル作成・調整
このD-35はヒーター修正をしても、まだ弦高が高いため、低くするためにはサドルを削っての調整が必要です。が、削るとサドル自体がブリッジに埋まってしまうため、適切なテンションを得るためには、ブリッジを削らなければなりません。しかしブリッジを削ると、サドルの溝が浅くなってしまい、場合によっては弦を張った時にサドルが倒れてしまう恐れもあるので、溝を深く加工し、サドルも新規作成することにしました。

専用の工具で溝を深くします。


少しずつ削って、浅すぎず深すぎず、適切な深さを探ります。


その深さに合うように、サドルを作りました。


ブリッジも削り、ブリッジからサドルを適正に出すようにします。

続く…

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D-35 ナット作成

2009年02月07日 | ナット・サドル作成・調整
D-35はナット作成に入りました。幅を決めてラフに成形した後、1・6弦の位置を決めます。オリジナルは、指板の端から弦までの距離が1弦側3ミリ、6弦側3/32インチでしたので、それをそのまま採用します。


1・6弦の位置が決まったら、弦の内側の距離を計測します。1.420"です。


2・3・4・5弦の太さ分を引いて、それを5等分して各弦間の距離を出します。カスタムライトゲージ使用ですので、(1.420"-0.015"- 0.022"- 0.032"- 0.040")÷5=0.262" という値になりました(*)。


溝の深さを決めて、


高さを調整し、


磨いて完了です。


以前は高さを決めてから溝を切っていたのですが「高さが足りなくなって再作成」という経験をしてからは、溝を切った後で高さを調整するスタイルに変えました。その方が微妙な調整がしやすいと考えたからです。

(*)これは今回のD-35とカスタムライトゲージとのコンビネーションでの固有の値で、ギターと弦によって値は異なります。たとえ同じメーカー・同じ機種でもナット幅は微妙に違い、また、1・6弦の位置は個人の好みも考慮に入れる必要があるため、弦間の距離が全く同じ、ということは原理的にありえません。ですので、弦の位置を決めるテンプレートや、溝がすでに切ってあるナットなどは、かなりナンセンスな代物です。量産のギターの場合は致し方ないのだとは思いますが…。

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怒濤のフレット交換 

2009年02月06日 | ネック関連
今年の年頭に1970年代のヤマキが持ち込まれました。
 
フレット交換・指板調整・ナットサドル作成etc…ということでお預かりしたのですが、スケジューリングの関係で、取り掛かりが遅れていました。

そうこうしている内に、ギブソンL-00が持ち込まれました。
 
このギターは3年ほど前にネック折れの修理をやった際、合わせてフレットすり合わせ・ナットサドル交換等行い、かなり大がかりなものになりました。ハードに使っている様子が伺え、前回のすり合わせでフレットはかなり薄くなっているので、やはりフレット交換することになりました。これもスケジューリングの関係上、ヤマキと一緒にやろうかと考えて、取り掛かりが延び延びになっていました。

しばらくすると、今度は1967年製のChaki P-1をお預かりしました。
 
これも指板調整・フレット交換をすることになりました。これもヤマキ・L-00と一緒にやろうということで、取り掛かっていませんでした。

すると今度は、例のストラトが持ち込まれたわけです。この4本はまとめてやることにしました。効率を考えて、何本か同じ作業をまとめてやってしまうことが時々ありますが、フレット交換4本はおそらく初めてで、まさに「疾風怒濤」の状況です。

一番間近に持ち込まれたストラトのフレット抜きを一番最初にやった理由は、結構近い納期であることと塗装が関わってくるため…と考えたわけですが、でも、他の3本と一緒にフレット打ちをやることになるので、結局塗装がどうのこうのは、あまり関係ないか…?と、こんな風に、スケジューリングには常に苦慮しているのです。

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ストラト フレット抜き

2009年02月05日 | ネック関連
フレット抜き開始です。


クイキリを使って抜いていきます。

メイプル指板の場合は、フレット入れ→塗装→フレットに付いた塗料の除去、という工程のため、フレットのきわに塗料が溜まっているので、ローズ指板に比べると若干抜きにくい感はあります。


全フレット、抜きました。この後は指板の調整です。

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Martin 1979 D-35 修理中です

2009年02月04日 | ネック関連
先月お預かりしたマーチンD-35はネックヒーター調整を行いました。

状態を見ながら、何度かクランプの場所を変えて修正していきます。当初はかなりの順ゾリでしたが、だいぶ解消されました。ヒーター処理で完璧に修正するのは難しく、今回はやりませんが、ある程度の精度を求める場合は、指板の修正が必要になってきます。
今後、フレット両脇の浮きを補修し、ナット交換・サドル調整へと進みます。

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Fender USA Stratcaster

2009年02月03日 | ネック関連
フェンダーUSAのストラトをお預かりしました。



2年ほど前、当方でフレットのすり合わせをやりましたが、やはり2年も経つと、それなりにフレットは減ってくるものです。

またすり合わせ、という選択肢もあるのですが、一度やってそれなりに薄くなっており、且つネック自体(特にハイポジション側)に反りがあるため、それを修正せずにすり合わせをすると、フレットがペラペラになること必至なので、指板面調整とフレット交換をすることになりました。メイプルワンピースネックのため塗装は必須、結構苦労しそうです。

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ヘッドストック成形

2009年02月02日 | 制作過程
ネックの作成は、ヘッドストックの成形に移りました。


テンプレートを貼り付けて


それをガイドにしてルーターで削ります。


深い切れ込みは、後ほどノミを使って成形します。


ヘッド裏はベルトサンダーで荒削りしました。白黒のベニヤシートが、こんな感じで見えてきます。シートを接着する時のアール・ネックの厚み・形状によって出方が変わります。


ちなみに、使っているルーターはポーターケーブル。「リベッキーも使っていたから」という単純な理由ですが、使い勝手は良好です。


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#010 ARTISAN OM お嫁入り

2009年02月01日 | その他
2006年12月にサンプル用として作ったARTISAN OMが、先日とうとうお嫁入りしました。昨年の5月頃からラブコールを頂いていたのですが、営業用・試奏用として手元にあるサンプルはこれ1本だったため、当方の都合で納品を延ばしてもらっておりました。
2005年9月、仙台での展示会を企画した折、事前にライブハウス・スタジオ・ジャズ喫茶等に赴きチラシを置いてもらうなど、営業活動に勤しみました。展示会の趣旨などを説明しても「?」で、単純にチラシを置いてもらうだけのお店も多かったのですが、泉中央にあるcafe B.B.というお店では、マスターと直々にお話をし、趣旨を深く理解して頂いた上でチラシを置いてもらったのでした。
展示会終了後は何かと忙しくなってしまい、なかなかB.B.さんには伺えなかったのですが、ある時たまたまお会いした方が展示会に来て下さった方で、B.B.さんの常連さんだったことが判明、それを口実?に久しぶりにお店に伺ったのは一昨年の11月。そこでギターの修理を承り、完了後納めに行ったのが昨年の3月。その時たまたまお店にいらっしゃった常連の方にこのOMを弾いてもらったところ気に入っていただき(その場で即、ということではありませんが)今回の納品となったのです。「納品」という一言にも、このように長いストーリーがあり、楽器店に置いて売ってもらうという方法と一味も二味も違うところが、個人で営んでいる醍醐味なのかもしれません。
それにしても、人の縁とは不思議なもので、いろいろなところでつながっていることを改めて実感します。そういう縁の中で仕事をさせてもらっていることを忘れずに、これからも精進したいと思います。
ちなみに、岡崎倫典さんに弾いてもらったギターは、このOMです。キズもついていますが箔もついてます。

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