実は、このネタを書こうと思ったきっかけが、
ある人の台本を見たことから、だったんです。
羽島実優ちゃん。


彼女はなんと!
ジュリアード音楽院卒の声楽家。
音大卒くらいなら、知り合いはいますが、
ジュ、ジュリアード卒なんて、は、はじめて会ったぞ~。
と、最初はかなりビビったものの、
付き合ってみたら、意外なほどの天然系。
こんなおっとりさんでやっていける、ってことは、
よほど実力があるんだろう、
と、違う意味で感心したくらい。
今回、芝居は初舞台なのですが、
なかなかの芝居センスの持ち主です。
たしかに、オペラにも出てるし、
歌だって芝居心がなきゃ歌えませんからね。
で・・・、
読み合わせをやっている時期に、
見るとはなく、隣にいた彼女の台本を見て、
「ん?????」
はい、「?」が5コくらいつきました。
横書き。それはまぁ、いい。
文字が、日本語じゃないぞ~~~

思わずじっと見ると、
わからないまでも、ドイツ語のよう。
で、私、勝手に思ったんですね。
ははぁ、彼女はドイツの帰国子女なんだろう。
半分以上は海外で暮らしてたから、
ジュリアードにも行ったんだろうな、と。
まぁ、それでも、1回は聞いてみなきゃ、
気持ちがおさまらないのが、オバサンのサガで。
「ねぇ、実優ちゃんの書き込みって、
それ、ドイツ語だよね?」
「あ、そうですぅ」
「帰国子女? ドイツに暮らしてたとか?」
「いえ、ずっと日本ですけど、
とっさに書くと、いろんな言葉が出ちゃうんです」
「ん? いろんな、言葉、って?」
「あ、英語だったり、イタリア語だったり、ドイツ語だったり」
文章にすると、嫌味に感じるかもしれませんが、
彼女の口を通すと、それがまるっきり、そういう感じじゃなくて、
「ちっちゃいころ遊んだのは、
鉄棒だったり、ブランコだったり、鬼ごっこだったり」
っていうのと、ほとんど同じ感じで、
でも、素直にびっくりしました。
「あ、じゃぁ、ジュリアードで?」
「そうなんですぅ。
歌が、ドイツ語だったりイタリア語だったりで、
先生もそうなので、楽譜の書き込みがいろんな言葉になって、
だから台本も、その時の気持ちで、ふっと書いちゃうんですぅ」
という彼女の台本、

内容がわかるほどにはお見せできませんが、
これはたぶんドイツ語だと・・・。
つまり、
日本語のダメ出しを、
ぴったりの外国語に置き換えて、台本に書き込み、
その書き込んだ外国語のダメ出しを、
チェックしながら、日本語の台詞を読む、
という、私なんかからしてみたら「効率悪くない?」
って方法で、台本を読んでいるんですね。
でも彼女にとっては、これが一番効率的。
いろいろ考えずに、咄嗟に出た言葉を書いているんですから。
やっぱり、語学って、
使って覚えなきゃ、身につかないんでしょうね。
って、なんで稽古場で語学に思いを馳せてるんだ?



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