自分の専門分野は、資産運用と企業年金なのですが、年金分野の最大のテーマは「日本人の出生率」です。出走率とは一人の女性が一生の間に産む子供の数のこと。現在の出生率は1.4を少し超えたくらいで停滞中、政府による諸施策をもってしても、なかなか上昇トレンドに入っていきません。
実は、首都圏と地方圏で、この出生率は大きな差が出来ています。首都圏は1.1程度。逆に主な地方都市では2.0を超えている場所も少なくありません。すなわち、首都圏地区では、夫婦共働きで、しかも女性のキャリアを守るためには、二人目以降の子供を諦めざるをえない‥ほど、競争が厳しすぎるということ。
逆に地方都市では、専業主婦がまだ一般的であったり、また夫婦共働きであっても、二人以上の子供を育てながら、キャリアを積んでいくことも可能、すなわち、爺ちゃん婆ちゃんのサポート付きが当たり前であるということ。
今回のコロナ騒動で、まだ暫くの間、在宅勤務が続くとすると、①首都圏地区でも共働き夫婦が一緒に過ごす時間が増える⇒すなわち、妊婦が増える、②リモートワークが一気に進むため、故郷=出身地に戻って勤務を続ける共働き夫婦が激増する⇒すなわち、爺ちゃん婆ちゃんのサポートが受けやすくなる、という2点から、出生率が劇的にアップするかもしれません。
在宅勤務やリモートワークがこれだけ広がってくると、社内での多くの打ち合わせが如何に無駄であったかを思い知ることになります。むしろ、遠くに居ながら、仕事をシェアすることで、かえって、相談する時間、作業する時間、出勤に要する時間、そして家族と過ごす時間が、それぞれ、どれだけ貴重なものであったかを再認識しているはず。
日本で首都圏集中が解消されない最大の理由は、古い慣習に拘る組織上層部への忖度が主因だと思います。今回の騒動で、そんなものを吹き飛ばして、アメリカ並みの拠点分散化が進むとしたら、それはそれで、非常に意味のある副産物になると思います。