あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

西田幾太郎 南淵明宏

2006-02-26 12:11:03 | 目標、やること
昨日、医療ものの小説読んでたら、ラストのシーンで京都の哲学者、西田幾多郎の言葉が出てきた。「人は人 吾は吾なり とにかくに 吾が行く道を吾は行く也」と言うものであり感銘を受けたのである。
ようは周りに左右されず、自分の信じる道を行けということだろう。

ところで、先日、大和成和のホームページみていたら2006年度COMICの募集をしていた。もし今、行き先が決まってなかったら真っ先に応募するであろう。心臓外科を目指す諸君こんなおいしい話は他には無いぞ。しかし南淵先生は、けっこう曲者だが味方につければ怖いものなしだろう。
僕も今の自分があるのは南淵先生が道先を案内してくれたからであり、結局あの時は、甘く考えていた僕は突き放され、人間不信になり路頭に迷いそうになったが、開き直ってみれば、捨てる神あれば拾う神あり、今のボスに救ってもらった。西田幾多郎の言葉を聴いたとたん、南淵先生を思い出したのである。南淵先生もきっと同じことを言うと思う。いろいろ言う人もいるが、僕は基本的には南淵先生にあこがれてアウトローの世界に入ったわけで、目指している境地は一緒だと信じてる(勝手にね)。だからいつかは南淵先生と同じ土俵にのって、あの時僕を突き放したこと、雇わなかったことを後悔させてやろうと(今となっては憎んじゃいない、感謝している)、またその時が来たら何らかの形で一緒に仕事をしたいと、理想の心臓外科ギルドを作りたいと思っており、そのために今をがんばるしかない。

言葉には力があるのか

2006-02-24 17:17:17 | 目標、やること
この病院での残りの数ヶ月をどう過ごすか、決めることにする。
自分のなかで思っていても、思っているだけでは前に進まない。声に出して、文字で書いてこそ、思いは現実になると思う。
2年間の目標で完全に達成できていないものがいくつかある。
1、開心術の前立ち 目標200例 ⇒30例ぐらい   
2、内胸動脈の採取 目標30本 ⇒豚で4本、人間0本
3、pump-on  目標30例 ⇒25例ぐらい
4、AAAの術者  目標30例 ⇒5例
5、臨床論文 年2個 目標2年で4つ ⇒もうすぐ1つ出来上がりそう
9、英会話 目標 日常会話レベル ⇒まだまだ旅行レベル 
 
先日、残りの期間、術者よりも前立ちをひたすらやらせてほしいとボスに言った。
ついでに、今後はAAAのオペを上の先生抜きで、下々のみでやらせてくれるように頼んだ、やはり上に頼らず自分の力だけでやれるようにならないと、本当にはマスターできないと思うし、僕の一つ上の上司を押し上げてAAAをマスターしてもらわないと、とても自分には番が回ってきそうに無いので、、、。
あとは、今度、内胸動脈をとらせてもらうように頼むことにした、これまで何十本、何百本?と見てきてはいるし、樋上先生のDVDも何度となくみた、豚で何本か取った。
いちおう、いつ取ってみろと言われても取れる準備はできているが、なかなか、上のものが譲ってくれそうに無いので、これも近いうちにボスにリクエストする予定。


消防庁消防長殿

2006-02-23 23:03:04 | 学会活動
先ほど、消防庁に情報提供の依頼書を書いた。最近、いわゆる気候病とか気象病といわれる病気(喘息とか、腰痛とか、いろいろあるが)のリサーチに関心を持ち、ある疾患についてちょと調べているが、当院だけでは症例数が限られているので、この市のデータを解析しようと思い、先日患者の転送の際に一緒に同乗していた救急隊のSさんに頼んで救急要請の記録を閲覧させてもらえないかとお願いしていたところ、先日返事が来て、とりあえず消防長に依頼書を書いてくださいとのこと。無事受領されデータをいただけると良いのだが、最近は個人情報うんたらかんたらで、なかなか簡単にはいかないかもしれない。
ちょっと臨床とは離れたいわゆる疫学、公衆衛生に近いかもしれない。
公衆衛生といえば、大学の時、夏休みに公衆衛生の自由研究と言うのがあって、いくつかお題が決まっていて、僕らはせっかくだから一番遠くに行こうといって、青森県の一戸に水質調査と言うのを選んだ。先生同伴で2泊3日で、そこではいまだ上水道も下水道もなくみんな井戸水で生活しており、ウンコは垂れ流しと言う村?、いや町だったかもしれないが、、、。とにかく村長?町長?とかも出てきて流しそうめん、ジンギスカンなどの接待を受けた記憶がある。
水質調査の結果はどうだったか今となっては覚えていないが、いい思い出だった。

オペ室看護部リーダー再び倒れる。

2006-02-23 16:19:39 | Weblog
先週のブログで手術制限されていて、暇だとか言ってたら、甘かった。
週明けにオペ室リーダーが再び病に倒れ一週間休養を取るとのこと。
もともと2人なので、これでオペ室の看護婦さん1人になってまった。
まあ、手術も1日1件で少ないので、みんなで交代で機械出ししたりすることとなったが、こんなときに限って緊急はやってくる。
火曜日に予定手術のあと、マルファンの上行解離をやってたら、VSP来ちゃって、さらに腹の破裂まで登場、VSPはIABP入れて何とかオペまでもたせたが、破裂はやばそうなので、今回はお断りして他の施設へ送っていただいた。

そんなこんなで今週は解離の止血閉胸とVSPと機械出し係でした。
オペ室の掃除機やモップがけなどの後片付けから、次の手術の準備とか機械の滅菌とかもみんなでやらなくてはいけない。しかも今日なんかは物品が品切れのものばかりでバタバタであり、しまいにはオートクレーブの機械はぶっ壊れるし、ほんとにリーダーさんの偉大さを感じた。
もっといたわらなければいけません。
リーダーさんのありがたみをあらためて自覚する良い機会になったかもしれない。
上層部の方々もこれで少しオペ室のことを考えて人員増やしたりしてくれるといいんだが、、、、。

そんでもって、今週はあれ以来、走ってねー、ていうか全身筋肉痛であります。

駅伝部、ひさしぶりに集合

2006-02-19 23:34:23 | マラソン、駅伝部
今日は久しぶりに10kmぐらい走った。それと言うのもちょうど一ヵ月後の3月18日に駅伝出でるからだ。多摩川リバーサイド駅伝と言うやつで、第一回開催のときから参加している、確かあの時は、東邦心臓救急隊と言うチーム名で出場し、女はナース姿で、男はオペガウンで走ってなんと仮装賞をもらいました。今回で5回目ぐらいになりますでしょうか、昨年は参加できなかったけど、今年は行きます。
3,5,10kmとあるけど、どこに当てられるかはまだ未定。さすがに10kmは無理ですよ。おい、大会幹事読んでるか、10kmは辞めてよ。
メンバーはだいたい大学病院の医者とナース、多いときは3チームぐらい参加したけど、だんだんみんな大学辞めたり(俺がそうか)、結婚したり(医局長、お前のことだ)妊娠したり(Mちゃん、あんただよ)、年だったり?(これはTさん←うそです)で年々、参加者が減っていると思われる。
最初の3年ぐらいは、多摩川、荒川、昭和記念公園と年に三回駅伝に参加していた。あと、夏には長崎の五島列島で夕焼けマラソンと言う、くそ暑い中せめても夕方涼しくなって走るマラソン(しかもハーフ)に何度か参加した。極めつけはホノルルだが。

まー、よい機会である。外科医は何がなくても体力勝負、また次の施設に移るまで、体を鍛えることを目標の一つにすることにした。
これから、できるだけ毎朝走ります、手術も少ないし、、、、ね。

オペ室看護部リーダーぶちきれる

2006-02-19 15:32:35 | Weblog
前回、オペ室のリーダーが倒れ僕が直介をやった話をしたが、週明け病を乗り越え出勤したリーダーがそれを知りぶちきれた。手術部2人でいつもギリギリでやっている中、1人が倒れれば当然、手術は進行しなくなる。そういった場合、そもそもオペ室に人員を増員してくれない看護部が責任もって、病棟なりカテ室なりからオペ室経験者をヘルプに出すのが常識?、それをどうにもなら無いから医者にやらせるなんてもってのほかというのが、彼の考えである。彼の言うことはもっともである、なぜなら、逆に手術が一件で5時前に終わった日などは、必ずと言っていいほど毎回、病棟かカテ室に手伝いにもってかれてしまう。

昨日、彼とジンギスカンを食いに行ったが、完全にぶちきれて、手がつけられない状態であった。ここへ来て8年、開院当初は病院を何とか軌道に乗せることにみんなで一致団結してがんばってきたが、ある程度軌道に乗った頃には中身はガタガタ、みんなその場しのぎで、手術部のことを考えてくれる人もおらず、部下ももらえず、50才を超えた現在も、24時間365日呼び出し体制でこの8年間、家族旅行も行けず、ナイター見に行っても、いつ呼び出されるか携帯の着信を常に見ながらで、試合なんか楽しめたもんじゃないと言っていた。一言、報われないといっていた、何のためにがんばってきたのか、と。
このまま部下ももらえないようなら、残念ながら後任を育てることもなく彼は去っていくだろう。

看護婦さんっていうのは、医者と違って少なくとも、勤務が終わったらあとは次の勤務までは自由、そして休みだけはしっかり保障されていると思っていたが、ここの手術部は医者並みもしくはそれ以上かもしれない、その上、誰もそれを評価してくれるものがおらず、何の見返りもなく部下ももらえずである。

院長は裸の王様、看護部長はその犬、事務長はやり手だが、金儲けと病院を大きくすることと対外的な面しか見ておらず、院内のことは副事務長にまかせっきりで状況は何もわかっていない。客観的にみて今の状況はかなりまずい、めっきがはがれたら、一気に崩れると思う。
外科チームだけはそんな危機的な状況から関係ないと思っていたが、大間違いで、最近、その危機が及んできたようだ。
ここのところ、いろいろな事情から、手術は一日一件までと制限されている。
すこしのんびりはできるが、ちょっと悲しい。
今のうちに、1.遊びまくる、2.論文を書く、3.体を鍛える、以上

直介NS、久しぶりの登板

2006-02-11 01:14:09 | 術者、勉強になった症例
今日はRE-OPEのMVR+TAP+MAZE+左房縫縮術の一例であったが、オペ室ナースのリーダーが風邪でたおれたため、久しぶりに僕が直介で機械出しすることとなった。うちのオペ室NSは基本的に2人しかおらず、一日1例でも2例でも3例でも、そこに緊急が入っても、土日でも関係なく、機械出しと外回りを交代でやっている、1人はもう今年で51歳になる。これで年間300ちかくの症例をこなしている。はっきり言って倒れて当然、朝病院いったら婦長から、申し訳ありませんが今日のオペ室NSは1人ですとのこと、補充する人もおらず、、、。
以前から再三、人員の増員と手術室への補充を訴えてきているが、全く聞く耳持たず、看護部は何を考えているのか。
先週ももう1人のオペ室NSが風邪でダウンして、その時の婦長の言った言葉が、自己管理ができていないと、、、さすがに、あんた、それは労働基準法を守っている雇用者の言うことでしょ、と思った。
睡眠時間もろくになく、自己管理もへったくれも無いかと同情する。

まー、おかげで今日は直介をやり、いろいろと勉強になった。
常に次のことを考えて行動していかないといけないので、手術の手順がすべて頭に入って無いと、出来ない仕事である。
ただ、うちの手術の手順は非常にシンプルにルーチン化されており、やることはほぼ決まっているので、術者と機械出しの間には特別なことが無い限り、言葉は必要ない、楽しくできた。
術者とあ、うんの呼吸で、手を差し伸べただけで、求めているものをさっと手の中に渡すのは、ある意味、快感であり自己満足の世界である。

これが外回りとなると、大変である、術中の麻酔管理から看護記録、麻酔記録、直介に機械を渡したりもらったり、電話の対応、次の手術の準備、その他もろもろ、オペ室のすべてのことを1人でこなさなければならないので、こっちはなかなか簡単にはできない。だからNSが1人しか居ない日はだいたい誰かが直介をやることになる。

しかし、ほんとこの病院はある意味でいろんな経験をできるなーとあらためて思った。

手術は無事終わり、事なきを得た。次はやるならCABGの直介をやりたいな。

話は進み始めました。

2006-02-04 20:32:47 | 目標、やること
昨日、次の就職先から書類受領のメールが入った。これでいちおう内定したようなもんだと思う。
今日、オペのあと早速、ボスにその旨を報告した。
残りの数ヶ月、集中的に鍛えてやるとのこと、望むところである。
術者はいいので、助手をもっとやらしてくれと言っておいた。
あとは、何とかIMAを取らしてもらいたい。

とにかく、思ったより話はスムーズに進みよかった、第一志望合格って感じです。
あとは残りのここでの数ヶ月を大切にしたい。

不可逆的変化

2006-02-02 22:09:24 | 術者、勉強になった症例
昨日AAAのオペで、末梢がガチガチで何とか吻合してきたが、術後左足の血流悪くfogartyやってみたところ、中枢側に血栓認め、どうも総腸骨の吻合部付近から流れが悪いようで取りえず、その後、足の色よくなり脈が触れるまで血流改善したものの、夜間再び、血流悪くなり、左下肢の神経障害生じており、結局FFbypassとなった。しかしやや時期遅く、その後、血流は改善されているものの、下肢の運動麻痺、筋の硬直・壊死が起こりカリウムとCKがドカーンと上がりMNMSになりかけた。もう少し遅ければ、下肢切断である、そこまではいかなかったが今回も一歩手前。たぶんかなりの機能障害が残ると予想される。
神経は虚血発症から4時間ぐらいより、筋肉は6時間ぐらいより不可逆的な変化を生じるとされている。まずは知覚障害、次に運動麻痺となり筋肉の硬直・拘縮がおきてしまいに、水泡など皮膚症状が起きてくるらしい。知覚障害、運動麻痺が組織の虚血の進行を判断する良い指標と言われており、知覚が残っていれば、まだ組織のviabilityが残っていると考えられる。
以前にも1人同じような状況で下肢の麻痺が残った人がいた。もしAAAで下肢の血行不良を疑ったら迷わず血行再建するべきだと実感し反省した。
なんていってもAAAで足一本なくなるのは、ちと重たすぎる。

今日は一例目CABGだったが、麻酔の最中に突然アレストとなり自然と戻ってきた。もともとPAFで入室時はAFだったのだが麻酔中に頻脈になり血圧下がり、そうこうしているうちに、いきなり伸びて、止まって今度、同調律になって復活した。あたかもアデホスとか打ってDCかけたみたいな波形であった。
あとでボスに聞くと、PAFから自然にサイナスになる時はみんなこうなるんだよと、、、。そうですか、はじめて見てしまった。

二例目はペースメーカーリードの感染で、何しても膿が出続けるので心肺下で右房開けてリード抜去することになったが、びっくりしたのは無名静脈内がつまっていて膿が噴いてきた。こんなことってあるのね、これでは外から何しても膿が止まるわけねー。
明日は成人のPDAとまたもや縦隔洞炎のデブリ&大胸筋フラップです。
ちなみに昨日の夜、AAEの切迫破裂が来た、9cmもあって心臓の上にもう一個心臓が乗っかっているように見える。
土曜日にやることになったが、たぶん開けた瞬間に破裂すると思うのでFFで超低体温循環停止で開ける予定。しかしそれまで破裂せずに持つかどうか。破裂したらまず間に合わないか。