グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

お米を守るクジラのはなし。

2019-09-13 15:39:02 | Weblog
お米を守るクジラのはなし。

前回のトビイロウンカ関連[こちら]となります。

6月から7月前半にかけて、中国南部から東シナ海を越えて、九州を
中心とした西日本へ飛来してくるイネの害虫が、セジロウンカトビ
イロウンカ
です。

ジェット気流にのって飛来したくるこのウンカ類は、田植え直後の水
田に侵入、産卵・増殖してイネを加害するイネの大害虫なんですよ。

その被害は甚大です。

たとえば『徳川実紀』という江戸期に書かれた書物などには、「享保
17年(1732)西日本でウンカの大発生によりイネが被害を受け
そのために大飢饉
がおこって結果として百万人近くもの餓死者がでた」
という記録も記してあるほどなんですよ。じつに怖ろしい大被害だと
いえます。

さて、そこでタイトルの、「お米を守るクジラのはなし」ですが・・。
そんな大被害をもたらすウンカから、クジラはどのようにしてイネを
まもってくれていたというのでしょうか。

じつは、鯨油が利用されました。

捕獲されたクジラの鯨油(げいゆ)を水面に注ぎ、その油膜で虫の体を
包んで動けないようにするという使用法が広く利用されていたようです。
虫の呼吸器官である気門をふさぐことでウンカを窒息させる方法ですね。

具体的には・・

 田んぼに鯨油をまく
 ↓
 田の表面に油の膜ができる
 ↓
 棒やササなどでイネを揺すったり叩いたりする
 ↓
 害虫を、水面にできた油膜の上に落として窒息させる


という方法が取られていました。

この方法は江戸時代後期に発案されて全国に広まり、結果として日本の
米の増収をもたしたと言われているほどに効果があったようですよ。
ウンカが大発生すると、幕府は各地の代官に対して鯨油による注油駆除
を布達した
・・・との記述も多数残っていることから、鯨油をつかっ
たこのウンカ駆除法は、幕府お墨付きの農業技術であったことが判明し
ております。

つくづく クジラには、感謝ですね。


晴れ 鯨油を牛馬のからだに塗りつけることで、アブなどの吸血
  害虫の被害から牛馬を守る
という使用方法も行われていました。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜



ミステリーサークル状の穴を作るトビイロウンカ。

2019-09-11 11:00:14 | Weblog

ミステリーサークル状の穴を作るトビイロウンカ。

水田のイネの穂がそろったあたりの時期から、あれよあれよというまに
イネの茎が灰白色になって株が倒れ始め、そのうちに遠目でもはっきり
わかるような円形の“窪地状の坪枯れ”ができる・・・
        

ちょっとした小型の “ミステリーサークル”のように、水田のあちこちに
陥没ができるのが イネの害虫であるトビイロウンカによる被害です。

         

その穴の大きさですが、今回の写真のケースでは 普通車のトラックが
すっぽりはいるくらい。ですから この虫の発生によるイネへの影響は
大きいものとなり[倒伏しない程度のイネにも発生していますからね]

 ● 収穫期の終盤ちかくの発生で  3割近くの減収
 ● 穂がでて30日くらいの発生で  5割近くの減収
 ● 穂がでてまもなくの発生では  収穫が皆無

という大被害をもたらすことになってしまうのが、現場でのイネをみる
とよくわかります[今回の写真は西都市にて09日に撮影]。

このイネの大害虫であるトビイロウンカ が、ただいま西日本を中心に
大発生。9月10日時点で16の都道府県で注意報や警報が発令される事態
となっていますよ。おそらくは 7月初めの台風などの温湿な南西から
の風に乗って飛来した海外から飛来した第一世代の子供たち が、繁殖
したものだと考えられます。

このように、つぎつぎと世代交代して大繁殖していくトビイロウンカ。

早生種よりも晩生の品種・乾田よりも湿田・ウルチ米よりもモチゴメ
といった具合に被害が大きくなりますので、 心当たりのかたは水田を
よく観察し[成虫で5ミリ弱といったところ]、被害を発見されたとき
には出来るだけ早く関係機関の発表にそった対策を実施されるようにさ
れてくださいね。

なんたって、寄生されたイネは こんな状態 ↓

             

見るからに 痒そうでゾワゾワ してしまいます。


晴れ 病虫害被害を軽減するために大切になるのは、なんと
  いっても早期発見。被害にあったとして3割減収の場合
  では10アール当たり3万円。1haでは30万、10ha
  だと300万にもなりますものね~。これがもし壊滅なんて
  事態となったらなら、ぞっとします。・・ということで日常の
  こまめな観察ってやっぱり大切。。

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台風後のケアをしても作物の元気が戻らないときには。

2019-09-10 15:49:15 | Weblog
台風後のケアをしても作物の元気が戻らないときには。

台風害でおそろしいのは風水害ですよね。そしてもうひとつ、台風といえば
忘れてはならないものに・・・塩害 があります。

大雨が降った地方であるなら、そう心配せずともよいのですが、台風の進路
の関係で雨量の少ない台風の場合に発生[海岸線から30キロ以上離れてい
ても]することがあるのです。 

この塩害。
ポイントは、塩の害は急激にはでない ということ。

ここが塩害のこわいところで、なんとなく元気がないなあ・・と思っている
うちに日増し〔1週間から10日といったところ〕に

 葉が黄化していき、その後褐変して落葉

といった経過をたどります。もちろんこの状態がつづいていけば、悪くする
植物体の枯死にもいたる場合もあるので注意が必要です。

そしてこの塩害に対する対策ですが

 ​台風が去ったあとの植物体に対する清潔な水の散布​

となります。前回の台風後の植物ケアの回にお知らせした「翌日にうすい液
肥や薬剤をかける」というのは、この塩害対策を兼ねてもいるというわけで
した。

塩害のおきやすい作物、おきやすい場所としては、たとえば

 ●​ 露地植えで栽培されている果樹
  ハウス栽培であれば、出入り口や換気口のそば
  ガーデニングでいえば家の軒下
 
といった、露地や施設栽培であれば外からの風のあたる場所になりますので、
対策をする場合は うすい液肥や水を たっぷりと念入りに散布することが
植物体の樹勢回復のポイントになります。使用する液肥としてはアクセル1号
や多木有機液肥3号などをおすすめしています。


今回のブログを読まれて、「そういえば毎年・毎回、台風後にはなかなか元
気が回復しない場所があるな
」と思い当たられた方がおられました、お試し
ください。


晴れ 台風後のケアひとつで、見違えるように元気になることも。
  要所要所で手間を惜しまないことが農業では大切 です。

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台風の後の植物のお手入れは・・・。

2019-09-09 11:13:33 | Weblog
台風の後の植物のお手入れは・・・。K

台風の通過に伴って、荒れたお天気がつづきました。皆様方の地方
には大事ありませんでしたでしょうか。
今回は、そんな台風後の植物の管理の一例を記してみました。よろ
しかったら。


   吹き返しや雨がおさまったら

 1. 排水溝などを作って排水に努める〔水がたまっている場合〕
 2. 折れた枝・傷んだ枝は、剪定する〔剪定跡にはロウを塗る〕
 3. 倒伏したり揺れ動いた樹は、土寄せし支柱を添える
 4. 殺菌剤または、清潔な水だけでもよいから 葉面散布

   
   水が使える段階になったら

 4. 薄い液肥を、たっぷりと かん水
 5. チッソ肥料類の散布は避け、リン酸・苦土主体の肥料を散布
 6. 剪定した枝や落ち葉は、速やかに園外に持ち出し処分する。

と、いったものです。  

その後しばらくして土が締まっているようであれば、土に空気を
入れてあげる
ことも植物の樹勢を回復させるのに、とても役に
立ちますよ。お試しください。

   → 家屋が床上浸水にあった場合の消毒法については こちら 。 

晴れ 台風後のケアひとつで、見違えるように元気になることも。
  要所要所で手間をかけることが、農業では大切です。

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いけだのうなくん。

2019-09-06 17:06:25 | Weblog
​​​​​いけだのうなくん。

ネッシーは大ウナギではないかという発表を受けて、オオウナギ
の生息地でもあり、そしてイッシー生息の話もある鹿児島県池田
湖のオオウナギの話を再録してみました。よろしかったら。。

  ← 池田湖畔にあるイッシーの像。

 ↓


​​​​​いけだのうなくん/2010年

どう、最近は。元気にやってた?

​  ボートやさん →   ボート小屋.jpg

と、開聞岳をバックに広がる池田湖にあるボートやさんの水槽
にいる オオウナギ[1メートル以上]に話しかける自分。

  前にきたときは、きみは15歳だってきいてたんだから、
 いまは18歳?
 あっちのおじさんウナギにはね、この20年間は3回は会っ
 てる。
50歳だもんね、あのおじさんも。顔なじみといっち
 ゃあ、顔なじみなんだ。


   ウナくん.jpg

 あのおじさん、体調はいいようだよね。
ちょっとメタボって
 るかんじだけれど、
食事はいいみたいで安心したよ。

 にしても、ずいぶんまたここは寂れたかんじだよね。管理人
 さんもさあ、ボートにのせることより
もっと君たちをアピー
 ルしたほうがいいのにね。せっかく
秋篠宮さまだって会いに
 来られたんでしょう・・・そんなニュースをもっと宣伝すれ
 ばいいのにねぇ。ちょっと
商売が下手な気がするよ/笑。

 おもいきってさぁ、 きみのこの住まいを もっと改築して

 広くして、緑とか庭石とかをふやせばいいのに。
 きみの動く姿を もっとみてもらえるようにしてさ。
​ そしたら、もっと いろんな人が てくれるんじゃないのか
 なぁ。

池田湖にくるたびにそんなことを心におもい、オオウナギに
ついつい語りかける自分。

かつての生活の場である湖から少しだけ隔てられた湖畔のお店
のデッキにある金網つきのこの水槽。

しかしすこしだけはなれている距離とはいえ、興味を惹かれる
出来事はあまり存在しそうにない、
故郷の湖の環境と隔離され
た、自由のありそうもない世界に生きる彼[いや彼女かも]。


「でけー」
「蒲焼きにすると何人前だろう」
「イッシーだ・イッシーだ」

毎日頭の上で聞こえる無数の声を聞いているであろう 彼ら
の心
情はいかばかりか。できれば自由にしてあげたいなと思い
つつ、いやしかし、もしここに彼らの姿がこの
水槽から消えて
しまったとしたら、ときどきやってくる自分としては それは
それでとてもさびしいと
感じるであろうこの矛盾した気持。

いやはや人って、ほんとに自分勝手。


そのとき吹いた一陣の風。
波立った水面が邪魔して15歳のオオウナギの姿が一瞬みえな
くなりました。

風がやんだとき、彼は意外にも底から離れて、水面近くに。
まん丸な両目を上目遣いに金網がなければ頭を撫でられるであ
ろうほどの近くにとどまっています。


こちらをじっとみつめ、なにかを話しかけいるようです。


自分はそのとき リアルウナギ犬の姿 を彼にみましたね・・・
そしてなぜだかすこしだけすくわれた気がしました。



 ウナギイヌ.jpg

ありがとう。またくるよっ。



晴れ  至近距離でみるオオウナギの頭の大きさは、ビーグル犬
  くらいといったらおわかりになるでしょうか。そして人に
  は馴れやすいのではないかともおもいます。が、
  「オオウナギがウナギわななどにかかっていてもくれぐれ
   も捕まえようとしないように。オオウナギはとても力が
   強く、大きなものなら罠が体にからみついて中学1・2
   年生の男子ぐらいなら水の中に引き込んでしまう」なん
   てはなしもきいたりします。

  
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg
夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染