2009年9月2日(水曜日)
選挙がらみのおもしろい話を聞いた。
3区の自民党候補の高木を応援したのは、高木が衆院選に落ちたら
敦賀市長戦に出馬するという話があったからだという。
高木が市長になっては、困るのでなんとしても衆院選で勝ってもらわにゃ・・・
というのである。
高木が市長になったら、今以上に敦賀のまちは悪くなると本気で
思ったから・・・なんだそうな・・・
敦賀市の場合、比例では民主票が自民を大きく上回っていた。
なのに、小選挙区では自民が圧勝という結果。
それを裏付けるような市民の行動もなんとなく納得できそうなお話だ。
しかも5期をめざす現市長が必死に高木候補を応援する姿とあいまって
噂は、より一層現実味をおびる。
そっかぁ・・・おたがい利潤が一致したってわけか・・・
民主の候補、もうちょっとイケメンで10歳若かったら、入れたのになぁ
という地元・敦賀のおばあちゃんたちの生の声も聞いた。
それに、敦賀には根強い嶺北蔑視の風潮もある。
今回の民主の候補者はなんといっても嶺北出身者だというのが
大きなネックだったのかもしれない。
なんといっても律儀に投票に行く50代以上の世代の話ではあるが・・・
20~30代ではやはり、マニフェストを見比べたという声が多かった。
まだ世代別の投票率の数字がでていないので、はっきりとは言えないが
若い世代の政治・選挙離れの流れをも変えた衆院選だったのではないだろうか。
こちらは福井県選管発表の3区の開票速報と比例区の開票速報。
各市町を見比べてみるとけっこう、おもしろい。
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/senkan/45shuugisen/kaihyosokuho_d/fil/002.pdf
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/senkan/45shuugisen/kaihyosokuho_d/fil/004.pdf
今回の選挙を振り返っての記者座談会は毎日と読売の記事をアップ。
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20090902ddlk18010674000c.html
2009衆院選:選挙戦を振り返り記者座談会
「保守王国」牙城崩れず /福井
◇全国的民主へ追い風の中
◇戦後最多、7人の議員が誕生
先月30日の衆院選で、県内の小選挙区は自民が3議席を独占した。
敗れた民主の3人も比例代表で復活当選し、
さらに民主は比例単独でも1人を当選させた。
全国的に民主への強烈な追い風が吹いた中、「保守王国」の牙城は崩れず、
一方で戦後最多の7人の議員が誕生した。激しかった選挙戦を記者たちが振り返った。
--自民3議席独占の結果をどう見るか。
A まったく意外だった。
結果を見て、連合福井の幹部が「負ける要素が見当たらなかった。
民主中心政権になるのに、福井はどうなっているんだ」と
ぼうぜんとたたずんでいたのが印象的だった。
B 3区の場合、高木さんは前回衆院選で民主党候補に3万3000票差を
つけたが、今回は6500票差に迫られた。
しかし松宮さんの地盤である越前市を除く全市町で競り勝ち、
高木さんの地力を見た。
C 結果を見る限り、選挙区の隅々まで民主は浸透しておらず、
保守地盤は相当に強固だと感じた。
民主中心の政権が実績を上げることで有権者の意識がどう変わるか、
次回選挙で注目したい。
--選挙戦を取材して特に印象に残ったことは。
D 1区の稲田さんは人通りが多いJR福井駅東口のアオッサ前で
「アオッサで、あおっさ(会おうよ)」と題した演説会を連日開いた。
有権者にとっては、候補者を「定点観測」できる場になったし、
無党派層の取り込みにも一役買ったと思う。
アオッサ前で稲田さんと国民新党の街頭演説の時間が重なったことがあった。
稲田さんを支援する自民県議が、国民新党の支持者を脇目に
「前回選では一緒に戦った方々も多いわけですが」と
あいさつしたのが印象的だった。
前回選では、1区の自民県議の大半は郵政民営化に反対した松宮さんを支援。
県内の「政界変遷」を見せつけられたようだった。
E 2区の山本さんは「どぶ板選挙」が功を奏した。
選挙カーからこまめに降りて握手を求め、支援者の前で土下座するなど、
なりふり構わぬ必死の姿だった。
対する糸川さんの自転車から呼びかけるスタイルは若さを鮮やかに印象付けた。
2人の有権者へのアピール度は高かっただろう。
B 3区の高木さんは「唯一の嶺南出身」を前面に出し、
1区から国替えしてきた松宮さんとの差別化を図ったのが印象的だった。
嶺南で開いた集会では「嶺南の国会議員がゼロになれば、
嶺南の声が国政に届かない」と繰り返し訴えた。
一方で、嶺北の越前市では「新幹線を望むなら自民党」、
越前町や旧越廼村などの郡部では「農業、漁業振興」と、
地域性を考えて訴えていたのも特徴だ。
A 笹木陣営は投票率を最も気にしていた。
73%を超えれば勝てると考え、投票を呼びかける電話作戦も
これまで以上に力を入れていた。
実際は72%弱で、前回よりは上がったが。
C 3区の首長は全員が程度の差はあれ高木さん寄りの姿勢を示していた。
今後与党議員として活動する松宮さんは、それを踏まえた対応を明言している。
首長と議員に距離があるのは双方にとって利益にならず、
今後の雪解けに期待したい。
--各党がマニフェストを打ち出したが、有権者の意識はどうだったか。
B 自民支持者からは、マニフェストの中身の是非よりも、
「農業個別所得補償」や「子ども手当」といった民主の看板政策に対して
「ばらまきだ」とする批判の方が強かったと感じる。
また「民主党政権になれば日教組支配が進む」など、
ネガティブキャンペーンとも取れる批判も多かった。
D 自民県議の中には「総選挙には大きな争点の柱が4、5個あればいい。
100項目もあるマニフェストには反対だ」と演説で公言した人もいた。
また、稲田陣営の幹部の話では、街頭演説会場でマニフェストを配っていても、
有権者に受け取りを拒否されることが少なからずあったという。
こんなことは過去にはほとんどなかったそうで、
自民への逆風を実感したようだ。
--今回の結果は、今後の県内政界にどう影響するだろうか。
D 来夏の参院選には、自民県連会長の山崎正昭さんが出馬することになるが、
関係者からは先行きを不安視する声が多く聞かれる。
E これまで「固い保守地盤」と言われたが、
自民党離れは確実に進んだと言っていい。
各地区で自民、民主の票は接近した。
自民党への批判を各地で耳にした。
民主党政権が期待に応えられるのか、自民の巻き返しがあるのか。
次の参院選が試金石となるだろう。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20090901-OYT8T01172.htm
衆院選 2009 福井 県民変化嫌い自民勝利 記者座談会
全国的な民主圧勝の中で、県内の3小選挙区は自民が独占するという
“ねじれ現象”を生んだ衆院選。
12日間の“真夏の決戦”を担当記者に振り返ってもらった。
A 全国の傾向とは逆の選挙結果。
福井では地縁・血縁の選挙がまだまだ強い。
自民が終盤で組織を引き締め、地力で上回った印象だ。
特に農村部では、長く「自民」と書いてきた層の投票行動は変わらなかった。
B 読売新聞社と日本テレビ系列局が実施した出口調査でも、
60歳以上の過半数が、県内すべての選挙区で「自民候補に投票した」と回答。
大きな変化を嫌う県民性に加え、“草の根自民主義”すら感じた。
C 3区では「嶺北対嶺南」「市部対郡部」という従来通りの構図に。
民主は、本拠地とした越前市以外の市町で票が伸びなかった。
B だが、強烈な追い風があっても、県内で民主は勝てなかった。
致命的な弱さを露呈したのではないか。
D 選挙区での敗退について、民主の新議員は
「まだ県民のすそ野まで踏み込めていない。
国会に戻っても話題に上るはず。恥ずかしい」と自嘲(じちょう)していた。
それでも、これまでの労組を中心とした動員以外の広がりは感じられた。
E 結局、民主も全員が復活当選を果たした。
「(対立候補を応援した)市町長からの陳情は受けない」などと
発言する新議員もおり、しこりは残りそうだ。
C 気がかりなのは、原子力政策への影響。
原発関連交付金の財源となっているエネルギー対策特別会計の扱い、
そして高速増殖炉「もんじゅ」の研究開発の位置付けはどうなるのか。
B 民主も、北陸新幹線や道路整備などの課題について
積極的に取り組むと明言している。
自民と民主で主張の差はそれほど感じなかったが、
今後の動向は注視していく必要がある。
A 比例復活を含め、小選挙区で立った9人中6人が議席を得た。
投票した人の96%が当選者に票を投じたことになる。
現行制度の問題点と言えないか。
C 政権公約(マニフェスト)が注目された。
若い母親がベビーカーを押す手を止めて、
食い入るように読んでいたのが印象的だった。
政権選択、政策選択という点で、有権者の関心は高かった。
(2009年9月2日 読売新聞)