なんとなく囲碁夜話

私は囲碁が好きだ。初めはなんとなく、ニアミスを繰り返し、深みに嵌ってしまった。

柿一つ

2009-10-11 09:57:05 | Weblog
 私のベッドサイドのワゴンの中に柿の実が一つ乗っかっています。
  たまたま通りかかったスーパーの店頭に並んでいたもの・・・一山幾らではなく一つ幾らで売っていた柿を二つ買ったうちの残りの一つです。
 こういう売り方でしたが特に大きくて立派な柿ではなく、ごく普通、強いて言えば甘くて種が無いと言うものですが、必要な分だけ買えるのでついでに買い物ワゴンに入れました。
 さて柿、秋ですね、気持ちが落ち着きますから秋は四季の中で一番好きな季節です、、、なんと言っても凍えるほどの寒さが無くて暑くないところが良い、、、勿論実りの秋ですし。
 柿についてはいろいろな思い出がありますが、ベッドの横に置いてある柿一つでいろんな事を思い出しましたので、大道の物売りではありませんが御用とお急ぎでない方は少々お付き合いのほどを・・・。
 
 横に置いてある本物の柿だけでなく、先日のTV番組も引き金になっています。
  NHKで2週続けて韓流ドラマ特集があって後編の方が例の「チャングム」で、料理に柿の実をかくし味に使う話が取り上げられていたのもきっかけになっています。
 TVの方は宮廷女官の師弟愛とか卓越した舌の能力の話になって行きますが、私の方は私の子供時代の母の思い出です。
 私は体は大きい子供でしたが、虚弱と言うほどではないけれどよく熱を出す子供だったようで、当時は薬局で抗生物質を売っている時代でしたので、よくそういう薬も飲まされたものです。
 それに母の手作りのせんじ薬。
  韓流ドラマのチャングムも医女になるので薬草を煎じる場面がありますし、他にもホジュンなどでもそういう場面が多く出て来ますが私にとっては道具は多少違いますが、あれも子供時代の見なれた風景なのです。
 ですから薬草を煎じる事、あの湯気と薬の臭いは何つかしいものがあります・・・そういう意味ではハーブティだっていろんなスパイスも同じだと思っています。
 さて、私が熱を出すと母が作るのは、ユキノシタなど庭に生えている草+キンカンに干し柿などを入れて飲みやすくして煎じる。
 特に上手いとも思えませんし、本当に薬効があったかどうかも分かりませんが、ともかく熱を出した時の定番。
 ただ、不思議なことに他の兄弟たちは飲みません。
  多分こういう煎じ薬が嫌いだっただけでしょうが・・・そう言えば母が飲んでいた実母散という煎じ薬を私だけは横から手を出していたのだから変わった子供だったのでしょう。
 マア、いやしいンボだっただかけか・・・でも当時は無かったのですが、考えて見れば今のウーロン茶みたいなものでした。

 柿と言えば、大学に入学して当地で下宿生活を始めた時に、近所の交番の庭に柿の木が一本植えてありました。
 秋になると枝いっぱいに実がなりましたが、まさか交番の柿を黙って頂くわけにはいきません・・・
 留守の多い交番で勤務している警察官は見たことが無いのし、横に丁度良い高さのブロック塀もあるのですが、流石に柿一つで窃盗と言うことはできなくて、イソップ調に『あれは渋ガキだぞ!』と唱えながら横を通ったものです。
 (今はその交番は廃止されて無くなっていますし、柿の木も無くなっています)

 柿と言うと修学旅行に関連した思い出があります。
 中学・高校と修学旅行は奈良京都方面・・・静岡から丁度良い距離・日程でもあるので(今風の海外は無いから)、普通に積立貯金をして丁度よかったのでしょう。
 さて高校の時は自由行動という形式が多くて、グループごとに計画を立てて半日単位で歩く・・・マア、レポートを出すのが面倒ですが。
 京都の場合は嵯峨野でして、解散してから決まった時刻に天竜寺の近くに集合と言うこと以外には後は自由行動。
 確か祇王寺、滝口寺、野々宮、落柿舎などを歩いた記憶があります。
  それで、落柿舎・・・名前に柿の字があるのでどうしても子規の句とごちゃ混ぜになってしまうのです。
 片方は法隆寺ですから奈良なので、明らかに嵯峨野とは違うのに。
  ともかく、秋・京都の旅・柿とくれば嵯峨野の竹林沿いの道とか、観光コースなのに小道・裏道みたいな所ばかり歩いた記憶が蘇ります。
 当時の印象では柿の方では無く野々宮の方が一番興味を持ったねで何かお守りでもと思ったのですが、「縁結び」「安産」だったので、男子高校生としては見送った記憶があります。
 
 ところで大学時代に愉快な後輩がいて、法隆寺の方の子規の句ですが、切り方を変えて読む・・・「柿食え、馬鹿メ、ガナルなり、法隆寺」。
 こういうのも一度聞くとあれから40年たっても忘れないのですから、記憶力と言うよりおバカな性格なんでしょう。

 柿の木で思い出しましたが、東北方面出身の同僚がいまして、彼の出身地では柿は殆どが渋ガキだったとかで、干すか渋抜きをしなくて食べられなかったそうです。 
 ですから木になっている柿をもいで食べるイメージが無いとか・・・
  さて渋ガキと甘柿の分布と言うのがあるのでしょうか。

 さて柿、柿の実を全部収穫しないで枝先に一つ二つ残してある景色。
 歌で言うと「モズが枯れ木で啼いている・・・」
  こういうのが原風景と言うのでしょうか、かなりレトロと言うか田舎嗜好と言うか・・・でもこういう風景の中で、藁ぶきの家で縁側で碁を打てたら幸せでしょうね。
 リアルでなくてもネット碁でも、お茶など飲みながら打てたら良いですねきっと。