友人の川口重雄さんのメールを転載します。(一部)
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各位 1月8日〔本日第1信〕
一昨日の夜の雨、湿気を含んだ穏やかな昨朝から今朝は冬空が広がっています。
▼2011年3月11日に起きた東日本大震災から14年、震災の翌年から岩手県久慈市から福島県いわき市まで被災地をめぐってきました。
現役の教員時代、被災地の方のお役に立つような支援活動が出来ないともやもやした日々を過ごしました。
そこで三陸鉄道が呼びかけた「来てください、見てください、お金を使ってください」という惹句に誘われて見学旅行を2012年春に始めました。
残念ながら毎年のその企画・旅行はコロナ禍のために9回目の2020年で中断しました。
何とか続けたい、被災地の「現在」を「現場」に行って見たいという思いを富士国際旅行社社長 太田正一さんが汲み取ってくれて、2023年3月から「東日本大震災「3・11」後の現場を見に行く福島の旅 3日間」を始めました。
お蔭様で昨年も行い、今年も下記の日程で行います。
「東日本大震災「3・11」後の現場を見に行く福島の旅 3日間」 (添付ファイルをご覧ください。)
日時:2025年3月26日(水)〜28日(金)
ぜひご一緒しましょう。
▼旧年11月28日(木)から30日(土)までご案内した「JR只見線全線再開から2年 秋の越後を訪ねる旅」で新潟水俣病阿賀野患者会事務局長 酢山省三さん、
ノーモア・ミナマタ第2次新潟訴訟原告団副団長 福地幸二さん(76歳)のお話を聴きました。
今年は新潟水俣病公式確認(公表)60年の年です(熊本の水俣病は、1956年5月1日の公式確認から69年)。
旅行第2日目の学習会、現地見学について、阿賀野患者会会報『あがの川』第61号(2025年1月1日)に拙稿を寄せました。 (添付ファイルをご覧ください。)
今年秋にもお訪ねします。
こちらもご一緒しましょう。
【友人から届いた情報2点】
今朝は選りすぐりのトンチンカン情報が二つです。
1.大石格「戦後80年、なお続く靖国問題・編集委員」『日本経済新聞』2025年1月6日
天下の日本経済新聞の編集委員の筆者によれば「まずは靖国神社がどんなところかを振り返ろう。まつられているのは、近代日本のため
に命を落とした人々である」。
近代日本ではありません、「天皇のために命を落としたとされる人々」をまつる、天皇制をかつぎたい人たち、天皇信仰を盤石にしたい人々が人工的に作ったのが靖国神社です。
よく言われるように西南戦争で政府軍に歯向かった西郷隆盛らは祭神ではありません。
本殿の脇の全世界の戦争で命を落とした人々をまつった「鎮霊社」にまつられています。
以前は自由に見学できた「鎮霊社」は今では厳重にかんぬきと鍵がかけられた柵の向こうにあります。
この程度の間違った歴史認識の人が書く論説、通勤・退勤時に読んでいるサラリーマン・ウーマンがいるかと思うと怖くなります。
2.連載夫婦別姓「韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓」『産経新聞』2025年1月4日
夫婦同姓が会社の方針とみられる『産経新聞』の連載記事です。
これまた勉強になります。
マグロ塚オンライン署名をしたよ、とメールをくださる方がおられます。
ありがとうございます。
それでは。川口重雄拝
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1.戦後80年、なお続く靖国問題・編集委員 大石格(日経)250106
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD266AV0W4A221C2000000/#:~:text=%E9%9D%96%E5%9B%BD
2024年の自民党総裁選でも首相参拝の是非が論点になった靖国神社(東京都千代田区)
今年は戦後80年にあたる。長い歳月が過ぎたにもかかわらず、なお解決できずにいる政
治課題は少なくない。その代表例が靖国神社との向き合い方だ。昨年も自民党総裁選で
、首相の参拝の是非が論点のひとつになった。
まずは靖国神社がどんなところかを振り返ろう。まつられているのは、近代日本のため
に命を落とした人々である。吉田松陰ら幕末の志士に始まり、最も多いのは第2次世界
大戦の戦死者である。戦前は陸海軍の管轄下にあったが、戦後はGHQ(連合国軍総司令
部)が政教分離を求めた結果、宗教法人のひとつになった。
神社への公的な支援はなくなったが、参拝だけならば問題視されることはなかった。戦
後しばらくは昭和天皇は数年おきに、吉田茂ら歴代首相は頻繁に、参拝していた。
戦犯合祀で状況が一変
1978年、状況が一変した。靖国神社が極東国際軍事裁判(東京裁判)で絞首刑となった
東条英機らA級戦犯7人をひそかに合祀(ごうし)したのだ。著名な軍人でも戦死ではな
い乃木希典らはまつられていない。7人の合祀は、対象は戦死者という原則から外れる
ため、「昭和殉難者」という新たなくくりが設けられた。
翌1979年に戦犯合祀がスクープされると、東条らを神格化しようとする動きとして波紋
を広げた。これ以降、昭和天皇は参拝しなくなった。皇位を引き継いで以降の上皇さま
や天皇陛下はいちども足を向けていない。
昭和天皇の心境をうかがわせるものとしては、宮内庁長官だった富田朝彦が残したメモ
がある。「A級が合祀され」「あれ以来参拝していない」「それが私の心だ」などの記
述があり、昭和天皇が合祀に納得していなかったと読める。
首相の公式参拝に中韓が反発
昭和天皇が参拝しなくなったことは自民党の保守派に衝撃を与えた。合祀を通じて、先
の大戦を正当化しようとしていたのに全くの裏目だったからだ。
そこで浮上したのが、1985年の中曽根康弘首相による公式参拝だ。首相の私的行為だっ
た参拝を政府の公的行事に格上げすれば、天皇参拝ほどでなくとも、東条らの復権につ
ながると思ったのだ。
靖国神社に参拝する中曽根康弘首相(1984年、このときは私的参拝)
中国や韓国は激しく反発した。中曽根氏は翌1986年、公式参拝どころか、私的参拝も見
送った。後藤田正晴官房長官(当時)は「公式参拝はA級戦犯に対して礼拝したのでは
ないかとの批判を生み、我が国が表明してきた戦争への反省と平和友好への決意に対す
る誤解と不信さえ生まれるおそれがある」との談話を出した。
以降、橋本龍太郎、小泉純一郎、安倍晋三の各首相が参拝したが、外交的なあつれきに
もかかわらず毎年行ったのは小泉氏だけだった。
高市氏「首相でも参拝」
昨年11月、新潟県で催された「佐渡島の金山」追悼式に参加するはずだった韓国代表が
ドタキャンした。日本政府を代表して出席した生稲晃子外務政務官が靖国参拝した過去
があるとされたことへの反発だった。
この騒動は、生稲氏の過去の参拝という共同通信の報道がそもそも誤りだったとわかっ
たことで収束した。とはいえ、中韓は首相や外相だけでなく、副大臣や政務官クラスの
参拝も許容せず、いちだんとハードルを上げてきたことが鮮明になった。
自民党総裁選の決選投票で票を投じる高市早苗氏(昨年9月)
日本のSNSには「外国にとやかく言われる筋合いではない」との書き込みが多く見られ
た。こうした声が広がった背景にあるのは、自民党内における保守派の発言力の高まり
だ。昨年9月の自民党総裁選で決選投票に進んだ高市早苗経済安全保障相(当時)は首
相に就任した場合でも靖国神社に「ふだん通り淡々とお参りをしたい」と明言し、下馬
評を大きく上回る支持を集めた。
ドイツはヒトラーをまつっていない
高市氏は靖国参拝の意図を「国策に殉じられた方に尊崇の念を持って感謝の思いをささ
げる」と強調する。米国やドイツなどでも国が戦没者の慰霊をしており、それと同じで
あるという理屈だ。
しかし、この説明には欠落している部分がある。ドイツの首都ベルリンには「ノイエ・
バッヘ」と呼ばれる施設があり、�世界大戦における戦没者�殺害された数百万人のユ
ダヤ人ら——が慰霊対象になっている。ドイツ軍の一般兵士は含まれるが、侵略を主導
したアドルフ・ヒトラー総統はそうではない。ドイツの大統領や首相はノイエ・バッヘ
を毎年訪れるが、ファシズム礼賛と誤解されるおそれはない。
安倍談話も「侵略」
戦前日本の戦争はアジアを白人支配から解放するための聖戦だった。後付けのルールで
裁いた東京裁判は国際法違反である。こうした言説をよく聞く。全否定するつもりはな
いが、それで戦前日本の行いを正当化できるかといえば、答えはノーである。
戦後70年談話を発表する当時の安倍晋三首相(2015年)
保守派の代表格だった安倍晋三氏が首相在任中の2015年に出した戦後70年談話はこう記
している。
「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実」
「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては
、もう二度と用いてはならない」
戦前日本の行いが間違いだったと認め、反省を表明している。帝国主義の時代の日本の
戦争は否定しない一方、第1次世界大戦の惨禍を経て生まれた国際連盟・不戦条約秩序
を日本が先頭を切って壊したという歴史の流れも明確にしている。聖戦史観とは随分、
距離がある。
自衛官の慰霊施設は靖国ではない
2024年、自衛隊と靖国神社の接近を感じさせる場面がいくつかあった。
1月に小林弘樹・陸上幕僚副長(陸将)ら自衛官22人が連れだって参拝した。4月には海
上自衛隊幹部学校長などを務めた大塚海夫・元海将が宮司に就いた。自衛隊のマインド
がかつての陸海軍に近づいているとすれば好ましいことではない。
国際情勢の緊迫もあり、自衛隊員に不測の事態が起きる可能性はないとは言い切れない
。保守派には「そのときには靖国神社に迎えるべきだ」との声がある。
防衛省には事故などで公務死した自衛官を慰霊する「メモリアルゾーン」という施設が
あり、毎年秋に首相や防衛相が参列して慰霊式典を開いている。靖国神社を持ち出すの
は筋違いである。
解決策は分祀しかない
ドイツの例でわかるように、かつての戦争指導者を含まない慰霊であれば外交的なあつ
れきにつながることはない。となれば解決策は東条らを分祀し、靖国神社には逆らえな
い軍命によって死地に赴くしかなかった将兵のみをまつる形にするしかない。
中曽根氏は公式参拝が外交的あつれきを生んだあと、靖国神社に分祀を働きかけた。日
本遺族会事務局長を務めた板垣正氏(A級戦犯として刑死した板垣征四郎大将の次男)
は著書「靖国公式参拝の総括」でそう明らかにしている。
安倍氏も分祀を考えていた。昨年、高村正彦元自民党副総裁が著書「冷戦後の日本外交
」でそう証言した。日本遺族会会長を務めた古賀誠氏との話し合いを模索していたが、
実現する前に安倍氏は不慮の死を遂げた。
もう一例挙げれば、昨年末に亡くなった読売新聞グループ本社主筆の渡辺恒雄氏は保守
寄りの論客だったが、靖国参拝へのスタンスは明確だった。2014年の月刊誌「文芸春秋
」への寄稿にこう書いた。
「A級戦犯が分祀されない限り、国家を代表する政治権力者は公式参拝すべきでない」
いま自民党内には、昨年の衆院選で新興政党に奪われた保守票を取り戻すため、右ばね
を強めるべきだとの声がかなりある。靖国参拝はわかりやすいデモンストレーションに
使われがちだ。夏の参院選での得票増にはつながるかもしれないが、日本外交には大き
なマイナスとなろう。道を誤らないでもらいたい。
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(了)