雲ひとつなく晴れ渡った空のもと、満開の桜の花を見上げながら、思います。
花と青空の なんと 調和した美しさだろう と。
花々の向こうに 枝々の向こうに 広がる青空。小さな花と花のわずかな間にも 交差する枝の間にも 心に染みいるほど青い空が隙間なく見えます。
青い背景があってこそ、花のたたずまいや色合いが鮮明に鮮やかに目に飛び込んできます。前景の花があってこそ、深く透き通るような青さが印象に残ります。
そこに花が在って、その向こうに青い空が広がって 春そのものを形作っているような……
そんな春を味わいながら、ふと思います。
青い空への昔からのあこがれは、そんな背景である空への思いでもあったのかもしれないと。
そこに在りながら 前景に在る花や人々を生かし 背景として 邪魔にならず 淡々と在り続ける姿に 人間としての理想的な在りようが 見えてくるような気がするのです。