なんとなく囲碁夜話

私は囲碁が好きだ。初めはなんとなく、ニアミスを繰り返し、深みに嵌ってしまった。

思考スピード

2007-07-02 18:37:22 | Weblog
 人には夫々考えるスピードというものがあって、皆夫々に多少の差があるようです。
 これはキャラクターと呼ばれることの範囲内なのか、あるいはそれ以上の性能的な能力の問題なのかということはありそうですが。
 混同されやすいと思われることもあります。
  正しい答えを選ぶのに(確かめることも含め)時間がかかると言うことと、単に反応が早いという事があると思うのです。
 例えばスポーツなどでは、相手の動きに応じてとりあえず反応しなければいけないという事が多いので、善悪の選択以上に反応という面が重要なことがありますね。
 だからスポーツによく似た戦争の「兵法」の分野では「兵は拙速をもって・・・云々」とあったような気がします。
 ところが戦争によく似た碁においては、「拙速」という要素は殆ど無い
  いや、「時計」という時間的要素では無いことも無いのだろうが・・・
 あくまでも「速」はいいとしても「拙」は困るわけです。
  私の場合はまさに困る方の「拙速」をやってしまうことは多々ある。
 
 このような前振りとはぴったりな話ではないかも知れませんが、日曜日の対局は変わっているという意味で面白かったし、ある意味で勉強させられました
 この日の相手は日本列島の南の県の人で、今日は彼のほうが私より3点上なので私の先番でコミ3目半出し
 お互い2連星同士の立ち上がりで出だしはどうということも無さそうなのですが、早い時期に大きな石の生き死に絡む場面が出来てしまいました。
 序盤から中盤という所で白が打った一手で、白は一見凌いでいるように見えるのですが、どうも怪しい
  これはまず、第一感何かありそうという匂いがするのです。
 勿論当方は素人ですから、勘が正しいなど思っていませんが、こういう序盤でもチャンスならば見逃すわけには行きません。
 後で振り返ったら「チャンスはあのときだけ」なんていうのはよくありますからね。
 だから、ココではかなり本腰を入れて時間を使った。
  と言っても5分かせいぜい10分でしょうか
 持ち時間45分のうちの10分は短くは無いです。
(こういう時新ルールで5分くらい打たないでいると警告が発せられるのは困ります・・・放ってあるのではないのですからね。この解決法はパソコン画面にお互いの顔が映るとか・・・)
その結果、「取りに言った場合、白はギリギリ2眼で生きる手はありそう。但し回りは完封できそう・・・もし取りに行かないならばここにかなりのコウ立てが残る。白がこのコウ立てを拒否しはっきり生きるには一手かけるかも」そんな結論でした。
 但しそれでもこの結論に自分で納得がいかず、「それでも、何かあるはず」と長考を重ねたのだから、我ながらしつこいのか、自分を信じていないというか
 そしてしつこさの成果でしょうか、黒先でコウになる手順を発見した・・・”但しコウ立てが思わしくないから余り現実的では無さそう”と考えている時に突然異変が起こった。
 白氏突然の投了・退席・・・これには驚きました。
  彼に急用が出来たのだろうか?
  余りに待たされるので嫌気がさしたのだろうか?
  それとも正しく打てば白に生きが無い手を彼の方が発見したのだろうか?
 その時一人観戦者がいたけれど、彼も驚いたのだろうか?それとも長考をする私に呆れていただろうか?
 ともかく勝敗という結果は確定しています。
  が、何故勝ったのか・何故白が投了したのかそこが問題です
 そういうことで、後で棋譜倉庫から自戦譜の最新譜を呼び出して検討して問題の場面とにらめっこです。
 これは実戦で使った時間と合わせると相当になります
  更に確認するために「研究」モードで並べては崩しを繰り返す
  もしかして黒先コウなのに白が勝手読みで投了したのかもしれない・・・それだと、あの長考でプレッシャーをかけたみたいな後味の悪さが残ります。
 検証の甲斐があって、黒先白死の手順を発見した
  見つけてしまえばコロンブスの卵かもしれないけれど・・・
(本当の問題点は、その場面に至る数手前に黒が白を取りに行く手があったことが分かった。だから問題の場面で手無しという結論だったらと思うとゾッとします。)
 この手があるということは、白さんは私より先にその手を発見したのだろう
  そして私の着手を待たずに、白の手番で投了したのだろう。
 これは複雑な心境ですね。
  もしかしたら、対局中に正しい手順を発見して、その1手を打ったところで白が投了するということが起きれば普通、でももしかしたら黒はその手を発見できずに白が結果として凌いだのかも知れない・・・
 彼は後者の可能性を自分で拒否したということになる。

 さてこれは私の反応の悪さが、長考・確認作業みたいに見えたのかも
  白氏のほうが早見えということになる
自分が負けるストーリーが先に見えてしまったということでしょうか
 もし彼の思考スピードが私と同じ程度だったら、彼は投了しなかったでしょうね
  もっとも相手の手番で投了するという”せっかち”な性格は問題かも知れませんが、これも脳の回転が速すぎるということかも知れませんね