「国際アンデルセン賞」や「本屋大賞」受賞で今話題の上橋菜穂子氏の
「守り人シリーズ」をほぼ読み終えた
弱り目に祟り目の風邪が長引いているおかげだ
「精霊の守り人」を友人の医者にプレゼントされて初めて読んだのは
10年ほど前・・・
テレビのアニメの「獣の奏者」を偶然見て
珍しく面白い感覚だなあと原作者の名前は記憶のどこかに残っていた
読み進めるととても壮大な異世界ファンタジー
星読みの世界もとてもファンタスティックで
女用心棒バルサの活躍するハードボイルドな現実世界のワクワク感
それとあいまって同じ地に同時に存在するサグとユナグ・・・
パレレルワールドの存在感が実に上手く巧妙に描かれていて
とっても興味深かく面白かった
日本に「児童文学」の形を取ったこんなしっかりとした
大きな作品が生まれていたことにビックリもしたしとても嬉しかった
バルサやチャグム、タンダ、トロガイ、シュガ・・・
それに加えそれぞれの物語でまた魅力的な人々が様々な地が次々に登場し現れ
織物のように彩り豊かな模様を織りこんで絵を成し世界を広げ
創り出していく影響しあう平行宇宙の自然現象や天変地異等々
・・・守り人のシリーズはどれもワクワクドキドキ感とともに
心に沁み内なる世界を広げ充分に満たしてくれた
ケストナーも言っているように「8才から80才まで」が
楽しんで読める世界がこれも壮大な真の児童文学の世界
この年になっても惹かれ続ける世界観だ
本来はジャンルなんてどうでもいいのだが所謂大人のための
「文学」との違いは何かと言えば
子どもも対象としているだけに様々な制約や独特の手法もあるが
いちばんの根本は「生・生きることへの肯定感」が底流にある
と言うことだと思う
私が惹かれるのもそこなのだと感じる
「天と地の守り人」の3部作は文庫で読んだのだが
荻原規子氏と佐藤多佳子氏と上橋氏の対談が掲載されていて
その辺りにも当然ふれられていて興味深かった
対談が東日本大震災の直後に行われたこともあって作家としての真摯さや
今自分に問うているだろう姿勢等、緊迫感と共に伝わってくる気がした
「肯定を必死に考えて物語を紡いでいるような感覚が
きっと、私たちの共通点なのでしょうね」
上橋氏の言葉が子どもの頃からずーっとこの世界に
惹かれててきた私の心に沁みた
来し道に積み重なりし本の数幾万冊か共に歩みて
幾多のジャンルを超えてたくさんの本を読んできたが
文学作品において惹かれたり好きだったりする作家や作品の原点は
やっぱりそこにあったのだなあとあらためて感じた
国際アンデルセン賞・作家賞に充分値する作家や作品群が
この国に生まれていることはとても嬉しいしわくわくする
これからもこの国生まれの作品に注目していけること
その世界が広がったことが素直に嬉しい
最新の画像[もっと見る]
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 秋渡る風・・・信州秋旅2024<1> 12時間前
- 「神無月」考<2024>・・・秋の展覧会を終えて 1週間前
- 「神無月」考<2024>・・・秋の展覧会を終えて 1週間前
- 「神無月」考<2024>・・・秋の展覧会を終えて 1週間前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます