山を登る
普通の道の囲いのその外にある
細い道は乳母車かとろっこがやっととおるくらいの道でしかないが
母親とともにそこを登っている
囲いはない
踏み外したら危ないのは目に見えている
そこを登りながら
母親がある秘密を話し出す
それは目に見えないところで行われている
秘密の言い伝えのようにも聞こえる
穴にひそむ秘密
自分たちは
その穴から抜けて
穴には還らないのだが
穴はそこいらにいくつもあるのだ
というような話
その後どうやら
私はその山の崖を知らず知らずのうちに降りて
私は学生時代インドに一緒に行こうと話していた
友と一緒になぜか昔住んでいたことのあるイランに来ている
山にいるのではなく
穴蔵のような見世物小屋を歩いて
パンを探しているのだ