愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

読書ノート

2013年05月21日 | Weblog
最近読んだ本の簡単な感想文を載せます。基本的に取り上げる本は学生にお勧めのものです。

オーデット・シェンカー『コピーキャット』東洋経済新報社。

 経営学の通説では,イノベーションこそが,企業の発展を決定づけることになっています。それは果たして本当なのか。通説を疑って,企業経営における模倣の重要性を論じたのがこの本です。大きく発展した企業は実はイノベーターではなく,模倣者であることが多いことを示して,模倣の重要性を説き,さらには模倣に必要な能力,模倣の在り方を示す戦略などを説明しています。模倣という言葉の使い方がややあいまいなのが気になるところですが,事例が多くちりばめられているので,一気に読めます。

遠藤功『現場女子』日本経済新聞出版社。

 この本は,働く女性のうち,販売,開発,生産,運送という,財やサービスの提供に直接かかわる仕事,すなわち現場仕事に携わっている人の働き方を取り上げています。8人の現場女子に対する著者のインタビューを編集して1冊の本にしています。男性と伍して仕事をする女性の心構え,それでいて女性らしさを出していく方法,自然体で長く仕事を続ける妙味などを知ることができます。就職前の女子学生に是非読んで欲しい本です。

湯谷昇羊『いらっしゃいませと言えない国』新潮文庫。

 
 日本から中国に進出した流通業で最も成功したイトーヨーカ堂の軌跡を取り上げた本です。従業員教育で最も苦心したのが,お客さんに対する挨拶であるというエピソードにちなんでタイトルが付けられています。多くの日本企業が撤退しつつある今,あえて中国に根付いた企業に注目する意義があるでしょう。反日デモが激しい中,現地の消費者に「こんないい店をつぶしてはいけない」と言わしめたヨーカ堂。その現地化やノウハウ移植の苦労に心を奪われます。

西内啓『統計学が最強の学問である』ダイヤモンド社。

 この本は,統計学をテーマにしたビジネス書にもかかわらず,現時点で20万部以上売れているベストセラーです。統計学の発展史を踏まえながら,仮説検証の考え方,統計手法の使い方や結果の読み方などが分かりやすく記述されています。個人的には,カイ二乗検定から,重回帰分析までを一般化線形モデルとして説明されている点がよかった。専門用語が色々出てくる点や,少々上から目線の表現が出てくる点で,学生は読みづらいと感じてしまうかもしれませんが,研究発表前に読む価値はあります。


 どれもビジネス書として最近出版されたものです。専門書ではないため,平易に書かれています。しかし,専門書と変わらないほど,有用な知識を得ることができるでしょう。私には読みごたえがありました。

コメント
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