福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ダニエル・ガッティ&コンセルトヘボウ管 マーラー「巨人」

2018-01-10 22:35:48 | コンサート


はじめてのコンセルトヘボウ。
この指揮台にマーラー、メンゲルベルク、モントゥー、ベイヌムらが立っていたと思うと感動もひとしお。座席は平土間の18列目やや右寄り。

"GATTI MEETS JANSEN"
と題された今宵の定期演奏会。
まずは、ユトレヒト生まれのジャニーヌ・ヤンセンを迎えてのブルッフのヴァイオリン協奏曲。



瑞々しく、ひたむきなヴァイオリン。第1楽章前半こそ、楽器の温まりきっていないのか、力で鳴らそうとする場面もあったものの、徐々に楽器も鳴ってきて、最後は満員の聴衆より熱烈なスタンディングオベーションを受けていた。地元オランダの演奏家として、愛されている様を目の当たりにして感動した次第。

休憩を挟んで、メインはマーラー「巨人」。ブルッフまでは快調だったわたしが、不覚にも第1楽章から睡魔に襲われたため、その演奏を100%享受することはできなかったが、素晴らしいパフォーマンスであったことは間違いない。

ガッティのバトンテクニックが巧みであることは、これまでに観た映像から知っていたことだが、ときに「棒が上手すぎる」と感じてしまうこともあった。しかし、生で接すると、そのテクニックの悉くが音楽性に結び付いていることが分かる。隅々まで計算されつつも、熱い血潮の湧き上がる立派なマーラーだった(と思う)。

コンセルトヘボウというホールの響きは魅惑的で癖になりそうだ。想像以上に直接音より間接音が勝りながらも、曖昧さはない。舞台の奥行きの深さ故か、手前から弦、木管、金管や打楽器と並ぶ距離の違いがはっきりして、重層的なサウンドとなるのも美しい。

改めて、コンセルトヘボウ管の音は、このホールとセットなのだな、ということも分かった。これまで、サントリーホール、人見記念講堂、愛知県芸で聴いた音とはまるで違う。それは明らかに指揮者の違いというには止まらない、ひとつのオーケストラにとって、もっとも根源的な何かとでも言おうか。

マーラー終演後も聴衆の熱狂は凄まじいものがあった。もしかすると、このコンセルトヘボウの客席に集った人々は、たんなる聴衆ではなく、この歴史あるオーケストラの熱烈なサポーターなのではないか?
ともに立ち上がって拍手を送る感覚が、贔屓のプロ野球チームの4番打者が逆転ホームランを打ったときの興奮にどこか似ている気がしたのである。




人生初のアムステルダム

2018-01-10 17:49:07 | 旅行


アムステルダムの空港の外に降り立つのは人生初。オランダ語はまったく解さず、人々の喋る言葉が全く分からない、というのは辛いものがありますね。

今回はドレスデンのゼンパーオパーにて、ティーレマン指揮の「ニーベルングの指環」全曲のチクルスを聴くためのひとり旅ですが、前後と合間にアムステルダムに立ち寄りコンセルトヘボウにて開催されるコンサートを聴こうという寸法です。



先ほど、コンセルトヘボウ近くの宿に辿り着き、いまは部屋で寛いでいるところ。バスの運転手に、どうやって代金を払うのか尋ねたら、「いまシステムが故障しているからフリーでいい」と言われ、空港から美術館広場まで、ただ乗りしてきました(笑)。運がよいのか悪いのか?



お部屋は質素ながら清潔でよい感じ。暖房は壁の小さなオイルヒーターのみ。やや非力なので、朝方は冷えるかも知れない。



いまは天気も悪くて寒いけれど、季節がよければ、ドアを開いて、庭にでるのも素敵でしょう。



今宵のコンサートは、約2時間後の20:15開演。時差ボケで睡魔に襲われませんように!
かといって、いま昼寝をすると熟睡してしまって寝過ごす恐れ大。うーん、どうしようかな?