今年も「お松明」と「声明」に会うために
修二会(お水取り)・本行の始まった二月堂へ向かう。
籠松明(12日)や満了日(14日)土日も避けているのに
近年は本当に人が多い。
これは「行」なので「お松明を待つ時間も大切」と
人がどんどん増えてくる風も冷たい中で
張り詰めた空気と時間を味わう。
「お松明」は11人の練行衆(籠もりの僧)が
一人ひとり二月堂へ入堂するために
階段を登る足元を照らす灯りだ。
童子と呼ばれる人が一人で持つ。
素早く箒で火の粉を掃く役目の童子も付き従う。
たしか1本60キロ、籠松明は80キログラムぐらい
と聞いた気がする。
その後、二月堂の舞台を火の粉を撒き散らせながら走る。
ここが童子さんたちの腕の見せ場?!と言えば見せ場だろう。
角に止まってお松明を振り回す。
この時見物の衆から歓声が上るのだ。
1日から14日まで毎日行われる。
12日の籠松明のみ11本。
後の日は10本。
参籠見舞いの時松明にするまっすぐに伸びた立派な
8、9メートルもある孟宗竹の確保が難しいと聞いた。
普通に考えてもそれだけで141本はいるのだから。
松明に使うヒノキや杉の葉を固定する藤蔓は
地中にあるものを使うらしい。
それでないと燃える火の中で持ち堪えるのが難しいのだろう。
それの確保も本当に大変だと思う。
京田辺の竹が使われているらしい。
1259回目の今年まで各地の
実に多くの人びとの信仰の心と熱意
熱く高い志と心意気とが支えているのだろう。
今年は階段横から登って行かれる練行衆の様子を
少し見ることができた。
燃える杉とヒノキの香りも何ともいえない。
「お松明」が終わると一気に人の波は引いていく。
これからが本番?!なのにもったいないことであるが
あれだけの人が二月堂に押し寄せると
どうにもならないのでこれで良い。
あくまでも1259年もの間途絶えることなく
続けられてきた「行」なのだ。
局に入る。
ここに入ると瞬く間に時間が過ぎる。
声明が重なり合うと一気に堂内の「気」が高まる。
今日は頭の辺りにしびれるような「圧」を感じる。
頭上の中心(サースララ)と眉間(アジナ)の辺り、、、。
僧の姿が少し見えるが
ここからはどんな行をしているかは見えない。
声明と沓(高下駄)の音、
五体投地の激しく板に体を打ちつける音
鈴の音、ほら貝を吹く音
激しく堂内を走り回る沓の音・・・
「気」が満ちてなんとも心地よく清々しい。
心根をしっかりと正される気もする。
毎年、もう十数年欠かさず
その時々でご縁のある人たちを誘って来ているが
きっと毎年ここで浄化され
大きなパワーを貰っているのだろうとあらためて感じた。