週刊少年ジャンプ2018年30号掲載
掲載順第5位
第268話 【創真と恵の湯けむり事件簿 其の4 ~遠月学園第十席 田所恵~】
一連の事件の犯人であった外国人の名前はモナールカ。
扉絵はそんなモナールカが玉座にふんぞり返っているイラストです。
うん、全然似合ってない。
だからといって、玉座と言えばえりなでしょ、とも言いません。
玉座が似合うのはソラだけです。(←他作品もってくんな)
前回は「客は王」と主張していたモナールカでしたが、回想では「シェフが王」と主張。
とどのつまり、「自分こそが王」と言ってるだけの傲慢人物でした。
横暴な振る舞いから、王様主張が誇りや信念のあるものではないとは察してましたけどね。
とまあ、ここは至って予想通りでしたが・・・
!?
従業員全員失踪した上に調理器具がごっそり無くなった件には、モナールカは関与していない・・・!?
おおお?
これは良いミスリードになる可能性が?
この伏線をどう処理してくれるかどうかでこの章の私の評価が決定するかもしれません。
モナールカに、自分の料理を食べてみてはどうかと提案する恵。
これをしっかりと「勝負」と受け取ったモナールカは、もし恵が勝負に負けたら、恵や乙鳴旅館だけでなく創真までも奴隷として服従してもらうという、この作品お馴染みの超不釣り合いな条件を提示してきます。
ですが、そんな超絶不利な条件を恵は静かに承諾します。
いや~~~変わりましたね恵も。
自分はおろか創真も巻き添えになるというのに、全く躊躇無しとは。
約1年前、地獄の合宿編(VS四宮戦)の頃の恵は全く自信が無く、創真を巻き込むことを拒絶し自己犠牲に走ろうとしていたというのに。
この変化は、それだけの自信を恵が持てるようになったという事でしょうね、間違いなく。
ただ、個人的にはもう一つ別の見方があったり。
それは、この恵とほとんど同じような事を以前創真もしているということ。
それは月饗祭編で。
月饗祭で久我と模擬店の売上勝負を行った際に恵が協力してくれましたが、あの勝負は絶対的不利な状況の中で退学という大事が懸かった勝負でしたよね?
なのに創真は自分どころか恵の退学も懸かっているというのに、終始悠長な態度だったばかりか恵に対する謝意も全く告げませんでした。
正直なところ、創真のあの態度は不誠実と思っていたんです。
ですが。
今回の件による恵の同じ行動は、私にあの時の創真について再考慮させてくれる切っ掛けを与えてくれました。
創真は非常に理解され辛い子です。
ですが、もし。
恵という共感されやすい子を通すことで創真への理解が深まるような図式が構築出来れば、お互いにとっても、そしてパートナーとしても最高の関係になれるのではないでしょうか?
ま、問題は附田&佐伯先生がそこまで考慮なさられているかどうかなんですけども。(←)
これ以降の恵は随所で創真からのインスパイアが見受けられますね。
思い通りにいかない事があっても絶対に店は開けなければならない、という言葉は秋の選抜編で創真が美作に説いていたものですし。
語るのはあくまで皿の上で、という言葉もVS郁魅戦等々で創真がずっと通している姿勢ですしね。
個人的には陽だまりのような笑顔も創真からの影響を感じます。(^^)
こうして創真からの影響は多々見られながらも、料理は自分一人で挑む恵。
恵は鈍間・・・もとい、スローペースが特徴の一つだった料理人でしたが、これまでの研鑽の中で手つきは随分と早くなった模様です。
現実にもいるんですよね、こういう料理人って。(実際うちの職場にもおられますし)
一見特に急いた様子も無くゆっくり動いているようでいて、いつの間にか、という感じで手際がとても良い人が。
恵はどうやらそういったタイプの料理人になっていくみたいですね。
こうして料理が完成し、モナールカへお出しする恵。
いや~~~浴衣のたすき掛けも似合ってたけど、着物姿もめっちゃ似合ってますね~~~!!
まさに大和撫子。
正真正銘の日本美人。
恵はこれまで容姿が褒められる際は「可愛い」と言われてきた子でしたが、ようやく「美麗」という褒め方も出来る子になってくれましたね。(^^)
イメチェン大成功です!!
さてさて、そんなあらゆる意味で成長が窺える恵が作った料理は一体何でしょうか?
今回のテーマは「旅館だからこそ出せる味」、そして「ホスピタリティ」。
恵のことだから、その土地ならではの食材もふんだんに用いてきそうですよね。
場所は温泉街ですから・・・温泉卵を使った料理とか?
温泉まんじゅうは・・・ナイか。(←当たり前)
あ☆
もっと適したヒントがありましたっけね。
それは「旅館の朝食メニュー」。
ご飯に味付け海苔、お味噌汁、お新香に温泉卵、焼き魚と、大抵の旅館で出される「朝食」の王道メニューです。
そんな定番中の定番メニューだからこそ、工夫できる余地は大いにありそう。
それに。
「真夜中」の料理人であるモナールカに「朝」の料理を出すことは、彼に“光”を与えてくれそうですし。
果たして恵はどんな料理で「真のホスピタリティ」をモナールカに教えてくれるのでしょうか。