あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

読書の秋

2012-10-18 19:56:59 | インポート

今日の夕方に 空を焦がすような 濃い橙色の夕焼けを見ました。これまでにあまり見たことのない色合いでした。秋の深まりを空も告げているのでしょうか。 

楽しみにしている新刊本が4冊出され、一挙に読み終えました。読書の秋をたっぷりと味わうことができたような感じがします。

読んだ本は、佐伯泰英著「居眠り磐音江戸双紙」40巻、「吉原裏同心」17巻、辻堂魁著「風の市兵衛」8巻、坂岡真著「鬼役」7巻のいずれもシリーズ物の最新刊です。

中でも驚いたのは、居眠り磐音のシリーズが40巻目の発刊だということ。藩の改革派である磐音と親友が、保守派の策略によって、悲しい戦いを強いられてしまうところから始まった物語でしたが、以来さまざまな試練と悲しい別れを乗り越え、亡き師の志を受け継いで道場を再建し、二人の子の父親となった磐音。その経てきた波乱の人生を40巻の物語から汲み取れるような気がしました。佐伯泰英さんの書いたシリーズ物の中でも、現在この物語が一番長く続いているようです。磐音はもちろんのこと、家族や友人・関わりのある人々等、登場人物の一人一人が、物語の世界を通して親しい存在として私の心の中にも生きているような感じがしています。

私が一番初めに読んだ佐伯作品は、「居眠り磐音江戸双紙」ではなく「吉原裏同心」でした。これを読んだことで、佐伯ワールドの魅力にとりつかれてしまい、以来発刊された佐伯作品はすべて見逃さずに読むようになりました。内容の紹介は省略しますが、どの作品も面白く、心惹かれる主人公が登場します。

時代小説好きの私にとって、毎回発刊を楽しみにしているのがこの佐伯作品であり、高田郁著澪つくし料理帖のシリーズです。そして、最近になって新たな魅力にとりつかれたのが、辻堂魁著「風の市兵衛」、坂岡真著「鬼役」のシリーズです。市兵衛は、雇われ家業の算盤侍であり、風の剣をつかう達人でもあります。鬼役は、将軍の食事の毒見役である御膳奉行を務め、裏では悪の手を討つ居合いの達人でもあります。この二人の登場人物の人間性が、また魅力的です。

秋の夜長は、好きな作家の本をじっくりと読んで過ごすのもいいですね。

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秋を 味わって

2012-10-16 09:02:14 | インポート

先日、演劇鑑賞のために、妻と二人で仙台に出かけてきました。演目は、白石加代子さんが演じる一人芝居『百物語』です。午後2時の開演まで時間的な余裕があったので、まず近くの店で昼食をとることにしました。

定禅寺通りに面した 牡蠣をメインの食材として扱う「牡蠣屋」という店に入りました。7・8人でいっぱいになるような小さな店でしたが、そこで牡蠣丼を食ベました。燻製の牡蠣とミツバの乗った丼で、それだけでも美味でしたが、さらにそこに 付け合わせのイカとオクラを混ぜ合わせたものを かけて食ベると、さらに深みのある味になりました。その上、もう一品 殻つきの生牡蠣が付いていて(北海道厚岸:あっけし産)、それを専用のたれ(2種類)に付けて味わいました。プリプリとした大ぶりの牡蠣で、牡蠣好きにはこたえられないクリーミーで濃厚な味でした。思わぬところで、北海道の秋を味わう 幸運に出会うことができました。

昼食を食ベても、開演まではまだ余裕があったので、近くの公園を散策することにしました。歩いていくと、キンモクセイのあまい香りが鼻をくすぐりました。少し先に、大きなキンモクセイの木が枝を広げていました。そばによってみると、橙色のかわいい花が満開で、あたり一面にあまい香りが満ち溢れていました。公園を訪れた人々に秋が来たことを告げるかのように、香りは風に乗って公園中に流れていました。舌で秋を味わった上に、鼻と目でも秋を味わうことができました。

一人芝居で取り上げられた話は二つ。宮部みゆきさんの「小袖の手」と、朱川湊人さんの「栞の恋」でした。江戸時代の物語と反戦の思いが込められた現代ものの二つでした。怖さとユーモアと人間としての切ない思いが込められた内容でした。白石さんの巧みな朗読と演技が一体となった魅力的な芝居で、小袖や本に込められた亡くなった人の思いが、人間的な思いとして 切なく伝わってきました。特に、「栞の恋」は心に残りました。古本屋にある一冊の本が 出会いの場となります。一言綴った栞を挟み、作者の青年と心の交流を図る娘。特攻隊の一員として死地に赴いた青年にとって、栞を通した娘との会話は、心を通わせた 尊い思い出になったのだと思います。原作を是非読んでみたいと思いました。

食欲の秋と芸術の秋を楽しむことのできた 仙台での一日でした。

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湊かなえ作「往復書簡」を読んで

2012-10-06 19:53:54 | インポート

    4編の作品が収められていますが、その中の「20年後の宿題」が、11月公開予定の映画「北のカナリヤたち」:吉永小百合主演 の原作となる作品です。

 20年前に担任の女教師夫妻と6人の教え子たちが、ある事故を体験します。定年退職し入院中の教師は、その事故を通して背負った宿題を果たしたいと考えます。6人の中の1人と関わりのあるもう一人の教え子に、その後の6人の消息を訪ね、あるものを渡してもらいたいと依頼します。この教え子と女教師との間で交わされる往復書簡で、この作品は構成されています。

 依頼された教え子は、6人のその後の生活の様子や事故に対する思いを聞きとり、そのことを手紙で知らせます。教師は、そのことを知ることで、事故が子どもたち一人一人のその後の生き方に大きな影響を与えたことを改めて理解します。同時に当時の自分を客観的に振り返り見つめ直しながら、その思いを手紙に書いて伝えます。同じ教師という同職にあったせいでしょうか、私にとっては書かれた教師としての思いが切々と心に響き、深い共感を覚えました。事故を乗り越えて6人の子どもたちには幸せになってほしい、その切実な願いが教師として果たしたかった本当の宿題だったのではないかとも思いました。

 手紙で6人の消息を伝えた教え子は、高校の教師の職にあります。彼もまた、同年代の6人と出会うことを通して、人間としての在り方や生き方を学びます。また、かっての担任との往復書簡を通して、改めて教師としての生き方を学びます。

 なぜ、女教師は6人の消息を訪ねる役を彼に依頼したのでしょうか、その理由は最後になって明らかになります。しかし、私にはその理由のほかに、教職を終えるにあたって教師として彼に託したかったものがあるように思いました。6人との出会いを通して学んだものを、教師としてのこれからに生かしてほしい、そんな先輩教師としての願いもあったのではないかと思えるのです。

 他の作品も読み応えがあり、いずれも最後の書簡でそうだったのかと驚かされます。それだけ、巧みな構成であり、意外性をついた作者の妙に感心してしまいます。人間のもっている正と負の部分を深く洞察しているからこそ、描くことのできた作品なのかもしれません。新たな事実が一つずつ往復書簡の中で明らかにされていく過程も、読者を誘い込む要素になっているようです。一読を是非勧めたい作品です。

 

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愛らしき アゲハの幼虫

2012-10-01 21:00:14 | インポート

これまで、撮った写真を通して アゲハの幼虫を紹介します。ようく見ていただくと、その愛らしさを感じることができるかもしれません。

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アゲハの成虫は、多くの人がきれいなチョウだと思えるのかもしれませんが、幼虫の段階の姿を美しいと思う人は、少ないのかもしれません。

でも、考えてみると、卵から幼虫、幼虫から成虫へと さまざまな姿・形を経る中で、成虫の段階まで成長できるのは、限られた数なのかもしれません。親から命のバトンを受け、厳しい自然環境の中で 最後まで走り通すことの困難さを、感じてしまいます。だからこそ、今こうして目の前にする 幼虫の命の尊さとかけがえのなさを 思います。この写真の中の命が、空を思う存分かけめぐる アゲハチョウとして 飛び立ってくれることを 心から願います。 












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幼虫の引っ越し

2012-10-01 09:03:15 | インポート

低いサンショウの木の葉がすっかりなくなってしまいました。アゲハの幼虫たちにとって、もう食べる葉が一枚もありません。小さめの幼虫が1匹、葉のない枝にしがみついた状態で死んでいるのを見つけました。体の色が、緑から褐色に変わっていました。葉がいっぱいある時期に生まれたらよかったのにと、とてもかわいそうになりました。

なんとか他の幼虫を救う手立てがないものかと考えました。そこで、思いついたのが鉢植えのミカンの木でした。鉢植えですので移動が簡単にできます。さっそくサンショウの木のそばに枝が重なり合うように、鉢植えのミカンの木を置きました。うまく枝から枝へと渡ってきてくれるといいなあと思いました。夕方に見てみると、うれしいことに1匹の幼虫がミカンの葉に移動しているのを発見しました。次の朝に見てみると、移動した幼虫を3匹も見つけました。ミカンの葉が、幼虫の口にあうのかどうか気がかりではありますが、なんとかこのまま成虫まで育ってほしいと思いました。

もう一本の高いサンショウの木も、上の葉はすべてなくなり、わずかに残った下の方の葉の周りに、4匹の幼虫が集まっていました。こちらの葉も、あと少しで食べ尽くしてしまいそうです。そこで、このサンショウの木のそばにも、鉢植えのミカンの木を移動することにしました。ミカンの木が2本あってよかったなあとしみじみ思いました。移動できたかどうかは、明日の朝に確認したいと思います。ただやはり心配なのは、これまで食べてきた葉と異なるので、うまく口にあうかどうかという点です。

さらに心配なのは、台風の接近です。激しい風雨の中で、幼虫たちが飛ばされてしまわないかと不安になります。

何とかこの危機を乗り越えて、空を舞ってほしいと願っているのですが……。

◆追伸: 今朝、無事を確認し、ホッとしました。

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