昨日の朝日新聞<声>欄は、「どう思いますか リニア中央新幹線」を特集していました。
7人の投書を掲載していましたが、26歳の方が「一日も早い運行を心から期待しています。」と、投稿しているだけでした。
山本義隆著みすず書房刊「リニア中央新幹線をめぐって 原発事故とコロナ・パンデミックから見直す」は、次のように警告していました。
コロナ・パンデミックを機に見直すべきものの象徴として著者が取り上げるのはリニア中央新幹線計画である。本書は,安倍政権下で事実上国策化した超伝導リニア計画がはらむ問題を,できるかぎり明確に指摘するという,小さな,具体的な狙いをもつ。それは同時に,なぜこの国では合理性のない超巨大プロジエクトが次々に暴走してしまうのかを浮彫にしている。
リニア計画は深刻なエネルギー問題を抱えている。そして進行中の大規模環境問題抱えている。にもかかわらず,虚妄に満ちた「6000万人メガロポリス」構想,原発稼働の利害との結合,大深度法の横暴など,計画は目的と手段の両面で横車を押すようにして推進されてきた。中枢レベルの政治権力の私物化や,ナショナリズムと科学技術の結びつきがそれを可能にしてきたことも,本書は明らかにする。
最終節は,この暴挙の根を掘り下げる。日本の戦後の産業経済は,旧体制から引き継いだ諸条件を足場に経済成長を成し遂げた。そこで強化された既得権益と前世紀的な成長への醒めない夢が,時代錯誤の巨大 プロジェクトの温床となっている。3.11以後/コロナ禍以後の,持続可能性を追求すべき世界で, なお私たちはそれらを延命させるのか? 決然と,それを間う書である。
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(了)