あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

チャレンジャーズライブ決勝

2006-08-06 20:17:12 | チャレンジャーズライブ
7月12日に、心臓外科の甲子園とも言えるチャレンジャーズライブの決勝が須賀川で行われた。
このブログも初めて1年が過ぎましたが、ちょうど最初のころ昨年のチャレンジャーズライブの決勝のことが書かれていて、まさかその舞台に今年は自分が上がれるとは思ってもみなかった。
出場メンバーは4人、東日本からは立川メディカルセンターの飯田先生、立川というからには関東近辺かと思っていたらとんでもない、実は立川というのは創設者の名前で、病院は新潟にあって新潟大学のジッツらしい。彼は異例な人事で東京医大からの出向で現在の病院に来ているとのことであるが、やはり大学に属するもの、数年前の自分と同じように将来の進路についていろいろと悩んでいた。
東日本のもう1人は東邦大学大橋病院の山下先生、なんと私の母校である。
彼はもともと日本医大の所属であったが、ボスに魅力が無いことや100年たっても手術が回ってきそうに無いとの事から、今年、尾崎先生のところへ移ったらしい。
医局を飛び出るのはいいが、また医局とは、とほほ。まー、尾崎先生のところだから、普通の大学病院よりはまともだとは思うが、、、。
そして西日本からは僕と、もう1人は昨年の予選の後一緒に反省会を開いて仲良くなった京都府立の小川先生、お師匠さんである夜久先生に似ている似ているとみんなに言われていたが、一番似ているのは髪の毛の薄さやないか?
若くして、、、。
本番前に南淵先生を中心に顔合わせがあって、順番とかをくじ引きで決めた。
昨年は審査のときに、東上先生がトップバッターのことなんかもう覚えてないなーなんて言っており、トップバッターは不利だというふれこみであったが、いつまでも待っておるのは余計に緊張しそうだったので、僕はあえてみんなの嫌がるトップバッターを選択した。前立ちは、昨年の影の優勝者といわれている角野先生を指名させていただいた。角野先生も同じ大川ファミリーであり、これまでも何度かお相手していただいているし、吻合の方法も全く同じである。機械出しは大和成和の南淵先生の専属ナースである深津さん、大ベテランでありナイスなボケや突込みでリラックスさせてくれた。
さて、結果でありますが、4人中3人は初歩的なミスで敗退となり、無難にこなした山下先生の優勝となった。
僕は、IMAが解離してグラフトが流れずアウト、飯田先生は途中でVfで心停止となりアウト、そして小川先生は対側を引っ掛けており吻合部狭窄でアウト、山下先生は特にトラブルなく、審査員13人全員が山下先生に票をいれて見事に優勝である。
現実は厳しいものである、いくら上手に縫えても、グラフトが流れなきゃ、生かして帰さなきゃ、当然アウトである。
いろいろ反省する点はあるのだろうが、そのまま打ち上げになだれ込み、反省する暇無し、、、、。
IMAの剥離をもっと丁寧にやればよかったのだろうが、まーそれだけでもないんだろうな。要するにこれが今の俺の実力ってことだろう。

打ち上げでは今回は新葛飾の吉田先生とへべれけになるまで飲んだ。行くところなければいつでも来いなんて言ってくれたが、まー社交辞令というやつだろう。
それから、新葛飾にはどういう縁だか、わが母校の医局長である藤井先生が週一回、遊びに来ているとのこと。頑張られているようで、外から母校の復権を祈っております。
今回は、あくまでも、甲子園である、本当の意味での勝負はこれから、毎日なのであろう。
ここに参加したメンバーもそれなりの野心を持ったやつらで、良きライバルとしてきっといつかまたぶつかる日が来るのだと思い、楽しみである。

決勝が終わって、1つの目標が達成された。
そして次の人生の目標が決まった。
次は豚ではなく学会で本物のライブオペレーターになること、これに決めました。
期限は40歳まで、しかしそれまでライブって続くのかなー、ちょっと心配、、、

必勝法

2006-06-07 08:04:18 | チャレンジャーズライブ
もうすぐ、この施設ともお別れになる。最後に、これまでのこの施設で学んだことから、チャレンジャーズライブ予選通過の必勝法を含め自分なりのうんちくを述べたいと思う。
手術はテクニック---イメージの連動、メンタル面の制御から成り立つ

【テクニック】
これは学生時代の部活の練習と一緒で、ひたすら練習あるのみ。
少なくとも外科医であれば研修医の頃、暇さえあればそこらじゅうの机や椅子に糸結びの練習をした覚えがあるはず。これは子供の習い事と一緒で脳神経細胞が死んでいく前に、できるだけ若いうちから手先を動かすのが理想。
バイパスであれば、豚の心臓買ってきてひたすら練習するのである。
自分の場合は
以前このブログにも書いたが、ラッキーなことに僕の地域のスーパーでは、豚のハツを一個200円で売ってくれる。手術のない土日にしこたま買い込んできてこっそり手術室に持ち込み、有線をがんがんにかけて練習する。そして可能であればビデオに録画して、一吻合ごとにレビューしておかしなところを直していく。ポイントはたくさんあるのだろうが、僕が意識していたのはスムーズな針の持ち替え、つまり針のキャッチボールである。僕のは半分はボス、半分は渡邊剛先生がやっている運針を盗んだ。これは机の上でも絵を書いてできるし、日々の手術で皮膚を埋没連続で縫う際にも意識していれば練習になると南淵先生は言っていた。何ならマイクロのセッシと持針器で皮膚を縫わせてもらえばなお良い。

【イメージ】
一流のF1レーサーはコースの隅々まで頭の中にインプットされており、レース前のイメージトレーニングでは、本番さながらのように汗をかき、疲労感を覚え、そして驚くことに自分のラップタイムと寸分狂わぬタイムでゴールするという。
要するに頭の中にしっかりとしたイメージもち、それをいかにして自分の手で再現するかである。
僕は12針で吻合するが、その12針すべて、一針一針必ずうんちくがある、いつもボスが言っていたうんちくが自然と頭に入っていた。

川副先生も言っていたが、手術はイメージである。良いイメージを持つためには良い手術をしこたま見なくてはならない、まずは良い外科医に出会うことである。

【メンタル】
一番重要であり難しいのが自分の精神面のコントロールである。
スターウォーズでアナキンやその息子のルークがダークの道へ引きずり込まれそうになる、アナキンは負けてしまうがルークはフォースの力を信じ見事に悪に打ち勝つ。
チャレンジャーズライブ予選では、みんなテクニックとイメージはある程度できて挑んでくるのだろうが、緊張のあまりそれが100%発揮することができないのだと思う。
自分のリズムを持って、そこに自分の世界をつくりあげ、周りを巻き込み全員見方にして自分に有利な環境にしてしまうことだと思った。
そのためにはまず
敵を知ること、豚さんと仲良くすることである。豚さんで10匹20匹とやっているうちに、だんだん豚の冠動脈の走行とか特性とかもわかってくる、本番でもあせらずすぐにLADが見つけられる。
機会があれば学会でやっているウェットラボに参加したり、またテルモかエチコンの動物ラボでOFF-CABGを体験してくる。
そして、もちろん豚さんだけでなく審査員の先生方とも仲良くすることである、ラッキーなことに審査委員の方の半分以上は知りあいであり、本番中も冗談言いながら自分のペースでやらせてもらうことができた。
僕の場合一針一針吻合のポイントをずーとしゃべりながら吻合していた。これは自分のリズムを取るためであるが、結果的に審査員の先生方に対するアピールとなったと思う。途中、審査員の先生からはしゃべりすぎで減点項目は無いからいいよといわれたが、終わった後もずーとしゃべり続け、しまいには南淵先生からうるさいと怒られた。

当たり前のことばかり書いたが、それが日々の忙しい生活の中ではなかなかできない。ストイックな方なら良いが自分に甘い人間にはなかなか難しい。
どうするかといえば、ゆるぎない信念を持つこと、近場の目標を持ち、そして自分を自ら谷底に落として窮地に追い込む、そういう環境に自分をおくことでしょうか。

予選通過

2006-06-04 22:18:10 | チャレンジャーズライブ
今日は豚のCABGコンテストであるチャレンジャーズライブの西日本予選があって大阪まで行ってきた。今回の出場者は西日本ブロックで30人、そのうち決勝に行けるのは2人だけ、まー、倍率としては15倍であるので、医学部受験のときよりはいいか。
今回は、2回目ということもあり、あんまり勝ち負け考えずに、気楽な気持ちで挑んだのが良かったのか、さっき審査員の先生から電話きて、なんと予選で優勝してしまった。
この施設に2年いたおかげか、審査員の先生方みんなうちにライブやりに来ている先生たちなので、気さくに冗談言いながら楽しくできた、あんまり手も震えず、ボスのやり方をそのまま真似したら、一番に吻合終わってた、吻合部もコブラヘッドみたいになってた。
決勝は来月、病院移ってすぐなので、なかなか立場上出させてもらえるか、びみょー、なんとか、出させてもらえるといいのだが。
やはり手術というのは、いかに上手な手術を見ているかと、それを頭の中でイメージして、いかに自分の手で再現できるかなのかもしれない。自分で術者やっていなくても、なんか、うまい人のそのまんまコピーできればできてしまうのではないかと、今日あらためて思ったのである。

ちなみに今日はNHKが取材に来ていたので、みんな見てね、7月1日放送です。
ただ、先日ちょっと悪さをしてしまい、現在、丸坊主頭なのでテレビ映りは、ちと悪いかもしんないが、、、

豚、豚、豚

2006-04-24 02:20:11 | チャレンジャーズライブ
今週末もダラダラと過ごしてしまった。今書き途中のペーパーがなかなか思うように進まなかったので、内容を削ってシンプルなものにしたら、意外とすんなりまとまって、あとは少し肉をつければいいかなというとこまできた。
まだまだ、あと2ヶ月の間に、日循と血管学会の発表とあと、もう二つ書きたいペーパーがあるが、無理だな、症例報告したい内容もいくつかあるが、もう無理。もっと早くにやっとくべきでした、反省。
今日は、また、豚さん買ってきて5本ほどつないでみたが、けっこういけてる気がしてきた。あとは本番で緊張して手が震えたりしなければ、いいとこいけそうな気がしてきたが、、、あまいか。

日曜日のオペ室

2006-04-16 18:33:52 | チャレンジャーズライブ
今日は日曜日、学会明けで患者も少なく、のんびり回診して、午後はバイパスの練習した。
病院から車で40分ほど行ったところに、珍しく豚のハツが売っているスーパーがあり、そこで今日は上物を4つほど購入し、しめて800円なり、安い。
ここのハツは安いが心房が切り取られ房室弁も破壊されているため、バイパスの練習にしか使えないのだが、まー十分だ。
それをこっそりオペ室に持ち込んで、まずはグラフト採取、CXがわかればそれを掘っていってグラフトにする。そんでもって、それをLADにつなぐというコンセプト。
今日は4本つないだ、しかも一本ごとにビデオにとってレビューしてから次の吻合へ進むこととした。ビデオで見るからにはだいたいの流れは良さそうだが、今後の反省点としては、
1.セッシとカストロの中で自由に7-0の針を転がせていないこと
⇒これは暇なときに針を自由自在に操れるように練習するしかない。
2.最初のパラシュートで降ろすまでのグラフトの5針がかけにくい。
⇒今はグラフトを助手側に置いているため逆針になっている、ボスがそうなのでなるべく忠実にやろうと思うが無理そうなので、術者側において順針でできるようにしてみる。
3.12針でいくつもりで、いつもオーバーする。
⇒イメージとセンスの問題、どうにもならない。

ちなみに、チャレンジャーズライブの連絡が来ていた、6月5日日曜日に大阪会場となっていた、できれば東京に行きたかった、何故かというと、知り合いがたくさん出場するらしいので、終わったら一杯ひっかけてこようという魂胆だったのに。
大阪じゃあんまりいなさそう、さびしなー。でもたぶん第二日赤のT先生出るって行ってたので、紅一点、楽しいかも知れない。

冠動脈外科学会

2005-07-24 01:59:23 | チャレンジャーズライブ
今週は冠動脈外科学会行ってきた。
off-pumpに関してはありきたりの発表が多かった、面白かったのは中枢吻合用の新しいデバイスとか、内視鏡下のradial採取、あとはやはり今流行の左室形成術とか虚血性のMRかな。
チャレンジャーズライブでは、予選をかち抜いた4人の先生の豚CABGをみたが、優勝した先生はさすがに上手だった、とても落ち着いていて安心してみてられたかな。S先生は残念ながら2位、でも出場できただけでもすごい。コメンテーターの先生たちも好き勝手言いたい放題、東上先生は緊張して手が震えてるのを見て、B-ブロッカー飲むと止まりますよと真剣に言っていた、自分も飲んでるらしい、あとで聞いたら、ほんとに飲んでるらしい、飲み忘れたときは一度手を下ろしてのみに行くらしい。
なんか、4人の経歴がそれぞれ変わっていて面白かった。
1人目は名市大の医局を飛び出し、すでにOZに2年臨床留学し向こうでCABGは40例ほど経験有という実力者。
2人目は自治医大卒後7年間の丁稚奉公のため現在、四国の小さな島で地域医療に貢献中、週に一度広島の病院で心臓外科のトレーニングを受けている、心臓外科界のドクターコトウ、来年で自治医大の義務も終了。これで、予選を通ったのもすごいが、こんなモチベーションの高い人が毎日心臓外科やりだしたら、大変、かなわんかもしれん。
3人目は昭和出身、その後1年ごとに病院を転々とし今年、神戸大学へと身を転じた、風来坊。
そして4人目は、神戸大学出身、現在は医局からの出張で姫路循環器病センターでトレーニング中の29歳、主治医のときはグラフトのニヤーサイドは縫わせてもらっているという、そこの伝統的なトレーニング方法で鍛えられていると、しかし、所詮医局の人事、今は大変恵まれているが、次はもしかしたら手術のない病院へ飛ばされるかもしれんし、研究を命ぜられるかも知れないと、、。
こんなメンバーでした。

あとは、今、T大に行っている先輩に会ったが、すっげー話きいた、何でも5時間とめられる心筋保護があるって、なんかトーマス液に何とかと何とかを入れて、酸素をぶくぶくさせて95%にして、10℃に冷却して注入するって言ってたけど、本人もあんまり良くわかってないが、実際にそれで問題なく手術しているらしい、すげー楽ちんだって言ってた。不整脈も別にそんなに出ないって言ってた、、、、そこの教授が10年前から研究してるんだとか、、、。
その話を帰ってきて、上の先生にしたら5年ぐらい前に似たようなのあったぞと言われた、それにクリスタロイドだったら結構とめてられるみたいなこと言ってた。あれーって感じ。

あとは、金沢の渡辺剛先生から直接トルコのカラゴッツの話が聞けた、剛先生も世界各国いろいろと手術を見に行ってるが、その中でもダントツだって言ってた、見た感じはぜんぜん急いでいる感じではないが、終わるとMVR11分、ベントール35分と脅威の早さだと、しかし速さを求めるならもっと雑で速い外科医はいくらでもいると言っていた、何よりも丁寧で速いと、そして手術室に入ってから出るまでのすべてにおいて効率よく、そういうシステムがすばらしいといっていた。
そして、若いうちに絶対、そういった世界の先生の手術を見ておくべきだよとも言っていた。
見学行きたければいつでも口を利いてくれるとのこと、これもやはりうちの大将の人徳かな、ありがたやありがたや。

学会というのは、発表したり聞いたりするのももちろん大事だが、もうひとつにいろいろな方と出会えたり情報交換できたりと、今のところそっちのほうが大きい気がする。

初日に六本木の、たんや又兵衛という牛タン屋さんに行ったが、絶品、ここ最近食べたものでは一番かな、また今度絶対行きたい。


ぶたCABG

2005-07-19 22:53:48 | チャレンジャーズライブ
今日はMAP+TAPとaxillo-bi-femoralと縦に2件だったので8時には終了、1例目はpump-onまで、後は前立ち、2例目は足一本縫わせてもらった。なかなか充実した1日でした。
久しぶりにpump-onさせてもらった気がするが、ふと気がつくと時計は41分とまずまず。最初は1時間以上かかってたのに、いつのまにか出来るようになってくるものですな、次は30分目指してがんばるかな、まだまだ自信が無くて無駄な動きが多いんだと思われる。
明日からは、冠動脈外科学会で新宿へ行くのだー、チャレンジャーズライブの本選もあるのでちょっと覗いて来るかな、今年は予選落ちしたが来年こそは予選通過して、ぶたCABGできるといいな。