ここへ来て、ヨーロッパとアメリカのパンデミックが本格化してしまいました。感染ルートを探る行為が無意味になるほど感染スピードが加速した結果、「外出禁止令」を発動せざるを得ず、ピークが過ぎるのをジッと待つしかない状況。しかし、イタリアの例を持ち出すまでもなく、あのアメリカ合衆国でさえ、オーバーシュートした感染者の数に対して、医療体制には限界があるため、これから重篤化する感染者の方々の中には、ちゃんとした治療を受けられない方が数多く出てくることになります。極めて悲惨な状況と言えます。
ところで、直近のネット記事によると、日本の感染者・死亡者の数が極端に少ないことに対する分析が欧米で始まっているとのこと。でもデータをよく見ると、実は日本だけでなく、韓国や台湾、また武漢を除く中国についても、感染者・死亡者の伸びのスピードが、欧米に比べて極端に安定していることが判ります。(外務省のHPをご参照)
私が直感的に思うのは、日本や韓国は、「中国に近かったこと」がむしろ幸運だったのではないかと。すなわち、武漢で最初の感染者が報道されたのが12月。その後、年明けから武漢で感染者が増加しているらしいとの噂が広がり、2月の春節の開始前から、日本や韓国では、手洗いや消毒、またはうがいの習慣を確認し合うことを始めていました。
その後、突然の武漢閉鎖や、ダイヤモンド・プリンセス号の事件があったことで、欧米諸国は、中国・日本・韓国・台湾を一括りで危険地域に指定して、実質的な入出国制限をかけてきました。すなわち、この段階で、アジア諸国は欧米諸国からの人間の出入りが極端に減りました。でも、今思えば、まさにこのタイミングで、ヨーロッパーやアメリカの各地域では、無症状の感染者たちが、何の緊張感もなく街を闊歩している状況だった訳です。
日本や韓国は、中国に近かったおかげで、欧米よりも、「いち早く緊張感を持った対応ができたこと」、そして、欧米内で最も感染が広がる時期を前に、「欧米人の入国があらかじめ避けられる状況だったこと」。この2つの幸運が、アジアの現状を導いた要因だったのではないでしょうか。
とか言っていたら、昨夜、東京都の小池知事から「週末の外出自粛要請」が出されました。ここから日本でも、首都圏を中心にオーバーシュートが発生する可能性はありますので、油断は禁物です。緊張感を維持する努力、このことは、引続き大切であると胆に銘じておかなけれななりませんね。