
日本再生と言っても日本が過去三十年間で経済的に過去九年では政治的にも落ち込んでいることを直視し深刻に受け止めなければなんのことか意味が分からないだろう。
都合の悪い憂鬱なことから目を逸らせば、その事実が消えるわけではなく日本のGDPは低下し所得は上がらず国際競争力は韓国に追い抜かれるほど低下しているのが現実なのだ。アベノミクスは掛け声ばかりで庶民の給与は上がらず、IT産業バイオ産業金融産業振興策は上手くいっていない。
安倍菅政権は権力維持のためにそうした事実を糊塗し、岸田総理は新しい資本主義とか言いだしてまたも目を逸らさせようとしている。
アメリカ在住だった日本再生のためのプランBの著者はそれを見透かすことができた。著者の兪炳匡氏は大阪に生まれ北大の医学部を卒業後医療経済学に興味を持ちハーバード大学で学びカルフォルニア大学で教鞭をとった後、日本の落ち込みぶりが見ておられず何とか助けたいと帰国した人である。一部の人は兪炳匡という名前だけでアレルギーを起こし全く耳を貸さないだろうが、本の内容は極めて示唆に富んでいる。氏がプランAと名付けたIT産業バイオ産業金融産業を政府の肝いりで推進する政策は手遅れでもはや上手く機能せず、今は氏がプランBと名付けた1)予防医学関連職種雇用の創出 2)地方移住促進のための雇用を地方自治体地元の非営利民間団体が提供 3)北東アジア経済共同体の設立を進める といった政策を推し進めるべき時だと説いている。
ちょっと夢物語に聞こえる部分もあるが、現実を直視し猪突猛進ではない柔軟で斬新な政策を説いているところには耳を傾けるべきと読んだ。