葵から菊へ&東京の戦争遺跡を歩く会The Tokyo War Memorial Walkers

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マ元帥から「不敬罪」は廃止と押しつけられた

2014年05月11日 | 天皇制・皇室問題

蘆花会の吉田正信氏(愛知教育大学文学部名誉教授)から1947(昭和22)年に憲法普及會から発刊された「新しい憲法 明るい生活」をA5版に拡大したコピーを頂いた。蘆花記念館に蘆花が旧満州大連市で知人から贈呈された「安重根の書」が展示されている関係から「歴史秘話――義士安重根を崇拝した日本人たち」を論じておられます。

吉田氏から頂いたコピーの中に国立国会図書館憲政資料室所蔵資料の 西沢啓四郎文書328 がありました。

これを読むと当時の政府は「象徴天皇制」を心底理解出来なかったことが分かりますし、これも天皇を元首としたい憲法改正論者たちが叫んでいる「GHQから押しつけられた憲法」の一部なのでしょう。

1945年12月に再建したばかりの日本共産党は共立講堂で「戦争犯罪人追及大会」を開き、戦争犯罪人名簿の冒頭が天皇裕仁でした。そして憲法草案は共和制でした。対日理事会のソ連やオーストリア等は天皇の戦争責任を厳しく追及する立場から「天皇制の廃止」や「天皇裕仁の退位」をアメリカに要求していました。一方マ元帥は占領統治と対ソ連作戦のするために昭和天皇の利用を考えていましたので「象徴」という形で天皇制を温存したのです。

昨年12月18日の「天皇お誕生日に際しての記者会見」で「当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います。」と述べられたのはマ元帥やグルー元駐日大使を意識していたのではないかと管理人は考えました。ともあれマ元帥が「新憲法における法の下の平等という基本的観念を破壊することであり、自由で民主的な社会の出現に矛盾する血統による差別であると全面的に拒絶した。」といっても「男子一系の血統」を定めた「皇室典範」や「宮中祭祀」が存在する天皇制は「元首制」であろうとも「象徴性」であろうとも「自由で民主的な社会」との矛盾は絶対に解消しませんので、憲法1条から8条までの廃止しかあり得ないと確信をしています。

現在、国立国会図書館サイトの「日本憲法の誕生」5-13「大逆罪・不敬罪の廃止」の項目にあるものです。

新憲法の成立に伴う刑法改正に際して、不敬罪、大逆罪の廃止をめぐる、日本政府とGHQの一連のやりとりを示した資料である。1946(昭和21)年12月20日、ホイットニー民政局長は、木村篤太郎司法大臣に対し、不敬罪、大逆罪に関する規定を定めた刑法第73条から第76条までの条項を削除するよう指示を与えた。これを受けて、吉田茂首相は、12月27日付けのマッカーサー宛書簡で、1)天皇の身体への暴力は国家に対する破壊行為であること、2)皇位継承に関わる皇族も同様に考えられること、3)英国のような君主制の国においても同様の特別規定があること、を理由に大逆罪の存置を訴えた。しかし民政局法務課長のアルフレッド・オプラーは、吉田の書簡の内容について調査を行い、アメリカ大統領及びイギリス国王には日本の大逆罪に該当するような特別規定は存在しない、と結論づけた。

この調査結果を踏まえ、翌年2月25日、マッカーサーは吉田宛書簡で、吉田のあげた存置理由について一つ一つ反論し、天皇や皇族への法的保護は、国民が受ける保護と同等であり、それ以上の保護を与えることは新憲法の理念に反する、と吉田の訴えを拒絶した。』

52.吉田茂書簡 ダグラス・マッカーサー宛 1946年12月27日

く西沢啓四郎文書328〉(サイトの画像は英文)
 ホイットニーの不敬罪削除の指示に対し、吉田首相が直接マッカ-サーに再考を訴えたもの。国民の崇拝の中心にある天皇の身体に対する暴力行為は、国家を破壊するがごとき性格のものと見なされる、などと述べる。タイプの日付に1947年とあるのは誤り。

53.マッカーサー元帥より吉田内閣総理大臣宛書簡
(仮訳) 昭和22年2月25日 く西沢哲四郎文書326〉
 吉田書簡に対する返書の訳。天皇・皇室に対ナる危害につき刑法上特別な規定を残すことは、新憲法における法の下の平等という基本的観念を破壊することであり、自由で民主的な社会の出現に矛盾する血統による差別であると全面的に拒絶した。

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