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改めて共産党吉井議員の「福島原発事故」予算委員会質問を読む

2016年03月12日 | 災害と原発問題
東日本大震災から五年目を迎えて未だに収束しない福島原発事故被害について考えました。
日本共産党衆議院議員吉井英勝さんが、津波による原発の被害想定について警鐘をならしていたことが重要なことだと思いました。
2,012(平成24)年の衆議院予算員会の議事録を転載します(抜粋)


第180回国会 予算委員会 第9号
平成二十四年二月十五日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 中井  洽君
   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君
   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君
   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君
   理事 高木 陽介君
      井戸まさえ君    石井登志郎君
      石関 貴史君    磯谷香代子君
      今井 雅人君    打越あかし君
      江端 貴子君    大西 健介君
      金森  正君    岸本 周平君
      櫛渕 万里君    近藤 和也君
      佐々木隆博君    杉本かずみ君
      玉木雄一郎君    仁木 博文君
      橋本 博明君    花咲 宏基君
      馬淵 澄夫君    向山 好一君
      村越 祐民君    室井 秀子君
      山尾志桜里君    山岡 達丸君
      山崎  誠君    山田 良司君
      湯原 俊二君    渡部 恒三君
      赤澤 亮正君    伊東 良孝君
      小里 泰弘君    金子 一義君
      金田 勝年君    河野 太郎君
      塩崎 恭久君    下村 博文君
      橘 慶一郎君    野田  毅君
      馳   浩君    山本 幸三君
      高木美智代君    東  順治君
      笠井  亮君    吉井 英勝君
      内山  晃君    渡辺 義彦君
      阿部 知子君    服部 良一君
      柿澤 未途君    山内 康一君
      中島 正純君    浅野 貴博君
      松木けんこう君
…………………………………
内閣総理大臣 野田 佳彦君
~略~
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償支援機構担当) 枝野 幸男君
国務大臣
(原発事故の収束及び再発防止担当)
(原子力行政担当)細野 豪志君
~略 ~
参考人
(原子力安全委員会委員長)班目 春樹君
参考人
(東京電力株式会社取締役会長) 勝俣 恒久君

 予算委員会専門員 春日  昇君
 ――――――――――――――――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 平成二十四年度一般会計予算
 平成二十四年度特別会計予算
 平成二十四年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○中井委員長 これより会議を開きます。
 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。
~略~
○中井委員長 これにて高木さんの質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
――――◇―――――
    午後一時開議
○中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 きょうは、東京電力の勝俣会長にも参考人としてお越しいただいております。
 そこで、勝俣会長にまず最初に伺っておきたいと思いますが、三・一一の福島原発事故で、今も十六万人を超える人々が避難をし、自主避難をしている人を入れると一桁上回るだろうというふうに言われるぐらい、大勢の人々が避難を余儀なくされる大変な思いをしております。
 東電原発事故から間もなく一年になるわけですが、これまで国会へ来られた清水前社長の答弁をちょっと整理したのが、お手元に配らせていただいております表の一です。この表を見てもわかるように、要するに、想定外の津波が原因だとずっと主張してこられたわけです。
 勝俣会長は今でもこの見解なのかを最初に伺っておきたいと思います。
○勝俣参考人 東京電力の勝俣でございます。
 昨年の当社原子力発電所の事故によりまして、発電所周辺地域の皆様を初め、広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配を長期間にわたりおかけいたしておりますこと、改めて深くおわび申し上げます。
 さて、御質問の福島原発の事故原因についてでございますけれども、現時点、これまで調査した結果では、今回の事故は、マグニチュード九の巨大な地震に伴い発生した高さ十三メートルにも及ぶ高い津波に起因した、長時間に及ぶ全交流電源と直流電源の複数号機同時喪失と、長時間に及ぶ非常用海水系の除熱機能の喪失がその要因であると考えております。
 その結果、アクシデントマネジメントの対応時に使用を想定していたほぼ全ての機器が使用できないなど、これまでの事故対応の前提を大きく外れる事態となったため、結果的に事態進展に追いつけず、炉心損傷を招いてしまったものであります。
 大変申しわけなく思っております。
○吉井委員 あわせて会長に伺っておきたいんですが、最初に外部電源喪失があったわけですね。これは津波が及んでいないところ、津波によって外部電源喪失が起こったものではないと思いますが、確認しておきます。
○勝俣参考人 お答えいたします。
 おっしゃるとおりでございます。
○吉井委員 まず地震があって、これで地すべりが起こって受電鉄塔が倒壊した。このほかにも、原発内部の受電設備が地震によって損傷した。これは間違いありませんね。
○勝俣参考人 お答え申し上げます。
 物によりまして、外部電源が喪失したための影響、またその他の影響、こういうことに分かれるかと存じます。
○吉井委員 物によりましてって、私は非常に端的に伺わせていただいたんです。
 実は、二月に原子力安全・保安院が中間取りまとめというのを出しておりますが、この外部電源のところでちゃんと整理しているんですね。それで、受電鉄塔の倒壊で喪失したものもあれば、実は原子力構内の受電設備そのものが地震によって損傷をした、これで外部電源喪失になった、このことを書いておりますから、そのことを伺ったんです。要するに、地震によって外部電源が喪失したわけですね。
○勝俣参考人 お答えいたします。
 おっしゃるとおり、地震によりまして送電線の倒壊を招き、外部電源が喪失したものでございます。
○吉井委員 それで、福島第一にかかわる津波の想定なんですが、これは表の二の方にまとめておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 一九九〇年の、阿部さんらの貞観津波についての推定の論文以降、二〇〇〇年代に入ってからでも、こういうふうに並べたように、ずっと問題になってきたわけですが、これは、政府事故調査・検証委員会の資料、それから推本の地震調査委員会などの添付資料などから抜き刷りしたものです。
 これを見て、載っておりますように、東京電力自身が二〇〇二年の原子力土木委員会で発言したことや、二〇〇六年のマイアミでの国際シンポジウム、私、英文の方のを持ってまいりましたけれども、ここでは酒井俊朗さんという東電の品質安全部門担当の方、後に原子力土木委員会の津波評価部会の委員も務められた方ですが、既に二〇〇六年にマイアミの国際シンポジウムで発表しておられますね。
 二〇〇八年の、社内での福島第一原発の問題については、これはいわゆる畑村報告、中間報告に出ておりますが、社内で、福島第一原発の敷地南側で十五・七メートルの津波を想定したということも記載されております。畑村中間報告によりますと、勝俣社長がちょうど会長に就任されたとき、二〇〇八年六月の前後ですね、六月十日に、吉田昌郎原子力設備管理部長、そして当時常務で翌年副社長になった武藤栄原子力・立地副本部長らに対する津波評価に関する説明が行われ、これは畑村報告に載っておりますが、現在、国際原子力開発株式会社社長になっている、当時の副社長だった武黒一郎原子力・立地本部長に報告し、追認されたと報告書に書かれております。
 勝俣会長に伺っておきたいのは、社内のこうした津波想定の検討も、福島第一原発の敷地南部で十五・七メートルの波高の津波が想定されていたことも知っていたんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○勝俣参考人 お答えいたします。
 私どもの会社といたしましては、当然のことながら、種々の学説あるいはいろいろな調査結果、レポート等々には関心を持っておりまして、それなりに調査検討をいたしております。そうした中で、例えば地震本部見解、貞観津波のいずれ、これについての試し計算、こういったこともいたしております。
 しかしながら、津波を起こす地震の大きさや地盤の範囲といった、いわゆる波源モデルを確定していないため、その後の検討の参考に算出した仮想的なものでした。そのため、これらの波源モデルにつきまして、審議を土木学会にお願いしておりまして、その審議結果に応じて適切に対応するという考えでこれまで来ていたところでございます。
 以上でございます。
○吉井委員 その原子力土木委員会には、東電の方が津波評価委員に入っているわけですよね。
 私は、この津波問題を知らなかったとすれば、こういう重大な問題が社長、会長に報告されていないような会社だったら、そもそも原発を扱う資格はないと思うんです。知っていたならば、ずっと想定外だと言ってきたんです、対策をとらなかった経営責任は重大だということを言っておかなきゃいかぬと思うんです。
 実は、私も国会で、二〇〇四年のスマトラ沖地震津波の後、これは二〇〇五年、六年、二〇一〇年と、予算委員会や内閣委員会、経産委員会など、いろいろな委員会で何度も、巨大地震が老朽化した原発を襲ったときにどうなるのかということを提起しました、問題にしました。
 地震に耐えられるかどうか実証試験を行う、香川県多度津町にあった世界一の規模の大型振動台を売り飛ばしてしまったんですが、売り飛ばしちゃならぬということも主張しました。
 志賀原発では、送電鉄塔の倒壊で、これは東電も別に倒壊した例がありますが、外部電源が喪失した例があるということも明らかにしてきました。それから、津波が襲ったときにどうなるか。押し波で機器が水没してしまうこと、引き波のときにはそもそも冷却水そのものがとれなくなるということなども問題にしました。
 いずれにしても、外部電源、内部電源が失われたら全電源喪失ですから、そうなれば炉心溶融になるじゃないかということを繰り返し取り上げてきたわけですが、東京電力は、津波による原発の損傷とかディーゼル発電機の破損などを想定できたのに、なぜ津波、地震を想定した対策をきちんととろうとしなかったのか、このことを伺いたいと思います。

○勝俣参考人 お答え申し上げます。
 例えば、津波の押し波に対しましては、海水ポンプのかさ上げを図り、また引き波に対しては、海水ポンプを停止する手順書を定めておりました。しかしながら、津波の襲来によりまして、複数号機の全交流電源と直流電源及び除熱機能を長時間喪失した、こういうことになりまして、結果として今回のような事態を引き起こしてしまったこと、大変申しわけなく思っている次第であります。
○吉井委員 そもそも、同じ敷地の中に一号機から六号機まであるわけですよ。だから、どれか一つが生き残って、そこから電力を融通してもらうなんというようなことはできるわけないんですよ。全部がやられるというのが、これは当たり前の話なんです。
 畑村報告などを見ておりましても、要するに、佐竹論文などに示された波高の津波も実際には来ないと考えていた。つまり、来ないと考えたと。それから、吉田部長は、費用のかかる話を自分限りにすることはあり得ず、武藤副本部長及び武黒本部長に話をした明確な記憶があるというふうに言っているように、要するに、費用、コストの問題だったんですね。
 実は、島村研究会の報告も読みましたけれども、一九九四年の夏には、東京電力の副社長を務められ、福島原発の所長もされた豊田さんが、コストダウンをやれと、これは一九九四年の段階ですが、相当な圧力がかかっていたと。
 昨年六月十九日にNNNドキュメントというのがテレビで放映されましたが、この中でも、豊田元副社長は、金がかかるのでやらなかったのではないかということを言っておられますが、今、いろいろな対策を考えたとおっしゃるんだけれども、結局やらなかったのは、来ないだろうというふうに思いたかったことと、コストがかかるという費用の問題を理由にしてやらなかったということではありませんか。
○勝俣参考人 お答えいたします。
 コストがかかるか否かは別にいたしまして、本当に必要な対策は、私ども経営といたしましても確実に実施する所存であります。
 たまたまそういったお話があるかもしれませんけれども、本当に必要なもの、これはもう当然のことながらやる、そういう心構えで経営に当たってきたつもりでございますが、結果としてこうした事態を招きましたこと、大変申しわけなく思っております。
○吉井委員 想定外ではなくて想定内なのに津波対策をとらなかった、これは非常に重大な問題だと思うんです。そのために、ディーゼル発電機や冷却水ポンプの破損で全電源喪失を起こし、炉心溶融を起こして、圧力容器も格納容器もメルトダウン、メルトスルーで損傷して、水素爆発も起こし、放射能汚染を大規模に拡大させたわけですね。
 私は、今経営の考えとしてとおっしゃったんですから伺っておきますが、最高経営責任者としてどのように責任をとっていこうというお考えなのかを伺います。
○勝俣参考人 昨年の六月、当時社長でありました清水、そして原子力本部長でございました副社長の武藤が今回の責任をとって辞任いたしておりますが、私自身もその責任が当然のことながらございます。こうしたことにつきましては、三月に提出いたします特別事業計画、この中で明らかにいたしたいと考えている所存であります。
○吉井委員 三月まで先送りというお話のようなんですが、要するに全面賠償する、それから全面的に除染に責任をとらなければならないわけです。それが、今の東京電力では、実は機構からの一兆五千八百億円がなければ、つまり国民の税金を使った応援がなければ、既に実質破綻企業なんですよ。
 そうしたら、破綻処理をして全てのステークホルダーが責任を負う、公的管理のもとに電力供給に責任を果たすという、この立場に立つのか、それとも、国民の税金と電気料金値上げで経営陣の生き残りを考えていこうとしていらっしゃるのか。私、この点を伺っておきたいと思うんです。
○勝俣参考人 原賠法のもと、大変巨額のお金を国の方から出していただいていまして、大変じくじたる思いでございます。
 こうしたことを含めまして、今回の事故全般における責任ということについては、この三月の特別事業計画の中で明快にしていきたい、こういうことで考えている次第であります。
○吉井委員 そこで枝野大臣、出番なんですが、枝野大臣は一昨日、西澤社長とお会いになったわけですが、どのようにおっしゃったのかを伺っておきたいと思います。
○枝野国務大臣 これについては、一つは、原賠法に基づいて賠償に充てられる資金の追加が必要であるということで、その認可をいたしました。これに対しては、賠償がまだまだおくれているし、十分ではないということについて、しっかりするようにということを申し伝えました。
 それに加えて、三月の総合特別事業計画に向けて、機構と東電でいろいろと今話をしているという状況だと報告を受けておりますが、もし東京電力が政府に対して資本注入、公的資金を求めるのであれば、国民の税金を使わせていただくわけでありますので、注入する資金に応じた議決権を持たせていただく、そういうことでなければ特別事業計画を認可するつもりはない、こういうことを申し伝えました。
○吉井委員 私は、いずれにしても、国民の税金あるいは電気料金値上げで独占企業が、あるいは経営陣が生き残ろうとする考え方というものは許されない、このことをはっきり言っておかなきゃいけないと思うんです。
 次に、再稼働の問題について伺います。
 二月七日に枝野大臣は、福島原発事故に関して、地震による影響では安全機能を保持できる状態であったと答えていますが、実は、圧力容器にしても、格納容器の中にも津波が入ったわけじゃないんですよ。それなのに水素が漏れ出したわけですね。ですから、これは地震によるプラントの損傷という可能性も大きいわけです。
 ですから、私は決めつけているんじゃないですよ、可能性があるということだけなんですが、現在、政府事故調査・検証委員会や国会の調査委員会の専門家の皆さんの手で検証中であって、これは、あなたは地震による影響では安全機能を保持できる状態であったとおっしゃったんだけれども、結論は出ていないというのが現段階の問題ではありませんか。これは枝野大臣です。
○枝野国務大臣 まず、今回のストレステスト等に関連をして、原子力安全・保安院において、これまでに判明している事実に基づき、専門家の皆さんにお集まりいただいた複数の意見聴取会を開催してきているところでございます。
 その検討によると、原子炉をとめる、冷やす、閉じ込めるということに関する機能、つまり、制御棒の挿入性や炉心支持構造物、残留熱除去系ポンプ、残留熱除去系配管、原子炉圧力容器、あるいは主蒸気系配管、原子炉格納容器といったところについて、今回の地震により受けた影響について地震応答解析により評価し、評価基準値を満足していることを確認しました。
 また、これら以外の耐震安全上重要な設備について、五号機を代表として、基準地震動、Ssを用いて解析したところ、配管及び配管サポート八カ所において評価基準値を超える評価が得られました。五号機は中に入れますので、実際に中に入りまして、安全機能を損なうような損傷がないところを確認しております。
 また、原子力発電所の地震直後のプラントパラメーターを見ますと、津波襲来までの間、原子炉の圧力や水位について異常を示すような変化は見られておらず、放射性物質の放出を示すようなデータも確認されていないなど、基本的な安全機能が損なわれていた可能性を示す情報は得られておりません。
 さらに、配管破断などにより冷却水が大規模に漏えいしたと仮定し、プラントの挙動解析を行ったところ、プラントの実挙動とは乖離した結果となっております。
 こうしたことから、大規模な漏えいが発生したとは考えがたいというようなことが、こうした専門家の意見聴取会を踏まえて、原子力安全・保安院において判断をしているところでございますが、これについては、政府の事故調の中間報告とも矛盾のないものであるというふうに認識をしております。
○吉井委員 あなたのその答弁書のもとになる文献を持ってきてもらって、私も読みました。バックデータがあるわけですね。その意見聴取会の別添資料によりますと、「現時点で確かなことは言えない。」と言っているんですよ。だから、いろいろおっしゃったけれども、現時点では、今検証中なんです、調べているところなんです。確かなことは言えないというのが現時点の問題だということを言っておきたいと思うんです。
 枝野大臣にあわせて伺いますが、福島事故以前から、地震によって変圧器がトリップしたり送電鉄塔が倒壊するという例がありました。内部電源の重要なDGの破損の例もありました。そして、老朽配管の配管減肉による破断事故も、地震が起こらないときでも起こっているんです。
 これらのものが、巨大地震に遭遇したときにどれだけ耐えられるか。これはコンピューター解析だけじゃなしに、本来なら大型振動台を使った実証実験で確認するのが、解析値と実験値を突き合わすのが当然のことだと思うんですが、今回各社が出してきたストレステストの自己評価書で、実証実験を行った例はありますか。
○枝野国務大臣 先ほどお話があった、現時点で確かなことは言えないという言葉も入っておるんですが、これについては、微少な漏えいが生じるような、つまり安全機能に影響を与えない程度の微少なものが生じていないということまでは言えないということは、それはまさにそのとおりだというふうに思っておりますが、安全機能に影響を与えたようなことはなかったであろうというのが、現時点の保安院の報告だと認識をしております。
 その上で、今のお尋ねの件でございますが、今回の評価対象となった機器については、過去に独立行政法人原子力安全基盤機構やメーカー等が実施した機器の振動試験などの結果も活用して評価が行われており、保安院の審査においても、そうした事業者の評価の妥当性を確認しているところでございます。
○吉井委員 まず、微少なものであれ何であれ、微少か本当はもっと大きいのかも、これもわからないんですよ、現時点では。いいかげんなことを言っちゃだめだと思うんです。
 関電大飯三、四号機のストレステストの審査書が、二月八日に保安院から安全委員会へ出されました。
 かつて関西電力では、巨大地震とは全く関係なく、一九九一年二月九日に、運転開始から十八年六カ月の美浜二号機で蒸気発生器細管のギロチン破断事故をやっているんです。二〇〇四年八月九日には、運転開始から二十七年八カ月の美浜三号機の二次系冷却水の、SGに戻る前の配管に減肉による大規模な破断事故が起こって、十一人の死傷者が出ました。
 大規模地震で、SGとか大規模配管損傷が同時に発生したとき、さらに消火栓配管なども損傷しておれば、そもそも冷却水喪失とか炉心溶融は起こり得るわけなんです。それだけに、大飯原発では実証実験が大事だと思うんですが、大飯でこれはやっているんですか。
○枝野国務大臣 まず、繰り返し申し上げさせていただきますが、原子力安全・保安院の、先ほど、現時点で確かなことは言えないという言葉は、その前に、安全上重要な機能を有する主要設備のうち地震後に機能していたものは、今回の地震により機能に影響するような損傷は生じていないと考えられるということがございまして、今回の地震の影響により微少な影響が生じるような損傷が生じたかどうかについてまでは、現時点で確かなことは言えないということでございます。
 そして、先ほど申しましたとおり、今回のストレステストにおいては、直接の実証実験を実施しているものではございませんが、過去に原子力安全基盤機構やメーカー等が実施した振動試験などの結果も活用した評価を行っていて、そのことについて保安院として評価をしているものであります。
○吉井委員 微少だ何だって、それ自身もわからないんですけれどもね。
 水素とかヘリウムというのは、私も昔、真空技術をやりましたからわかりますけれども、漏れテストに使うぐらいのものなんですよ。微少なものであっても、漏れているかどうか、最初にタンクの中に水素やヘリウムを、まあ水素は危ないですからヘリウムを使いますが、入れておいて、ヘリウムリークディテクターで調べるんですよ。漏れテスト。それぐらい、微少であっても漏れるものなんです。そういうものを、確認されないまま、大丈夫だなどという発想がおかしいんですよ。それが水素爆発に至っているんじゃないですか。だから、物の考え方がおかしいということを私ははっきり言っておかなきゃいけないと思うんです。
 要するに、実証実験をやっていないわけですよね。経年劣化については、この報告書によると、腐食割れを対象外としてストレステストを行っている。つまり、そもそも腐食割れというのは対象外なんですよ。
 一九九二年に発表された、日本原電、原子力発電機構、三菱重工、三菱原子力工業などの研究者が原発機器について行った小規模な配管の振動実験の報告とか、そういうのは私も論文を読みました。美浜三号や浜岡原発における、長年の稼働によって減肉や腐食が進んで大規模な破断事故を起こすような、その寸前にまで来ておった老朽原発での実証実験はないんですよ。現在、振動実験装置も売却してしまったから、もうないんです、できないんです。老朽化原発の実証試験はない。
 これは、これまでから、松浦原子力安全委員長、二〇〇一年だったかと思いますが、昨年の深野保安院長の答弁に至るまで、老朽化原発の実証実験はやっていません、ぴかぴかの新品しか実験をやっていないと言っているんですよ。そういう中で、現在、国会では、両院合同事故調査委員会が設置されて、専門委員の手で福島原発事故の原因究明などが始まったばかりじゃないですか。そういう中で、福島原発の事故の解明もなしに再稼働などは認められないというのが、新潟県の泉田知事を初めとする首長の声です。
 最後に、野田総理、まだ事故の検証中の段階で、実証実験の裏づけのないストレステストで再稼働は可能だとお考えなのかどうか、これは最高責任者としての考え方を伺っておきます。
○中井委員長 もう質疑時間が終了しましたが、特別に、野田佳彦内閣総理大臣。短く。
○野田内閣総理大臣 国会の中での事故調はこれから活動が始まるということで、政府の方の第三者委員会による調査は中間報告まで出ましたが、そのほか、保安院においても技術的な知見を深めながらの対応もしております。
 再稼働については、IAEAのレビューも受けたストレステストを踏まえて保安院が評価をし、そして安全委員会がそれを確認する、そういう段取りを経ながら、最終的には、地元の理解などを得ているかどうか、政治が判断をしていきたいというふうに思います。
○吉井委員 では、終わります。
○中井委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
~略~

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