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タカラヅカ星組公演「オーシャンズ11」を観て

2011年11月25日 | 宝塚
今回の宝塚観劇はショーなしの一本もの公演で、タイトルは「オーシャンズ11」。


古くは1960年にフランク・シナトラが出演した「オーシャンと11人の仲間」で知られ、そのリメイクが「オーシャンズ11」として2001年に公開されたアメリカ映画の世界初の舞台版です。(笑)

↓久しぶりに買ったプログラムです。


ちなみに映画は、別バージョンとして2005年に続編の『オーシャンズ12』が公開され、2007年には新たに『オーシャンズ13』が公開されたので、皆さんもご覧になっていると思います。

ストーリーは、ダニエル・オーシャンと彼が率いる10人の仲間がラスベガスのカジノの金庫破りに挑む犯罪アクションですが、現在の宝塚で最も力量のある演出家・小池修一郎の手でどんなミュージカルになるのか、興味津々でした。

今回演ずるのは星組で、主演はもちろん男役トップの柚希礼音(ゆずきれおん)。演技力・歌唱力・ダンス力(?)の三拍子そろった今の歌劇団でトップクラスの実力の持ち主です。私は2001年版映画の配役などまったく忘れていましたが、礼音を双眼鏡(これコンパクトでお勧めです)で見たとたん、「あっジョージ・クルーニーや!」と思い出しました。(笑) それほど宝塚には珍しい短髪でよくイメージを再現していました。


相手役のヒロインは夢咲ねね。現在の各組の娘役トップの中では大柄のほうで、スタイルもよくゴージャスで舞台栄えのする娘役さんです。苦手だった歌も頑張って練習した甲斐があり良くなっていましたね。


映画では金庫室に至るまでの厳重なセキュリティシステムをどうやって突破するのかが見所ですが、舞台ではさすがに映画ほどの緊迫感やスリルは味わえない代わりに、イリュージョンやマジックなどを交えて華やかなショーの場面を演出し、トップ2人の愛情の駆け引きを、カジノを舞台にしたストーリー展開の中で丁寧に描いていました。
このトップコンビも共演を重ねて、ぴったり息が合ってきています。
ただ、脚本の仕上がりが遅れて練習時間が少なかったらしく、礼音をはじめ何人か台詞をかんでしまった場面もありましたが、これも回を重ねるにつれ解消しているとのことです。

金庫のモニター室もうまくプロジェクタによる映像で再現して、金庫室のレーザービームも頑張ってそれらしく工夫していました。
プロジェクタでの演出で感心したのは地下鉄の車両です。舞台上手から出てきた車両の形のセットに地下鉄の車両の映像がピッタリに投影されていて、その映像の中のドアが開くと生身の人が出てきたのはビックリでした。最初はどうやっているのかわからなかったですね。

他にも場面転換に映像をうまく活用している場面があり、この分野の技術の進歩がうかがわれました。
カジノのスロットマシンは本物のようで、その移動や出し入れも人力で行うので、生徒は大変だったようです。
↓これは開演前舞台両袖に置かれていたスロットマシンです。ピンボケです。m(__)m


話としてはやはり金庫破りがメインなので、普通の宝塚の作品のようにクライマックスの感動シーンではあちこちからすすり泣きが聞こえる、といった展開にはならないのですが、話のテンポが速く、畳みかけるような展開が面白かったです。
イリュージョンやマジックも本格的で、タネはわかりませんでした。

私たちが観劇した日は、団体客、それも男の観客が多かったですね。でも初めて見る客でも充分楽しめたと思います。
豪華な衣装(普通はけっこう使いまわしが多いのですが、今回は殆ど新調だそうです→ SkyStage情報)と凝った舞台装置、頑張っている出演者、それに分かりやすいストーリーで宝塚入門にもピッタリな作品でした。

私が宝塚を見始めたのは27年前の雪組公演からです。それまでは、開演に遅れそうなヨメさんと娘を車で宝塚まで送って行き、そのまま見ないで帰るというアッシー君でした。でも、せっかくだから一緒に見たら?といわれて嫌々見始めたのがきっかけです。
でも今以上に男性客は少なく、劇場のロビーでもどうにも恥ずかしくて居心地が悪かったですね。

でも考えてみれば、回りの観客はほとんど女性客ばかりで目障りな男どもがいないし(笑)、日本ではトップクラスの豪華な舞台と、完璧な養成システムで鍛えられた出演者が作り上げる舞台芸術。何度か見ているうちに、これを見ない手はないと思うようになってきました。
第一、心配しなくてもだれも私など見ていません。(笑)

観劇を重ねるうちに、公演の出来不出来、各組のトップコンビの評価もできるようになってきて、面白さも深まってきました。
それでもヨメさんの発病前は平均年間1、2回程度の観劇でしたが、今はリハビリも兼ねて、各組必ず1回は公演を見るようにしています。

宝塚だけでなく一般の演劇も、面白そうなものでチケットが取れればできるだけ見に行くようにしています。宝塚同様最近の劇場はすべて障害者に手厚く配慮してくれるようになっています。
ですが、劇場内ではどこも程度の差はあれ階段状の座席配置のため、移動は「バリア・アリー」(笑)、しかしこれも階段歩行の訓練と思って、積極的に見に行くようにしています。

ちなみに、この何年かの間に観た一般の演劇では、順不同で「タイタス・アンドロニカス」・「かもめ」・「グレイガーデンズ」・「レベッカ」・「黙阿弥オペラ」・「MITSUKO~愛は国境を越えて」・「秘密はうたう」・「キネマの天地」などが面白かったですね。
逆にイマイチだったのは、最新のものでは「アントニーとクレオパトラ」。ちょっと期待はずれでした。

ともあれ、宝塚未見の方は、ぜひ一度、足を運ばれることをお勧めします。
とくにこの「オーシャンズ11」、絶対観られても悔いのない作品だと思います。

大劇場では12月13日(火)まで、その後東京宝塚劇場で1月2日(月)から2月5日(日)まで上演されます。



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