読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡邉恒雄氏が19日未明に逝去されました。98歳でした。プロ野球・巨人のオーナー、株式会社読売ジャイアンツ取締役最高顧問なども歴任、日本球界の発展にも寄与された方でした。
ワタクシ個人としては、渡邉恒雄氏とは直接の面識はありませんが、喪主のご子息は、勤めていた会社の先輩であり懇意にして頂いていたので、彼の心中だけが気がかりであります。暫くして落ち着いたところで、内輪だけのお悔やみ会でも設営して差し上げたいと考えております。
一方で、ワタクシ個人が興味あることは、このような「強いリーダー」、もっと言えば「強烈なリーダー」の下で発展してきた組織(=読売新聞グループ)および伝統的マスコミ業界が、強いリーダーを失ったあと、どういう行く末になっていくのか・・という点。
織田信長が亡くなったあとの織田家、武田信玄が亡くなったあとの武田家を例に出すまでもなく、不世出のリーダーが消えたあとの組織は、歴史的に見てほぼ例外なく、大きなピンチを迎えることになります。
もちろん、大組織であればあるほど、優秀なスタッフが揃っていますし、また簡単には揺るがない営業基盤や財務基盤が残されている訳でありますが、「強いリーダー」が長く君臨すればするほど、その「強いリーダー」の庇護の下で、当たり前だと思っていた組織の強さが、実は「強いリーダー」に依存していた強さであったことが、あとで判明するもの。それに気づいた時には、もう組織の崩壊が始まるのが歴史の常であります。
伝統的なマスコミ業界の中で、いまや読売新聞グループは最強の地位に君臨する組織となっていますが、業界そのものがSNSに代表される新たな情報媒体に押し込まれている状況下、ここで「強烈なリーダー」を失ったことで、ようやく「現状のヤバさ」が表面化してくるはず。しかも、その事態を強く打ち返せるようなカリスマはもう存在しない。
組織盛衰の歴史的な転換点というのは、得てしてこのような「強いリーダー」の存在が消えた時であるもの。
今後の読売新聞グループおよび伝統的マスコミ業界の行く末を、強い関心を持って見守っていきたいと思います。