あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

しばし、お別れ

2012-03-21 14:28:59 | Weblog
先日、病院の送別会では、人のことをめったに褒めないボスが、贐のお世辞とはいえ、うれしいお言葉をくださいました。牛丼の吉野家は一度つぶれかかって、再び復活したことで、現在では評価が上がった。一度つぶれかかって這い上がったものは、強いし信頼が置けるとのことである。
わたしも一度は再起不能とまで言われたが、周囲の助けがあり、ここまで復活できました。
無理はしてはいけないが、ほどほどでと思ったら、そこで進歩はしない。


本日で、職場のパソコンをはずしますので、しばしお別れとなります。
また、新天地でお会いしましょう。

最後のOPCAB

2012-03-15 23:03:51 | Weblog
先週のDVRで最後の手術になるかと思っていたが、もう一例OPCABの執刀をさせていただいた。冠動脈がガタガタで細く、やや難しい症例でしたので、ボスが執刀予定になっていたが、グラフト取り終わって、外来中のボスに連絡すると、後輩ととりあえずやっておけとのこと、一月ぶりのバイパスということもあるし、ちょうど、次に勤める病院の看護婦さんたちが手術見学に来ていたこともあり、一本目の吻合は緊張してやや手が震え、下手糞な手術で恥ずかしいばかりであるが、両側内胸とSVGで4本つないで244分、皮膚を閉じているときにボスが外来終わって登場、最後の最後までボスの外来には勝てなかったが、卒業試験は合格させてもらえたのだろうか。
グラフト採取70分、セットアップに20分、末梢吻合は4本で40分、中枢は2本10分、閉胸30分として、残りの70分は何をしているのだろう。ポジショニングや冠動脈切開に時間がかかりすぎているのかもしれないが、OPCABで一番大事なことなので、今の私の実力では仕方ないのかもしれない。やはりまだまだ無駄が多く、あと60分ぐらいは短縮したいものである。
とはいっても、これからは、これまでのやり方になれたスタッフもいないし、今までのようには行かないのだろう。

明日は

2012-03-08 22:38:13 | Weblog
明日は、次の勤務先のMEさんが見学にやってこられます。向こうもそれなりの経験がありますので、自分のこだわりというものがあり、ところ変わればなんとやら、お互いゴールは一緒でも、方法が違うもので、百聞は一見にしかずということで、一度ポンプ症例を見にきていただくこととしました。ありがたいことです。明日はAVRですので、ポンプ症例としては一番メジャーな症例であり、ちょうどよいと思います。

夕方からは外科の歓送迎会となり、いよいよ実感がわいてきました。さびしくなりますが、良い旅立ちになるようにしたいです。

残念

2012-03-08 22:08:26 | Weblog
今日は山奥の外勤+当直、こちらは町と比べ、まだまだ寒いです。
朝病院に顔出したところ、破裂のおばあさまの調子があまりよくなく、腎不全が進行して、意識レベルもいまひとつ、ナルコーシスは無いが呼吸も怪しく、とりあえず透析の指示を出して、家族にきびしめのお話、88歳ということで延命はなしでということになった。外勤先での往診から帰ってくると、後輩からメールが入っており、昼過ぎに急変されて残念ながらお亡くなりになったとのことで、仕方ないが執刀医として最後の仕事ができなかったこと、山奥からただただ申し分けなく思うばかりである。どうすれば救えたのか考えるが、直接の死因は腸管虚血か、肺炎か、腎不全かはっきりはわからない。寿命といえばそれまでであるが、手術を望まれてこちらも引き受けた以上、どこかで救えるポイントは何度かあったはず。便に血液は混じっていなかったので腸管虚血が原因かどうかはわからないが、手術ではアプローチの判断が正しかったのかどうか、血腫の中、なれないアプローチで行くことをためらったが、最初からレトロで行けば癒着剥離の必要もなく、腸間膜動脈を損傷することも無かったかもしれない、また、バイパスまで置く必要があったのかもしれないが、手術のトータル的なことを考えて、そこまで積極的におこなわなかったこと。当日に抜管したが、自己排痰できず、胃全摘後のため、胆汁様の嘔吐の誤嚥から肺炎、敗血症の可能性もあり、抜管のタイミングが早かったのかもしれない。また、もう1日早く透析を導入するべきだったかもしれない。いくつか後悔すべき点はあるが、結果が変わったかどうかは、今となってはわからない。以前の施設で、一緒に働いていた同僚から、後悔しないように転ぶなら前向きに転ぼうといわれたことを思い出す。

ここ数年は術前のマネージメントから、術式、術後管理といろいろ変えていき、運よく助かる方も増えてきたが、やはり無力なこともある。破裂を任せてもらうようになって4年で22例ほどの症例を経験したが、残念ながら5例を失っている。初めての症例はオペ室が空いてなく、カテ室で行った症例であるがオペ前からHt10程度で、血液はほとんど透き通っており、意識の無い状態でスタートしたが、術中から出血のコントロールがつかず出血死。次の3例はおそらくコンパートメントから腎不全、MOFで死亡、それ以来、2期的閉鎖や術中イレウス管留置、膀胱内圧測定などコンパートメント対策など、いろいろ試行錯誤して対応したが、結局のところ、手術時間の短縮と大量輸血に大量の凝固剤投与することで、2期的閉鎖の必要もほとんど無くなり成績は安定してきたように思える。今回の症例も思えば術前Ht15と、かなり厳しい状況ではあった。


傾眠

2012-03-07 20:40:33 | Weblog
3日目の破裂のばあさまは、不穏が強くいろいろもってリスパダールが効いたのか、今度は昨日の夕方から24時間傾眠傾向である、呼びかけには返事はするし指示動作も可能だが、ずーと寝ている。
今のうちにと思い、抜かれる前にライン類は抜いてしまい、経管栄養も増量、昼間は車いすに乗って、うろうろしてもらったが、寝っぱなし、、、、おとなしいのはいいのだが、、、自己排痰できず、トラヘルパーの登場となり、リスパダールも一度中止してみることにした。
リスパダール、効く人は効くのね、4ml/日だったけど、ちょっと多かったのかな?、なかなか難しいね。
88歳でもともとADL低いがディサービスは週4回通ってたとのことで、また通えるまで戻して差し上げないといけません、、、経管栄養でもう少しパワーつけて、嚥下訓練含め、早くリハビリしないと、せっかく手術したのに、ほんとに寝たきりになってしまいそう。

卒業試験?

2012-03-07 19:07:04 | Weblog
今日はDVRが当たっていた、初めてである。昨日部長に確認したところ卒業試験だ、やってみろと、クランプが150分超えそうであれば、その時点で交代とのことで、初めてということで目標120分で設定して昨夜は一晩イメージトレーニングしてきましたが、、、、。
手順はいつも見ているし、AVRは30例ぐらい経験させてもらったので、特に不安はないが、MVRはこれまで4例ほどであり、最後にやったのはもう去年の夏で半年以上前、、、やり方はわかっていても、そこはやはり経験が足りず、、、弁をとるのも一苦労、糸をかけるのも一苦労、、、遮断132分に、手術267分となり、特に問題はなかっただけに、手技が遅いということ、、、悔しいというか情けない、、、これが実力なんです。これではMAZEやTAPも一緒にやるとなると、遮断150分になってしまいます。
ちょっと、自信無くなったが、卒業目前にして自分の実力がわかり、調子に乗ってはいけないなと、あらためて思い知らされました。
弁置換はCABGと同様に基本中の基本ですので、いまさらであるが、もう少しM弁の経験もしておきたかった。
まー、最後にいい経験となりました。
今週はもう出番はなしかな、来週で最後となりますので、さすがに執刀は無いかな。
ありがたいことに来週は月曜から次の火曜まで毎日、送別会続きであります。
体壊れそう
いよいよ本格的に、引越し準備に取り掛からないといけません。
飛ぶ鳥跡を濁さず、患者さんもしっかり引き継ぎしないとね。


HOCM

2012-03-06 23:15:20 | Weblog
今日はHOCMによるSAMからsevereMRをきたしているかたで、PTSMAやったけど無効ということで、モロー+MVRの予定で、ボスの前立ちで勉強させていただきました。
ちょうど、1年ほど前にも同じ症例がありまして、モロー+MVRを行いましたが、その症例は術後ブロックとなりPM植え込みが追加で必要になりました。
今回はM弁は弁輪の石灰化が強い、いわゆるMACというやつで、できればM弁は触りたくないというのが正直なところで、弁尖自体は悪くはなさそうでしたので、まず、モローをやって一度、遮断解除してみて、SAMとMRが改善すればMVRはなしという方針で挑みました。
中隔はエコーでは24mm程度あるので10mmぐらいの深さで切除しても問題ないとは、わかっていても、恐ろしくてなかなか深くはいけないもので、それでも、今回はボスも根性出して、かなり深くまで、かつ乳頭筋のレベルぐらいまで切除しました。RV側から中隔を押して、針糸で引っ張りながら、3段階ぐらいに分けて切除しました。PTSMAの影響なのか中隔は瘢痕化しており、メスでもなかなか硬くて切れにくく、ただでさえ、角度的にメスが入りにくいので、刃をとっかえひっかえやりました。本当に深くいっているかどうかはわかりませんので、指で外から挟んで厚みを確認しながらとなりました。伝導路は避けなければいけませんので、きれいにとはいきませんが、TEEでは流速が6→1m/sとかなり改善、SAMも消失して、MRも1度程度となり、MVRなしで終了となりました。
以前の後輩がトロントかどっかで見学したときは毎週モローやっていたと言っているので、慣れればそんなに大変ではないと思いますが、やはり勇気が要ります。
穴をあけた先生を知っていますが、逆に慣れてくると、いつか一度はVSPを作ってしますのでしょう。リカバリーがイメージできていればいいと思いますが、おそらく、弁輪拡大のつもりで、M弁前尖まで切り込めば、視野が良くなり、中隔の修復もできるのではないかと思っていますが、何せ、弁輪拡大など、自分ではやったことないし、ここ7-8年見たことないので、頭ではわかっていてもなかなかね。
あと、メスがね、ちょっと先の曲がった切れ味のいいやつが必要だが、なんかいいのあるんかね。

不穏

2012-03-05 02:45:55 | Weblog
破裂の方が苦しがっているとのことで呼ばれて、抜いたほうがいいかなと思い、抜管したけど不穏だ、、、。呼吸循環は落ち着いていて、早速排便もあるので、安心だが、明日の朝まで、もう少し寝ていてもらえば良かったな、何とも云えん。プレセデックスをベースにソセアタ、セレネースで少し落ち着いたが、いまいち、、、、。明日からリスパダールでも開始して、とっととCCU出すしかないかな。
緊急症例だから仕方ないけど、、、やはり術後もフェンタぐらいは薄く流したほうがいいのかな。痛みがあるから不穏になりやすいという考えもあるが、この方はお腹は痛くないと言ってはいるし、だいたい不穏になってしまうと痛みには鈍感になるのかな、当日からこれだけ暴れられるんだもんね。
やはり環境を変えて、家族に側についてもらって、精神的環境を整えるのが一番でしょうか。どうでしょうか、どなたか良きアドバイスはないでしょうか?

三回目

2012-03-04 11:43:02 | Weblog
朝方に88歳AAA10cmの破裂が来られましたが、14年前にYグラフト置換と胃全摘とされている方で、アプローチに悩みましたが、左胸を開けて下行のテーピングをしておいて、正中でアプローチで開始。案の定、癒着が強く、腹膜の癒着はなんとか剥がせましたが、大腸、小腸、腸管膜が一塊になっており、剥離は不可能のようで途方に暮れてしまい、結局、ウロにいた時の経験を思い出し、そのままホワイトラインから後腹膜腔に入って、結局レトロから用手的に攻めることにしたが、脾臓を起こしてくることができず、ネックを捕まえられず、そうこうしているうちに血圧も下がってきたので、そのままクランプして瘤切開して、瘤の中からネックを確認、クランプを腎動脈下に移してなんとか、安定しました。今回は前回の人工血管と中枢側が瘤化しており、吻合部とは関係なかったと思います。末梢側はそのまま前の人工血管に吻合して終了。
さすがに2時間とはいかず、3時間半と時間はかかりましたが、なんとかバイタルは安定しております。
腸管損傷はないと思いますので、あとはおしっこが出てくれればなんとかなるのではないかと思いますが、まだまだ助かるかどうかはわかりません。

胃全摘にYグラフトで、中枢も末梢もどこもかしこも癒着でガチガチ、こういうケースのアプローチの選択は悩ましいですが、結果的にはレトロで行けばもう少しスムーズにいけたかなと反省であります。それとどうにもならん時はやはり下行でクランプして、瘤の中から攻めるのが早いかなと思いました。

残りわずかとなりました。

2012-03-01 23:24:51 | Weblog
3月に入り、今年も6人ほど移動する先生がおります。
かくゆう私も、今月でこの施設を去ることになりました。
ここには通算6年ほど在籍したことになります。最近ここのでの業績を整理しているところですが
・学会発表が16回と病院のお金で色々なところに行かせていただきました。
・論文は筆頭が6編(あと3つ目標)、共同筆者が6編であり、目標であった年2編の筆頭は達成できませんでした。
・手術は在籍中の全身麻酔は1500件ほど、そのうち1000件近くに携わりました、術者が200、前立ち250、助手500といったところです。
開心術はCABG50、AVR30、MVR5、TAA10、その他10、AAAは70、破裂20、足が20といったところでした。術者としてはまだまだ経験不足であり、これからというところではあります。まだまだここで教わることも多いとは思いますが、もう数年我慢すればよいのかもしれませんが、年功序列の世界ですし、私もうかうかしていると40歳を過ぎてしましますので、思い切って飛び出すこととしました。アウトローの宿命であります。
40才までには独り立ちできなかったら、この世界ではもう大成はできないなと、前々から考えていたので、もしかしたら最後のチャンスかと思い、技術的にも経験的にもまだまだでありますが、チャレンジしてみます。
半年前にお話をいただき、チーフでやれるとのことで、チャンスはやってきたときにつかめ、前髪はあるけど後ろ髪はないとは誰が最初に言ったかわかりませんが。
しかしながら一ヶ月を切ったにもかかわらず、今のところスタッフは私ひとり、これまで頂いたコネをフル活動させて、皆さんに応援をお願いしてはいますが、、、どうなることやら、、、。
まー、のんびりと安全第一ではじめるしかないですね。


また縁があれば戻ってくるかもしれませんが。


6つめ

2012-03-01 23:21:53 | Weblog
またまた一つ論文がacceptされました、この施設で通算6本目の論文となります。あまりたいした内容ではないのですが、いつか何かの役に立つでしょう。
あとふたつ査読中ですので、なんとか通過してほしいところであります。

ウインターセミナー

2012-03-01 21:40:39 | Weblog
今回のウインターセミナーは好天に恵まれて、スノーモンスターと呼ばれる樹氷も見ることができたし、2日間スキーを楽しむことができました。前回来たのは6年前ですが、そのときはふぶいていて何も見えなかったのだ。しかし、蔵王の温泉はやはりすごいPH2という強酸性で、肌がつるつるというかぬるぬる、たぶん皮膚が溶けているのでしょう。温泉の注意書きには、アクセサリーは外さないと真っ黒に酸化してしまうとか、入浴後はシャワーで流さないとシャツがぼろぼろになるとか書いてあるのだ。
それでも気持ちいいので毎日3-4回は入りました。夜な夜な宴会となり同年代の友達やご高名な先生方とお会いでき色々と情報交換して今回も顔を売ってきました。