3月2日に商学部の学内研究発表会「ビジカン」の表彰式が開催されました。うちのゼミからは、論文部門流通マーケティング領域で最優秀賞が1つ、優秀賞が1つ、プレゼン部門流通マーケティング・ビジネス情報領域で優秀賞が1つ、入賞が3つ選ばれました。今回は例年よりも全体的に表彰者が多いので、うちのゼミからの表彰者も多くなっています。そのうち、論文最優秀賞に選ばれたのは吉田和磨「高校生が学習塾を選択する上での要因」です。これは本年度の卒論です。
この卒論は、消費者行動理論を応用して、高校生の塾選択行動の分析を試みたものです。まず、学習塾の選択行動に関する先行研究をレビューした後、これを消費者行動の問題として検討することにして、消費者行動の分析枠組みとして、いくつかの消費行動類型を検討しています。つぎに、学習塾の実態を記述し、既存のアンケートから小・中・高校生(および保護者)による塾選択の現状や理由を整理しています。それによれば、重要な教育投資の一つであるにもかかわらず、塾選択において価格や進学実績を超えて、最も考慮されていたのは「近さ」であるといいます。
その後、消費行動類型(Assaelの類型)に沿って、その理由を分析しました。近さを重視する選択は、高関与でありながらブランド間の知覚差異が小さい不協和低減型に整合していると結論付けています。不協和低減型では、消費者は製品に強いこだわりがあるものの、ブランド評価を行うことができない状況にいます。結果として、他のブランドと比較した場合のメリットについて確固たる信念がないまま特定ブランドを選択し、購入時に吟味しなかったために発生する購買後の不協和を感じてしまうといいます。消費者は不協和解消のために、当該ブランドについてポジティブな情報を探したり、選んだブランドに関するネガティブな情報を無視したりして選択を正当化を試みることになります。この卒論は、塾選択おいても、選択者はこのような状況に陥っていると論じています。近さを重要な選択基準にするのは、塾間の教育室評価が十部に行えていないからではないかというのです。
ただし、この結論はあくまでも仮説の導出にとどまっています。理論の新しい解釈を試みているものでもありません。これらの点、不十分さが残ります。後輩たちは、不十分さを認識して、自らの改善に努めるきかっけとして、この卒論を読んで欲しいと思います。
今年度のビジカンは昨年度と比べると低調でした。エントリー数も低調だったし、発表のレベルも高いとはいえませんでした。マーケティング分野に限ると、戦略提案型の発表が多かったのですが、根拠が弱く思い付きに近い提案がいくつも出されていました。また理論的な分析を伴う発表は少なかったといえます。理論的分析があっても、相互評価場面で、学生がそれを評価できずにいたように思います。次年度は、対面のイベントとして実施し、発表の仕方、評価の基準等をきちんと教員が参加学生にレクチャーする必要があると感じました。
この卒論は、消費者行動理論を応用して、高校生の塾選択行動の分析を試みたものです。まず、学習塾の選択行動に関する先行研究をレビューした後、これを消費者行動の問題として検討することにして、消費者行動の分析枠組みとして、いくつかの消費行動類型を検討しています。つぎに、学習塾の実態を記述し、既存のアンケートから小・中・高校生(および保護者)による塾選択の現状や理由を整理しています。それによれば、重要な教育投資の一つであるにもかかわらず、塾選択において価格や進学実績を超えて、最も考慮されていたのは「近さ」であるといいます。
その後、消費行動類型(Assaelの類型)に沿って、その理由を分析しました。近さを重視する選択は、高関与でありながらブランド間の知覚差異が小さい不協和低減型に整合していると結論付けています。不協和低減型では、消費者は製品に強いこだわりがあるものの、ブランド評価を行うことができない状況にいます。結果として、他のブランドと比較した場合のメリットについて確固たる信念がないまま特定ブランドを選択し、購入時に吟味しなかったために発生する購買後の不協和を感じてしまうといいます。消費者は不協和解消のために、当該ブランドについてポジティブな情報を探したり、選んだブランドに関するネガティブな情報を無視したりして選択を正当化を試みることになります。この卒論は、塾選択おいても、選択者はこのような状況に陥っていると論じています。近さを重要な選択基準にするのは、塾間の教育室評価が十部に行えていないからではないかというのです。
ただし、この結論はあくまでも仮説の導出にとどまっています。理論の新しい解釈を試みているものでもありません。これらの点、不十分さが残ります。後輩たちは、不十分さを認識して、自らの改善に努めるきかっけとして、この卒論を読んで欲しいと思います。
今年度のビジカンは昨年度と比べると低調でした。エントリー数も低調だったし、発表のレベルも高いとはいえませんでした。マーケティング分野に限ると、戦略提案型の発表が多かったのですが、根拠が弱く思い付きに近い提案がいくつも出されていました。また理論的な分析を伴う発表は少なかったといえます。理論的分析があっても、相互評価場面で、学生がそれを評価できずにいたように思います。次年度は、対面のイベントとして実施し、発表の仕方、評価の基準等をきちんと教員が参加学生にレクチャーする必要があると感じました。