思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

再び宝塚宙組公演『モンテ・クリスト伯』『Amour de 99!!-99年の愛-』を観て

2013年04月07日 | 宝塚

二度目の観劇はドンカルロス以来。やはり話がドラマチックでハッピーエンドなのがなによりです。(笑)

金曜日の観劇は久しぶりですが、この日はヨメさんの診察が入っていたのでまず近くのクリニックへ。終わったのが10時。そのまま大劇場に出発しました。前回と違って全く渋滞なしに到着。まだ花の道の桜は残っていました。

また写真を撮ってから大劇場へ。桜を2度楽しめたのは初めての経験ですね。

昼食はまた親子丼です。(笑)やっぱり絶妙の卵の加減がおいしかったですね。そして係員のみなさんの親身のサービスもありがたかったです。何より安くて、エンゲル係数ならぬ演劇係数の高い私たちの家計にやさしいのがうれしいです。


この日は前回より4列前の14列の上手側80番台での観劇でした。客席の入りについては、けっこう空席がありました。いい舞台だと思うのですが、残念でした。

今回は前回のオペラ忘れで見られなかった出演者の表情とか、主役以外の小芝居にも注意してみました。まず気づいたのが、冒頭の結婚発表の場で逮捕されるシーンでの凰稀かなめの表情。
メルセデスに土産の貝殻のネックレスを渡して喜び一色だったのに↓、

一転して連れて行かれることになったダンテスの悲痛な、絶望感にあふれた表情が胸を打ちました。
その後の獄中での絶望の姿もリアルでした。


それと対照的なのは、その結婚の発表の場に居合わせた悠未ひろ朝夏まなとの表情。結婚発表を祝うめでたい席の片隅で、それぞれ嫉妬に怒り狂っていました。(笑)

そして貴族のメンツをつぶされて怒ったフェルナンは、メルセデスに偽りのダンテスの死亡話を告げて、まんまと結婚までこぎつけます。でもすぐ不仲に、というかフェルナンが放蕩生活を再開します。原作ではフェルナンとメルセデスは従兄妹どおしだとか。

何度見てもフェルナンが一番性格の悪い奴です。
それにしても朝夏まなとの眼の大きいこと。これでは朝夏まなこです。(殴)

それに比べたら、悠未ひろのダングラールのほうは従犯に近いです。でも自分が船長になれなかったからこの怒りの表情。

疑問なのは、ダンテスは一等航海士なので船長になるのは当然ですが、ダングラールは会計士です。だから二重帳簿をつけて横領していたりしますが、それで船長になりたいというのは、どう考えても無理筋な話。実際に後で銀行の頭取になっていますから、船長になりたいなどというのはよくわからないところです。まあ海運会社で出世が遅れていた不満からダンテスに怒りを向けたということでしょうか。

蓮水ゆうやのヴィルフォール検事は、出世と保身に汲々とする小役人ですが、最初は釈放するつもりが自分に火の粉が降りかかることがわかってダンテスに罪をかぶせるずるがしこい人物ぶりがよかったです。(笑)


今回の舞台、全体に石田先生らしい台詞がウケていましたね。グーグルマップだとかiPad戸塚ヨットスクール還付金詐欺よろこび組、「わすレモン」とかいろいろ笑わせてくれます。マルキ・ド・サド侯爵がつながれていた監獄だとか、ファリア司祭のハンムラビ法典についての解説も勉強になります。(笑)
挿入されたエピソードでも、銀行の取付騒ぎとか、キプロス危機を連想してしまいました。

今回観ていて気づいた最大の収穫は、ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス)の配役がなんとジョニー・デップ!に変わっていた(笑)ことです。
ええ、まんま「パイレーツ・オブ・カリビアン」でした。七海ひろき、完全になりきっていましたね。面白かったです。
ルイジ・ヴァンパの手下が鹿児島弁なのも正体がわかりやすいです。オーシャンズのみっちゃんといい、今鹿児島弁が宝塚のトレンディでしょうか。

さて、今回の観劇の一番のお目当て・メルセデス役の実咲凜音です。一番私がオペラで見たかったのは彼女の役ぶりの変化でした。前回も書きましたが、やはり役に入りきっていますね。大したものです。
顔が見えないショットが多いですが↓




母親の声と顔になっていました↓






今回の歌は、彼女の声とキーがあっていないのか、全体にか細い印象でしたが、初めて見せてくれた決闘前夜の立ち回り、けっこうサマになっています。


ところで決闘ですが、メルセデスが息子とダンテスの決闘をやめさせようとダンテスに頼みに行くところがプチ疑問。
いくら頼んでも聞き入れてくれないため、最後には自ら剣を取ってダンテスに挑みますが、ここで「アルベールはあなたの息子よ、だからやめて!」といえば済む話じゃないかと。
実際に彼女は翌日の決闘シーンではそう言うのですから、1日前でもそう変わらないと思うのですが。
でもそれだとせっかくのクライマックスがなくなってしまいますね。(笑)

もひとつ説明不足で腑に落ちないのが、メルセデスがフェルナンに撃たれて倒れる場面。
私は、「あ~あ撃たれた、もう死ぬのか」とがっかりしましたが、そのあと彼女は立ち上がり、全然怪我したそぶりもなくピンピンしているのが不満です。
ここも、誰でもいいから倒れたメルセデスを抱き起しながら、「大丈夫だ、ちょっとかすっただけだ」と言ってくれたら納得するのですが。(笑)

ショーはなんといっても「リオのリズム」の場面がダイナミックで一番でした。
派手な中にもセンスのいい色彩の衣装で踊るカーニバルが大迫力。その中でもやはりパイナップルですね。何とも驚きの脚線美。すごいものをみました。



「アルジェの男」の蒼乃夕妃のダンスといい勝負です。(笑)

あとは「愛の宝石」(カゲソロの純矢ちとせがいいです。この人のエロイーズ役も悪女ですが個性的な美貌が印象的でした)から「シャンゴ」に続く場面もダイナミックで迫力があります。

エピローグのリフトもきれいでした。


そうそう、ショーの中で凰稀かなめが歌う「Amour de 99!!」では「愛に満ちた要となれ」という歌詞があったりして、藤井先生も遊んでいましたね。

今回も凰稀かなめが最前列のお客さんに赤いバラを渡していました。貰えた人、ラッキーでしたね。


というわけで、リアルタイムで見ていなかった私でも楽しめるショーだったと再認識でした。






私たちが2回も見てしまったほど出来がいいと思ったこの公演ですが、ベルばらを除く最近の公演と同様、あまりお客さんの入りはよくなかったですね。今回も後方の空席が気になりました。

でも、テンポよく展開される物語の面白さをたっぷりと堪能できるいい芝居でした。

ぜひ皆さんも、空前絶後の不気味なポスター(笑)に惑わされることなく、ご覧になってください。おすすめです。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする