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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

歓迎される客でありたい

2019年06月21日 | 身辺記

        

 

 今朝は曇っていたがちょっと蒸し暑く、不快指数の高い一日になりそうな予感がする。

 もう二十五年電子カルテを使っている。初めの半年くらいは画面を長時間眺めているせいか頭が重くなったが、今は慣れた。四半世紀経って世の中全体が画面を見つめる社会になり、パソコンの画面を見ていると頭が痛くなりますなどと言っていると仕事が見つからない時代になった。

 受付した患者リストが電子カルテの右隅に出てくるので、誰が診察に来たかがわかる。あれ久しぶりだなとか、また来た良くならなかったのかなと反射的に感想が浮かぶ。正直にいうと五人に一人くらいほっとするというか楽しい患者さん、十人に一人くらい困ったな嬉しくないという患者さんが混じっている。これを相性というのだと思うが、患者側からだけでなく医者側からも相性はある。ただ誰にも等しくを心掛けているので、顔には出さず普通に対応している。そのせいかあちこちで歓迎されなかった患者さんが集まってくる傾向があり、何人かの看護師に先生のところは変な人うるさい人が多いですねえと言われたことがある。それでも確か九十近い爺さんに気に入られ、Hさん今日は居ないのと言われながら優しくしてあげていたじゃないか。

 やりにくいうるさい患者さんも普通に対応しているとだんだんおとなしくなったりつっかかってくることが減るので、すごく困るというわけではない。要するに人間関係は双方向性なので、邪険にしなければ刺が引っ込んでゆくらしい。

 中には馬が合うというかお互いにやあやあと二言三言軽口をたたいてゆかれる患者さんも居られる。やや男性に多いのだが女性の患者さんにも楽しくほっとする方がおられる。特徴はあっさりしていて冗談がわかるということかもしれない。基調は信頼でこれは何も患者が医者に抱くだけのものではなく、医者も患者に感ずるものだ。

 こうした感覚は馴染みの店にも共通するもののような気がする。歓迎される客でありたいと思う。夫婦二人きりの生活だと相性の良い馴染みの店は家族に近い感覚になってくる。

コメント (2)
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