駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

忙しい五月

2010年05月19日 | 身辺記
 五月は忙しい。連休で休んだ付けが回ってくる。それに学校医の健診がある。どういうわけか、患者さんは休み前でなく休み明けに来る人が多い。これはあるいは地方によっては用意周到な人が多く休み前に混む所があるかも知れないが、まあ大抵の所は休み明けにどっとやってくるだろう。これが解消するのに一週間は掛かる。
 校医は七百七十人くらいの中学校を一人で診ているのだが、これが結構大変だ。八百人を超すと校医が二人になる内規があるのだが、もう一歩届かない。
 診察の仕方は学校の保健教務の方針に従い、黙々とやっている。最近は男子は裸、女子は運動着一枚のスタイルが定着している。男子が運動着を着ていた時期もあるし、女子が裸にタオルの時もあった。正直、こちらは診察しやすいのが一番だ。ただ女子の場合は診察しやすくても、裸に近くすると手間を取るので、今の運動着一枚で診察時少し挙げる方式がよい。二十年前に比べると生徒がおとなしくなった。十五年くらい前までは結構荒れていて、教師の怒鳴り声がよく聞こえた。それがだんだん学校らしくなり、生徒も教師の指導に素直に従い、学校のざわつきが減った。勿論教師の努力も大きいのだろうが、社会情勢と親の変化も関与しているだろう。
 帰り際、校長とお茶を飲むが今では私の方が校長より年上になってしまった。校長室にはまだ、五十年前の中学校の雰囲気が残っており、窓から校庭を見ながら歓談するのは楽しい。だいたい遠い昔、校長室では恐れ入っていたのが、校長に丁重に扱われる身になるとは面映ゆいことだ。どうも最敬礼されたりすると、たいしてあのころと中身は変わっていないのですがと、内心面目なく思いながら礼を返してお暇する。
コメント
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