カッサンドラとカッサンドル
カッサンドル展 ポスター 八王子市夢美術館より
グラフィックデザイナー 「カッサンドル」として知られる彼の名前、実はペンネームだということをご存知ですか?
彼の本名は「アドルフ・ジャン=マリー・ムーロン」といいます。
ウクライナの裕福な家庭の5人兄弟の末っ子として、1901年に生まれた彼の愛称はドーラ。
ドーラ少年は兄弟たちと共にパリで学校教育を受け、休暇になるとウクライナに戻り家族の住む大邸宅ですごしていましたが、
1917年にロシア革命が勃発すると一家は二度とウクライナには戻らずパリに定住することになりました。
やがてドーラは画家の道を志し、リシュアン・シモンのアトリエやアカデミー・ジュリアンで絵画を学びました。
彼がまだアカデミー・ジュリアンに在籍していた頃、タイヤ製造会社ミシュランが主催したポスター・コンクールで第3位に入賞し、
それをきっかけにポスター作家としての活動をはじめる事となりました
彼の父はドーラが経済的な心配をせず画家として活動出来るよう準備していましたが、
ドーラはそれを潔しとせずポスター作家として経済的な自立をはかり、
やがては十分な技術と知性の成熟をもって本来の絵画制作にたどり着く日を夢見ていました。
ペンネームで活動すると決めたのは、本名で画家として活動する可能性の余地を残していたのでしょう
このカッサンドルという名前は、ギリシャ神話の女神 予言者カッサンドラに由来します。
トロイアの王女カッサンドラは大変美しく太陽神アポロンの求愛を受け、贈り物として未来を予知する力を与えられましたが、
予言の力を授かった瞬間アポロンの愛がさめ自分からはなれていく未来が見えてしまい、彼を拒絶してしまいました。
怒ったアポロンはカッサンドラの予言を誰も信じない呪いをかけるのです
悲劇的な結末が現実になるのをを阻止しようとカッサンドラは必死に警告するも信じてもらえず、
自分の辛い未来まで見えていながら、どうする事もできないまま散った悲劇の予言者カッサンドラ。
ドーラはなぜ、カッサンドルと名乗ったのでしょうか。
ポスター作家として活動することは彼にとって正しい選択であっても、
もしかしたら周りの画家たちはポスター作家に批判的で彼もカッサンドラと同じような孤独を感じていたのかもしれません。
また、時代の最先端を走り、グラフィックデザイン界に革命をもたらす天才のゆえの苦悩があったのかもしれませんね…。
みなさんはどう思われますか?
カッサンドルの展覧会は、八王子市夢美術館にて開催中です
八王子市夢美術館
〒192-0071
東京都八王子市八日町8−1 ビュータワー八王子2F
■会期
2017年4月7日(金)〜6月25日(日)
■開館時間
10:00〜19:00 (入館は閉館30分前まで)
■休館日
月曜日
■観覧料
一般700(560)円、学生[小学生以上]・60歳以上350(280)円 ( )内は15名以上の団体
未就学児無料 土曜日と5月5日 小・中学生無料
■アクセス
JR線「JR八王子駅」下車北口より徒歩15分
京王線「京王八王子駅」下車 徒歩18分
駅よりバスでご来館のお客様は、バス停「八日町一丁目」で下車して下さい。
高尾・陣馬方面よりご来館のお客様は、バス停「八日町四丁目」で下車して下さい。
JR八王子駅北口からは⑥〜⑩番乗り場、京王八王子駅からは②③番乗り場をご利用下さい。
車でご来館のお客様は、地下駐車場「八日町夢街道パーキング(有料・割引あり)」が最寄りです
展覧会内容の詳細は下記URLをご覧下さい
http://www.yumebi.com