週刊文春2月11日号22・23頁
贈収賄(ぞうしゅうわい)とは、「賄賂を贈ることと受け取ること」です。一般的に賄賂とは「自分の都合のよいように取り計らってもらうために贈る金品」という意味ですが、「職務に関して受け取る不正な報酬」という意味もあります。この「不正な報酬」には、金品のほかギフト券、接待、旅行などへの招待、寄付、値引き、就職の世話、試験の採点、性的サービスなども含まれます。企業が公務員に対して賄賂を贈ると、渡した企業は贈賄罪、受け取った公務員は収賄罪で罰せられます。
公務員っておごったりおごられたりしたら贈収賄にならならないの?
賄賂(わいろ)とは、贈る側からすると「自分に有利なように取り計らってもらうために贈る不正な金品」、受け取る側からすると「公務員などの職務に関する不法な報酬」のことで、この賄賂を贈ったり受け取ったりすることを「贈収賄(ぞうしゅうわい)」といいます。
最近話題になった、黒川前東京高検検事長及び3人の新聞記者らが新型コロナウイルス感染拡大に対する緊急事態宣言下で賭けマージャンを複数回行った問題で、一連の行動が常習賭博罪や贈収賄罪の疑いがあると、市民団体などが東京地検特捜部に告発状を提出していました。
どのような場合に贈収賄と認定されるのか、あるいは認定されないのか、本事件を通して贈収賄罪について詳しく説明します。
収賄罪(しゅうわいざい)とは
冒頭で贈収賄について簡単に記載しましたが、公務員が賄賂を受け取る「収賄罪」にはいくつかのパターンがあります。
刑法では犯罪のパターンによって、次の1〜7の収賄罪が規定されています。
1.単純収賄罪(刑法第197条 第1項前半)
公務員がその職務に関し、賄賂を収受・要求・約束をしたときは、5年以下の懲役。
※「賄賂」は公務員の職務に関する不正の見返りとしての性質がなければいけませんが、直接贈る金品だけではなく、接待、旅行への招待、値引き、試験の有利な採点、就職の口利きなどの行為も含まれます。
2.受託収賄罪(刑法第197条 第1項後半)
請託を受けて単純収賄を行ったときは、7年以下の懲役。
※「請託」とは、公務員に一定の職務行為を行うように依頼することです。
3.事前収賄罪(刑法第197条 第2項)
公務員になろうとする者が、将来担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受・要求・約束をしたときは、公務員となった場合に5年以下の懲役。
4.第三者供賄剤(刑法第197条の2)
公務員が、その職務に関し、請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役
5.加重収賄罪(刑法第197条の3 第1項・第2項)
- 公務員が1〜4の罪を犯し、よって不正な行為をし、または相当の行為をしなかったときは、1年以上(20年以下)の有期懲役
- 公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受・要求・約束をし、または第三者に賄賂を供与させ、または供与の要求・約束をしたときは、1年以上(20年以下)の有期懲役
6.事後収賄罪(刑法第197条の3 第3項)
公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと、または相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受・要求・約束をしたときは、5年以下の懲役
7.あっせん収賄罪(刑法第197条の4)
公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、または相当の行為をさせないようにあっせんをすること、またはしたことの報酬として、賄賂を収受・要求・約束をしたときは、5年以下の懲役
贈賄罪(ぞうわいざい)とは
上記1〜7の収賄罪において、公務員に賄賂を供与し、またはその申込み・約束をしたときには「贈賄罪」となり、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処せられます。
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東京新聞「こちら特報部」から
(了)