福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

大フィル合唱団 スラットキン先生に賞賛される

2019-03-23 18:44:10 | コンサート


「チチェスター詩篇」二日目が終わってしまいました。マエストロによるコーラス稽古からの濃密な5日間、あっという間でした。

スラットキン先生は本日も絶好調。躍動と静謐の指揮により、客席のみならず、ステージ上のオーケストラ、コーラスの魂を揺さぶる感動的なパフォーマンスとなりました。

カーテンコールの舞台袖では、マエストロから開口一番、「Amazing!」と大阪フィルおよび大フィル合唱団を褒め称えて下さいました。マエストロの口にこの賛辞を言わしめた団員諸氏には、心からの「おめでとう」を捧げます。世界的巨匠に「心から感銘を受けました」と最敬礼されるとは合唱指揮者としても最高の栄誉ですね。

もちろん、このAmazing! には、藤木大地さんの魅惑のパフォーマンスも含まれていることでしょう。バーンスタイン「ミサ曲」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」に続く共演は、すべて印象深いものばかり。

百戦錬磨の大フィル合唱団も、このヘブライ語と変拍子による作品の難しさに喘いだ日々もありましたが、危機のときには自主練などを採り入れた取り組みにより、各パート内の一体感も増したように思います。そうした大フィル合唱団の頑張りを讃えたいのです。

この経験は、デュトワ先生をお迎えしての「ダフニスとクロエ」や尾高マエストロとのブラームス・チクルスにもきっと生かされることでしょう。



すべてのプログラムが終了し、スラットキン先生の楽屋にご挨拶に伺うと、マエストロは本当に上機嫌。奥様からも「心より(今回の)コーラスを愛します」と有り難いお言葉を頂戴しました。

そして、わたしのヴォーカルスコアには、マエストロのサインとともに次なる言葉が!

Bernstein would have been happy.

いやあ、痺れますねぇ。

マエストロは、再び大フィルにいらして頂けるでしょうか? 再会の日を心待ちにしたいと思います。


チチェスター詩篇 ラスト・チャンスを逃すなかれ!

2019-03-23 02:05:51 | コンサート


@Osaka_philさんのツイート: https://twitter.com/Osaka_phil/status/1109081922829836288?s=09

スラットキン先生をお迎えした大フィル定期に於けるバーンスタイン「チチェスター詩篇」。

何と言ってもバーンスタインの音楽そのものが崇高。

そして、すべての所作が音楽を語るスラットキン先生の指揮が美しい。そこに一切の虚栄もハッタリもなし。

その熟達のタクトに応えるオーケストラも、あの「ミサ曲」を体験しただけに、これぞバーンスタインという響きを醸し出していてお見事。

「ミサ曲」をともに演奏した藤木大地さんの歌唱も、ボーイソプラノの歌う場合とは明らかに別の可能性を追求したものとなっていて、聴く者の胸に迫ります。

さて、練習段階ではこの難曲に翻弄されがちであったコーラスも、本番が近付くにつれ長足の進歩を遂げ、本番初日は本当によく歌ってくれた。特に第3曲ラストのアカペラでは、身内ながらにジーンとなって、目頭が熱くなったほど。終演後、オーケストラの皆さんからも多くのお褒めの言葉を頂戴しました!

この作品をスラットキン先生のタクトで聴くチャンスは、そうそうあるものでなく、本日3月23日(土)15:00、ラストチャンスを逃すことのないようお願いします!



最後に、音を出さない功労者たちについても、触れないわけにはいかない。それは、大フィルの誇る清水氏率いるステマネ軍団である。

コンサート前半。バーンスタイン:「キャンディード」序曲、コープランド:「田舎道を下って」を終えてから、チチェスター詩篇には舞台の大転換がある。即ち、ステージ下手、ヴァイオリン群後方にあった二台のハープを指揮台を挟んだステージ中央に移動させる。さらに、木管群をすべて潰して、打楽器スペースを拡張する、という難題である(写真は大フィル会館でのオケ&コーラス合わせ)。

この大作業を、休憩時間でなく、座席の聴衆を飽きさせることなく敢行するというのは容易ではない筈だが、その迅速にして整然とした一連の作業は、もはやショーと言っても良いほどの美しさと完成度であり、本日お越しのお客様には、ここにも注目して頂きたい!。