福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

大井剛史さんとのニアミスについて

2015-07-17 13:09:50 | コーラス、オーケストラ

さて、ノット&東響の休憩時間。

ロビーで出会った指揮者・大井剛史さんとしばし歓談。

指揮者の視点からみたノットの凄さについて、興味深くお話を伺うことができた(昨夜大井さんは、P席からノットの指揮を研究されていた)。

大井さんとは、その昔、ニアミスがある。10数年前、厚木市で、前半をボクの指揮で女声合唱版「水のいのち」、後半を大井さん指揮、厚木響によるモーツァルト「戴冠ミサ」という音楽祭があったのだ。

その時に、大井さんの実力と音楽性に感銘を受けたものだが、その後、接点のないまま年月が経ってしまった。

いつか、大井さんとも共演できる日の訪れることを祈りたい。

 


ジョナサン・ノット&東響の「運命」

2015-07-17 11:57:28 | コーラス、オーケストラ

昨夜は、サントリーホールにて、ジョナサン・ノット&東響による「運命」ほかを聴いた。

ノット時代になって、訪れるたびに東響の音が変貌しているのに驚かされる。

今回、感じたのは、弦に厚みや奥深さが増していたこと。

もともと透明な美しさを持ちながらも、線が細く、響きの量に若干の不満のあった弦楽セクションが実に良く鳴っていた。

最後列のプルトに至るまで、大きな弓幅による全身全霊を賭した奏法は音のみならず、視覚的にも美しい。

音量だけではなく、そこに人間の様々な情感が宿っていたことを賞賛したいと思う。

また、ノットの渾身の指揮ぶりにも、些かの力みのない伸びやかな音で応えていたのも素晴らしい。

ノットによるベートーヴェンについて、完全に自分の好みであったわけではない。

ボク自身、古い巨匠タイプの重量感あるベートーヴェンの方が心にはピタリとくる。

しかし、どこを斬っても新鮮な血が噴き出し、未来への光に照らされたベートーヴェンもまだよいものだ、と思わせてくれた。

ジョナサン・ノットと東響がこれからどんな境地まで昇り行くのか、目が離せない。

東京交響楽団第632回定期演奏会

2015年7月16日(木) サントリーホール

ストラヴィンスキー:管楽器のための交響曲

バルトーク:ピアノ協奏曲 第1番Sz.83

ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

ピアノ独奏:デジュー・ラーンキ