あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

多発性動脈瘤

2012-09-24 19:18:16 | Weblog
夏休み明け一発目は、多発性の動脈瘤でした。
腹部50mm、左総腸骨70mm、右内腸骨50mm、両側総大腿動脈40mm、左深大腿動脈30mmと怪物のような瘤である。
内腸骨動脈瘤が絡んだ手術で、造影CTではおそらくIMA再建のみで、内腸骨は閉じてもよさそうであるが、腸管虚血を経験したことがあるので、一応、4分枝再建の予定で挑みました。大腿動脈は両側ともにYグラフトで左はかなり末梢まで深大腿動脈瘤があるので大変そうで、腹腔内だけでも、ドつぼにはまると5-6時間となる可能性があったので、大腿動脈領域は後日、2期的にやる方針で今回はお腹の中だけ先にやっつけました。大腿動脈領域は血栓が飛ぶことがあっても、破裂はしにくいといわれています(破裂の報告あるけど)ので。
本日はさすがにロブスターをレンタルしてやりましたが、すばらしい、まさに助手いらず、前立ちと2人で、問題なく視野は取れました。15cm切開でやったので、腸管が暴れることなく、いつものごとくミクリッツガーゼで腹腔内に収納できたこともよかったのでしょう。
比較的、脂肪の少ない方でしたので、IMAや尿管などが透けてよく見えて、やりやすかったです。結果的に内腸骨は両方ともバックフローがなく再建なしで、外腸骨のみで済みました。
それでもやはり、いつもの通りとはいかず、200分ちょうどかかりました。これで、大腿動脈もやってたら、多分、倍の時間かかってたかね。
術後すぐに抜管できて、問題なさそうです。
大腿動脈は一度退院して、仕切り直しですかね。深大腿周囲はリンパ腺が発達していて、必ずと言っていいほどリンパろうになって、術後長くなるのが嫌なところだね。なにかいい方法はないものか。


帰りがけに狭心症が入院、CTではLMT90%の3枝病変とのことで、明日カテです。おそらく、今週か来週かバイパスになりそうです。でもICUが満室だったので、待てれば来週かな。


明日から休み

2012-09-16 11:21:33 | Weblog
明日から遅めの夏休みを取らせていただきます。
今週の3人は予定外でしたが、なんとか皆、点滴もドレーンもなくフリーとなって離床できているので、後は内科の先生にお願いして海外逃亡です。

一例目が4/20でしたので、こちらで手術開始してちょうど5か月となります。
心臓34件、血管12件があり、緊急や再手術含めMIVS,MICSまでやらせていただき、ついてきてくれる優秀なスタッフに感謝であります。
このまま年間100件ペースでいけるといいですが、まー、日々こなしていくのみ。
また、帰国したら頑張ります。

お休み突入

2012-09-14 12:50:43 | Weblog
昨日のMVP+CABG+MAZEも無事に終了、遮断時間は120分でかなりいいペースで、順調に来ていましたが、閉胸の時にLITA-LADをひっかけて、吻合部から出血させてしまい、一針かけましたが、ヒールが裂けて大穴空いているようで、縫い直した方が速いかなと思い、結局、スタビライザー出して、拍動下で再吻合です。しかし、不思議なもので、止めて縫うより拍動下で縫う方が、慣れているというかなんというか、止めていると、血管に張りがなくて、かえってやりにくい印象です。2日目まで抗血小板剤2種類飲んでたので、タダでさえ、止血に時間がかかったのに、再吻合でヘパリン追加したもんだから、また、どことなく出血が増えて、また止血をやり直して、結局、6時間になってしまい、ヘトヘトでありました。
夏休み前の最後の手術だと思い、最後の閉胸の時はもう、気持ちがどこかに飛んで行ってしまったのでしょう。最近、慣れてきたせいか、いろいろと気が緩んでしまい、いけません。周囲に助けられて、なんとか間一髪、大事には至りませんがひやひやすること連発です。
とりあえず、昨日の方は抜管もできていますし週末までに形を整えて、あとは内科の先生にお願いして、お休みに入らせていただこうと思っています。

あとひとつ

2012-09-13 06:14:01 | Weblog
昨日のLMTのUAPも無事終了です。午後からでしたので、終了したのは7時過ぎで、オペ室の皆さんには迷惑をかけました。無事目も覚めて、私が帰ろうかと思った頃、外科の緊急とやらで、9時過ぎにまた患者さんが入室されていました。ご苦労様であります。
本日も週末に生まれたステントリステで、CABG2本+MVP+MAZEです。安全に終わらせて、安心して夏休みに突入したいところであります。

んー、続く

2012-09-11 22:09:38 | Weblog
本日、準緊急のOPCAB4本、両側内胸と静脈で4時間半で終了、一息ついたら、カテ室からコールで、LMT90%でカテ先だけでST上昇、ということで、待っている理由はないので、明日やります。午前中は外来ですので、午後からとなりますが、なんとか指導の先生もつかまり、ホッとしております。
この一人で段取りつけていくのが、相手と話して直接、交渉となるので、つながりを持てて、それはそれで楽しいことでもありますが、忙しい時には、結構つらいことでもある。
まー、兎に角、手術を自由にやらせていただける、手術室を一つ自由に使えるというのは、一般的な総合病院などと比べれば、かなり恵まれたことであろう。手術室使えなかったら、まず、成り立たないので。
ということで、今週は結局、心臓3つ、血管1つとなり、立つ鳥、後を濁さないようにしないといけません。

んー夏休み

2012-09-10 21:19:51 | Weblog
夏枯れなんて言っていましたら、また、お休みの前に、、、・
来週は遅めの夏休みで、2年ぶりに海外へ、の予定です。
患者さん残しちゃ申し訳ないと思い、今週はVarixしか手術入れていませんでしたが、なんか先週末に、どどっときた。2日連続でUAPが生まれまして、お一方はOMIによるischemicMRもあって、今週はOPCAB3-4本とCABG+MVP+MAZEとなりました。
なぜかタイミングよく、指導の先生方がつかまり、ほんとに運がいいです。
きっちり決めて、心置きなく海外脱出と行きたいところです。ずっこけたら夏休み帳消しだし。

先日のMICSの方はまずまず順調、やはり何度見ても、傷が小さいって素晴らしい、しかも脇の下に隠れて、まったくわからず、これははやると思う。
今日3Dウェブカメラが届いたので、これから3D内視鏡をイメージしたトレーニングが可能となります。
楽しみです。


video assisted MICS-AVR

2012-09-07 20:18:05 | Weblog
本日、第一例目となります、腋窩8cmアプローチによる、内視鏡補助下でのMICS-AVR、やはり少し時間はかかりましたが、無事成功いたしました。
僧帽弁にに対するこの手の手術はデバイスの進化で、一部の方々がやられているかと思いますが、大動脈弁に関しては、おそらく世界はもちろんのこと日本でもほとんどやられていない手術かと思われます。

これから、症例を増やしていきたいです。


夏枯れ

2012-09-05 23:27:44 | Weblog
俗に言う夏枯れだと思いますが、このごろ手術の予定が開いています。なんとか、直前になり入り、週2件ペースではありますが。この時期、循環器内科自体の件数が減っていますので、私ども外科はおんぶにだっこ状態なので、流れに身を任すのみであります。

先々週に行った慢性解離の方は12日目にてようやく抜管に至りまして、とはいってもまだNPPV+ミニトラックという状態です。腸管も使えるようになりましたので経管栄養で全身状態を上向きにもっていきたいところであります。その後のAVR,CABG,AAAといった方々も、みな問題なく、退院が近そうであります。

ということで、暇な時こそ、ドライラボでのシュミレーションでステップアップです。
MICS練習用のシュミレーターに先日カメラをつけました。鏡視下のトレーニングと思っていますが、これまで正中切開の直視下ばかりで、内視鏡手術とは縁の遠かった私にとって、全く思ったところにセッシや持針器が持っていけず、なかなか慣れるのに大変です。これからは3Dの時代ですから、今度は3Dカメラに変えて、3Dカメラ補助の手術を想定して練習したほうがいいかなと思っています。
AVR-MICSの場合、基部が実際にどのような向きで見えるのかが、今一つイメージが付きません。いろいろな方の3DCT見てみると、かなり個人差があります。それにより肋間も3か4か変わってくるのでしょう。
カメラを入れていると、ほぼ真上から覗き込むようになるのかと思いますが、創部からはやはりやや斜め横からのイメージになるのとは思います。本番で手前側のNCCあたりが見えるのかどうか、やや不安であります。小さな切開から弁輪に糸をかけていく際に持針器の動きがかなり制限されますので、とりあえず、いろいろなパターンを想定して練習しています。