金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【将棋】 西山朋佳三段の「プロ棋士」挑戦の歴史的な意義

2020-03-10 07:22:59 | 将棋

 今期の西山朋佳三段の奨励会成績は14勝4敗の3位。同率だった1位2位の服部三段と谷合三段との差は、前期の順位差でしたので、本当に惜しい結果でした。将棋のプロ棋士になれる条件は、この三段リーグ戦で、満26歳になる前に、上位2名に入ること。あの天才藤井聡太七段ですら、4段昇段を決めるリーグ戦では、13勝5敗とギリギリの成績でした。

 全世界を巡って調べてみても、男女が同じ土俵で勝負を行っているフィールドを私は知りません。おそらく、日本の将棋の世界と馬術競技の世界ぐらいではないでしょうか。よく、ものが判っていない人は、「筋力とか関係のない世界なので、将棋の世界は男女でハンデを設けていないのは当然」と、したり顔で話します。

 しかし、マイノリティにはマイノリティにしか判らない、大きなハンデキャップが存在します。例えば、訓練の場で一緒に切磋琢磨する仲間の存在や、仲間間での情報のネットワーク、あるいは連日深夜におよぶ勝負日程や移動に関する環境の違いなど、であります。西山三段は、ただ一人のマイノリティとして、「さまざまなハンデキャップ」を背負いながら、この三段リーグで闘っているのです。マジョリティは、自ら意識しないうちに多くのハンデをもらって戦うことができていることが認識できていません。その認識がない企業経営者や組織のリーダーがいかに多いことか。

 人類が数百万年の間、まったく無意識に築いてきた「高くて厚い壁」を、まったくハンデを貰っていない一人の女性が、今、ぶち壊す寸前まで来ています。この歴史的な意義はもっと注目されるべきだと思います。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする