明鏡   

鏡のごとく

座高軸変奏曲

2009-06-26 09:04:43 | 
座高軸変奏曲


父が車いすから車に乗る時

車の椅子と車いすの高さの差があり しんどいというので

我が家の使い込んだ脇腹に擦り傷のある車と等価交換をした


うしなうものもあるが えるものもあるらしい

少し座高が高くなったような見慣れない目線が見慣れた道をたどっていく

父は相変わらずの口調であったが 私は相変わった変調であった


近くのやすくてうまい天ぷら屋に車いすごと入って

カウンターのかどっこにすわる

ここでの座高位置は若干ずれていたが


かどっこを生かして

左手を使いやすい方位にしたら

空港の飛行機がゆるゆると手を広げて方向を変えていた


これでだいぶ座りやすくなった

と言う父は久しぶりに左手で天ぷらを食べながら

あじがなか みぎはんぶんしんどうけん あじがなか と言う


しんでいないひだりはんぶんは

黄色い柄のついた銀のすぷーんをつかみ

みそしるのやわらかな白方体をすくっている


方位磁石は電極の狂いをしり 地軸も揺さぶられ

ぐるぐるとまわりはじめていたが

それに気づくものはそれほどいないが おそらく 気づいたものもいるらしい


飛行機の爆音でバイアスが掛かり ちかくのかねの音はきこえないらしいが

誰もが知っている教会の十字架が串刺しにし麻痺させようとしているのは

よかれあしかれ日本の中枢神経系統と毛細血管であった


けいらくのいみをたずねないひとたちは

いちからじゅうまで福音とかぞえ

空港近くの山の上の教会と百道の海の見える教会のかねの音を そのまま信じているらしいが 


かねの音を信じないものは すくなくとも その時点では すくわれていた

かねの音を信じないものは すくなくとも その時点では すくわれていた

かねの音を信じないものは すくなくとも その時点では すくわれていた