誰も乗っていない自転車をひいてしまった
バックしていたときだった
あれからバンパーは
段差のあるたびに悲鳴を上げる
いまもなく自転車の亡霊
もう花は手向けられない
あそこをとおるたび
息を止めていた
通り過ぎるまでの仮死四十五秒
花はもうなくなってしまったのに
くろぐろとしたかみのいろは
そめあげられたあとのくろ
しろいところはみあたらなくて
ただしろいぬりこめられたかべで
はだこきゅうができないくろねこのきしみがある
ゆうぐれどきのさんげきに
いきもできない
われわれはあかいかさをささないまま
自転車をこぐ
あのおだやかなめをさがしさがして
バックしていたときだった
あれからバンパーは
段差のあるたびに悲鳴を上げる
いまもなく自転車の亡霊
もう花は手向けられない
あそこをとおるたび
息を止めていた
通り過ぎるまでの仮死四十五秒
花はもうなくなってしまったのに
くろぐろとしたかみのいろは
そめあげられたあとのくろ
しろいところはみあたらなくて
ただしろいぬりこめられたかべで
はだこきゅうができないくろねこのきしみがある
ゆうぐれどきのさんげきに
いきもできない
われわれはあかいかさをささないまま
自転車をこぐ
あのおだやかなめをさがしさがして