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はじめてのコンセルトヘボウ。
この指揮台にマーラー、メンゲルベルク、モントゥー、ベイヌムらが立っていたと思うと感動もひとしお。座席は平土間の18列目やや右寄り。
"GATTI MEETS JANSEN"
と題された今宵の定期演奏会。
まずは、ユトレヒト生まれのジャニーヌ・ヤンセンを迎えてのブルッフのヴァイオリン協奏曲。
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瑞々しく、ひたむきなヴァイオリン。第1楽章前半こそ、楽器の温まりきっていないのか、力で鳴らそうとする場面もあったものの、徐々に楽器も鳴ってきて、最後は満員の聴衆より熱烈なスタンディングオベーションを受けていた。地元オランダの演奏家として、愛されている様を目の当たりにして感動した次第。
休憩を挟んで、メインはマーラー「巨人」。ブルッフまでは快調だったわたしが、不覚にも第1楽章から睡魔に襲われたため、その演奏を100%享受することはできなかったが、素晴らしいパフォーマンスであったことは間違いない。
ガッティのバトンテクニックが巧みであることは、これまでに観た映像から知っていたことだが、ときに「棒が上手すぎる」と感じてしまうこともあった。しかし、生で接すると、そのテクニックの悉くが音楽性に結び付いていることが分かる。隅々まで計算されつつも、熱い血潮の湧き上がる立派なマーラーだった(と思う)。
コンセルトヘボウというホールの響きは魅惑的で癖になりそうだ。想像以上に直接音より間接音が勝りながらも、曖昧さはない。舞台の奥行きの深さ故か、手前から弦、木管、金管や打楽器と並ぶ距離の違いがはっきりして、重層的なサウンドとなるのも美しい。
改めて、コンセルトヘボウ管の音は、このホールとセットなのだな、ということも分かった。これまで、サントリーホール、人見記念講堂、愛知県芸で聴いた音とはまるで違う。それは明らかに指揮者の違いというには止まらない、ひとつのオーケストラにとって、もっとも根源的な何かとでも言おうか。
マーラー終演後も聴衆の熱狂は凄まじいものがあった。もしかすると、このコンセルトヘボウの客席に集った人々は、たんなる聴衆ではなく、この歴史あるオーケストラの熱烈なサポーターなのではないか?
ともに立ち上がって拍手を送る感覚が、贔屓のプロ野球チームの4番打者が逆転ホームランを打ったときの興奮にどこか似ている気がしたのである。