葵から菊へ&東京の戦争遺跡を歩く会The Tokyo War Memorial Walkers

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遊就館のプロジェクターが故障した

2014年04月30日 | 歴史探訪<靖国神社>

靖国神社ボランティア平和案内人の檜山紀雄(檜山平和ミュウジアム主宰)さんからの電話連絡では、遊就館内の展示室7「日露戦争パノラマ館」の日清戦争後の状況や日露戦争開戦から日本海海戦までの戦況を、白い大きな壁面にプロジェクターで映し出す「日露戦争パノラマ映像(約12分)」は“軍艦マーチ”が流れるなか、「大国ロシアに打ち勝ったという事実は日本国民に欧米列強並の大国としての気概と自信をあたえーた!」「ロシアやヨーロッパの植民地の人々にも希望の光をあたえーた!」という男性のナレーションが響きます。これが無くなり、液晶テレビにビデオが上映されるようになったそうです。

遊就館の展示担当者に聞いたところ、館がリニューアルしてから丁度10年が経ったので、毎日8時間近く作動していたプロジェクターが故障してしまったので60インチの液晶テレビに同じ内容のビデオを上映することにしたそうです。

遊就館展示の設計・施工は(株)乃村工藝社が行いましたが、同じく九段にある昭和館しょうけい館も同社の設計・施工ですが、運営主体(靖国神社・昭和館は厚生労働省が日本遺族会に運営委託・しょうけい館は厚生労働省が日本傷痍軍人会に運営委託したが、解散したために国の運営となった)と学芸員や歴史専門家の意見を巧みな美術力と技術力で応えています。

管理人が選んだ同社展示とジオラマ傑作ベスト5です。

第一位「戦場での受傷」しょうけい館

小銃弾の穴が開いた戦闘帽、眼鏡、煙草入れ、半長靴、鞄に天井から一条の光をあて、その小さな光がガラスケースの説明文面を照らしている展示。布、ガラス、皮などの物によっていのちが助かり家族のもとに帰還した傷痍軍人であったが「英霊」になれなかったと非難の目もあったり、戦後の労苦が偲ばれます。

Img074 しょうけい館絵はがき

第二位「野戦病院のジオラマ」しょうけい館

Img013 しょうけい館「来て、見て、学ぶ」ガイドブックより

南方で受傷した方々の体験と南方で医療活動に従事した経験を持つ元軍医、元衛生兵の証言に基づき構成した南方戦線に於ける洞窟の野戦病院のジオラマです。軍医は麻酔薬がないのに外科手術をしていますので、受傷した兵士を衛生兵が押さえつけているフィギア。兵士のうめき声、砲弾の音、血の臭いが漂う洞窟の中ですが、あえて無音の中を、静かに女性のナレーションが流れます。

第三位「桜花・一式陸攻・ゼロ戦の沖縄作戦ジオラマ」遊就館大展示室

特攻兵器「回天」が展示されている大展示室の天井から特攻ロケット推進機「桜花」の実物大模型が吊り下げられていますが、母機一式陸上攻撃機の下側ボディーには小判鮫のように「桜花」が取り付けられています。ゼロ戦(零式艦上戦闘機)の模型が16機が釣り糸で下げられ、パイロットから見える沖縄島が描かれています。しかし壁面の左上をよく見ると雲霞の如く数百機の米軍戦闘機が小さく描かれています。これは圧倒的な日米の空軍力の違いを描き、無条件降伏への道が進んでいった歴史を展示しているように見えますので、乃村工藝社のデザイナーが考えたと思っています。

第四位「南方から収集した兵士の携行品類」遊就館大展示室

政府が南方戦線だった島々から遺骨収集をしたときに持ち帰った兵士達の認識票、銃剣、飯盒、スコップ、水筒、衛生兵の注射器と薬品類等がガラスケースの中に所狭しと並べられています。これが『“大東亜戦争”の結末を象徴している』と展示されています。

第五位「日本が各国に依存する重要物資の円グラフ」遊就館大東亜戦争1

機械は66.2%、石油は76.7%、鉄類は66.9%がアメリカに依存している1940(昭和15)年の円グラフがあります。1941年8月にはアメリカは石油の全面禁輸に踏み切ります。日米交渉の展示パネルには、「自存自衛」のために戦争遂行の国策決定御前会議が書かれていますので“大東亜戦争”は欧米の理不尽な経済制裁によって、止むに止まれぬ自存自衛の戦争だったと美化しています。

しかし、ここで管理人は「この円グラフを裏から見て下さい」と切り出し「既に1937年から日中戦争は泥沼の戦いであり、そして日米の国力・軍事力の圧倒的な違いがありながら無謀な英米蘭との戦争に突入したのでしょうか。日独伊三国同盟のパネルは撤去されてしまいましたが、ドイツが英米ソへの猛攻で勝利しそうなのでイギリスやオランダの植民地を侵略し資源を確保しようという枢軸国だったのです。」と言います。


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