あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

4cmの壁

2022-12-15 19:31:00 | 術者、勉強になった症例
どんどんと寒くなってきて、朝は氷点下が当たり前になってきました。
寒くなるほど空気は澄んで山は綺麗になっていくのである。
冬山に魅せられる人の気持ちはわからなくないが、自分ではもう絶対行かないかな。

完全鏡視下にしてから、AVRの傷をどんどん小さくして行き、本日は4cmまで縮めてみしたが、この辺りが限界でしょうか。
セッティングも色々と試行錯誤しましたが、おおよそ決まってきました。
4cmまでくると、生体弁のサイザーや、弁そのものがギリギリで、ちょっと頑張らないと肋間を通過しません。機械弁ならあと0.5cm縮められそうですが、もう自己満足の世界でしょう。
今日の方は上行からバルサルバ、STJと板状の石灰化が散在しているタイプで、硬いために視野が取れずに苦労しました。
結局、STJが広がらないのでサイザーすら落ちず、板状石灰化を内膜摘除することに。
最初から石灰化取ってれば色々楽にできたと思いますが、下手こいたら基部置換になってしまうのでね。
MACもあって、弁輪と弁下の石灰化除去も時間をかけてやりました。

完全右脚ブロックと左脚前枝ブロックもあってのAVRでしたので、スーチャーレスは禁忌。
念のためAとVとリードを入れましたが、自己脈復帰して、術後は1時間見て抜管も出来てますので、ホッとしてます。

なんだかんだで慎重になり、5時間かかりましたが、トラブルなく終わるのが1番ですので。
STJや弁下の石灰化が多い症例はできなくはないですが、完全鏡視下の適応としてはまだまだグレーかもしれません。

明日は久しぶりに古巣の豊橋に行ってきます。


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