目には見えねども・・驚かれぬると歌われたが、どうも聴覚が悪いのか、私は視覚でまず秋の気配を感ずる。どこがどう違うと言われても難しいのだが、おそらく光が微かに違うのだろうと思う。まだまだ蒸し暑いのだが遥かに見える山の端に秋の気配を感じながら、今朝は駅まで歩いた。
史上最強の棋士羽生が春から変調で一時は勝率五割を大きく割り込んでいた。なあにすぐに七割近くに戻すと見ていたが、五割には戻したものの足踏みをしている。生涯勝ち続けるのは無理と頭ではわかっていても、まだ四十半ばのはず、まさかこれが衰えの始まりと言うことはないだろうなと不安を覚える。
今たけなわの王位戦、五年前なら挑戦者を見て、木村じゃあと戦う前から羽生勝ちの感じがして詰まらなかったのだが、どうも今回の木村一基八段はハブに睨まれても臆せず善戦しており、結果も予断を許さない。羽生が長期スランプに陥っているか、それとも木村八段が強くなったのか。どちらも本当だろうと思う。
木村八段の解説はわかりやすく、正直でわけ隔てのない人柄を感じる。木村八段には千載一遇のチャンス、ぜひタイトルホルダーの栄冠をと応援したくなる。