駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

第四コーナーを回ると

2016年10月21日 | 人生

        

 今日は曇天だが、気象庁の予報に反し、まだまだ暖かい。二十分も歩くと汗ばんでしまう。

 駅までの道すがら、妙なことを思い出した。小学校3年くらいだったか海水浴に行った時、道端の店で餡コロ餅を食べさせてもらったことがあった。それこそほっぺたが落ちるほどおいしかったのだが、翌年行った時は父はその店を通り過ぎ寄ることはなかった。ひょっとして後戻りするかなと期待したのも空しく、その年は餡コロ餅にありつけなかった。よほど残念だったらしく、今朝そんなことを思い出した。

 この頃思いもよらぬ昔のことが突然断片的に思い浮かんでくる。まあ、老化現象と言っては身も蓋もない。人生の第四コーナーを回ると視野が開けるのだと言っておこう。

 視野が開けたせいか、色んなことがよく見える?。オバマ大統領が合同記者会見の場で、トランプ氏に言及し「私の人生で、あるいは現代政治史の中で、投票が始まってもいない時点で、選挙やその過程に疑惑の目を向けた大統領候補など、一度も見たことがない。前代未聞だ」、「物事が自分の思うように行かなかったり、負けたりした際に他人を非難し始める人物には、この仕事に求められる素質はない」と述べたと伝えられている。

 全くその通りと思うが、それでもトランプは一定の支持を受けている。クリントンに魅力がないにしても、不思議な気がする。自分は悪くない悪いのは彼奴等だと言う主張に共感する人達が一定数居るのだろう。日本にも似たような政治家が居る。批判には非難で言い返す、俺は悪くない、悪いのは彼奴等だと。そういえば口から唾を飛ばして言い負けない悪ガキが居たなあ、栴檀は双葉より芳しい?。

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政治にも説明と同意を

2016年10月20日 | 町医者診言

           

 少子高齢化と言われはじめて久しい。その影響は色々なところに現れてきているのだろうが、第一線で診療に当たっている私は高齢者の医療と養護状況でそれを目の当たりにしている。様々な対策が打たれているはずだが、医療費は嵩み介護現場の環境改善は遅々としている。恐らく放置していたら、現況は守れて居らず、雪だるま式に医療費は増加し、介護現場は荒廃していた可能性が高く、漸増と僅かな改善に、政府行政の努力がそれなりに現れているのだろうとは思う。

 ことが起きてからという行政の後手対応と、財布の中身と相談しながら予算を組む政府としては、ぎりぎりのところかも知れない。しかし先手を打ち予防することが、効率的なことは確かで、国民の理解を得られる分析説明をして何とか先手を打つ必要があると思う。(中で珍しくと言っては失礼だが高齢者虐待防止法は比較的早期に成立し、ある程度効果を上げている。まだまだ十分には生かされておらず、医師も協力してもっと有効にこの法律を活用する必要はあるが)。

 民主主義と資本主義がどう絡むのかよく分からないが、政府には分かり易く予想される五年、十年、二十年後の状況を説明し、打てる手を示す義務があると思う。各党もスポンサーになって自党の政策を具体的に分かりやすく国民に知らせる番組を放送したら良いと思う。

 医療では情報開示が進み、希望があればカルテを開示し癌も告知し予後を解説するようになっている。それによって治療もやりやすくなり、患者さんも自分の命の主人公になれるようになっている。勿論、個人差があるので良いことずくめではないが、前に進んでいる。

 政治にも説明と同意を求めたい。手の内を隠して票を稼ぎ、票を得ると違うところに重点を移すようなやり方を拒否する智慧を持たないと間違いが起きる。誰もが智慧を持っている、ただ身近に感じないと智慧を働かせない人が多いと診断している。

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先輩が教えてくれたこと

2016年10月19日 | 医療

     

 暖かで穏やかな朝を出勤してきた。自分の医院だから出勤というのはそぐわないかも知れないが、八人の職員と相俟って医院を成立させているので、違和感はない。

 医学は科学だから日進月歩している。医療は科学ばかりではないが、社会が変わってきているから、病気の説明や患者に対する対応に変化がある。どちらにも、現役で診療しているから、追いついてゆかねばならない。正直に告白すれば、この頃追いつくのに息切れがし始めた。

 人間の能力そのものはこの百年否千年でさほど進化していないだろう。一人の人間が自家薬療中のものに出来る範囲には限界がある。そのために医学の進歩は細分化を伴う。

 細分化すると木を診ても森が診られない医師が出て来る。専門分野では優れているわけだから、高い評価を得て大学の教授や総合病院の部長になってゆく、それで良さそうだけれども、高度専門医療では抜け落ちる部分も出てくるし、費用が嵩む問題もある。どうもこの費用が嵩むというところが政府を刺激したらしく、浅いけれども幅広い知識と経験を持った医師を育てようという目論見が出てきた。出てきたと言っても、そうした考え方は三十年以上前からあり、手を変え品を変え徐々に形をなし始めたということのようだ。この一年病診連携から地域医療へという会合へ何度も出席させられている。これを県市学会医師会、それぞれでやるものだから、出席する方は、何だかこの前の講義や会議と似ているなあ、出席メンバーも重なっているなあと頭がこんぐらかってくる。「なんで、こんな似たような会をやるの」と疑問を呈すると、「これはB元会長の肝煎りですよ」と理事が教えてくれた。辞めたら大人しくしていて欲しい。どうして公職に就くと「私が企画した」などと業績を残そうとするのだろう。そういえばB元会長は外科出身だ。昔先輩が教えてくれた、「色々話を聞いて検査をして、よく考えて結局何もしない、これが内科の極意だよ」。屋上屋を重ねない智慧、手を出して複雑化混乱を招かない智慧を授けられたように思い出す。

 私としては広くて浅い診療も病診連携も地域医療も、二十五年前からやっている、そうした医師を忘れちゃあ困ると森の石松のような心持ちだ。

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変化にはエネルギーが必要

2016年10月18日 | 町医者診言

               

  今朝は好天で暖かい。日中は夏日になる地方もあると予想されている。不安定な天候に打つ手はなく、ありゃりゃと夏服を引っ張り出すよりない。

 昨日は本降りの雨に多少風もあり患者さんの出足は不調で、来院患者数は49人だった。月曜日としては少なく、二割五分減というところだ。高々十六、七人程度少ないだけでも、とても暇な感じがした。悪天候で二の足を踏んだ患者さんが、今日の好天で戻ってくるかと言えばそういうわけではなく、半数程度だと思う。明日明後日に来られる方も居る。そうしてなんだかんだといって、昨日来られなかった患者さんで出直される方は積算して八割り程度だろうと思う。医者に見て貰う前に回復した患者さんや他の医療機関に回られた患者さん、そして医者なんて面倒くさいと来月伸ばしにした患者さんで二割程度ではないかと目算している。勿論、きちんとしたデータがあるわけではありません。

 新潟で原発慎重派の知事が当選した。鹿児島、新潟とやはり地元では近接効果があり、動く人達が居るようだ。東京都の小池知事も何処かこれではいけないと変化を望む人の後押しがあったのだろうと思う。未だそうしたエネルギーがこの国に残っているとしたら、望みはある。イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ現象は賢明な動きではないかも知れないが、不満が大半としてもエネルギーの存在を示している。素晴らしはなくても、唯々諾々の無気力よりは数段明日を切り開く力を感じさせる。

 格差が広がる日本で心配されるのは、割を食らっている人達にエネルギーが感じられないことだ。これは市井の医者の大雑把な感覚に過ぎないが、当たらずとも遠からずだろう?、そこここにキラリと光る動きは認めるけれどもまとまった力とはなっていない。

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君知るや略語の意味

2016年10月17日 | 小考

     

 日曜の午前中はつかの間の秋晴れで、里山のドライブを楽しんだ。紅葉は未だなのだが、ススキが道端に繁茂し、間違いなく秋が来ていた。

 ただでさえ憂鬱な月曜日、今朝はそぼ降る雨の中をとぼとぼとやって来た。寒さは和らいでいるが少し風がありちょっと裾が濡れた。幸い着替えを要するほどではなく、風邪を引くことはないだろう。

 実年齢より若く見られることが多く、実際多少心身が若いのではないかと思っていたが、七十の声を聞いて急に老けた気がしていた。しかし、気を取り直して世間を見回すと、テレビラジオに元気な七十台は多く、身の回りにも七十半ばとは思えぬ元気な人も居る。勿論、六十を過ぎると個人差が大きく、お爺さんお婆さんとしか呼びようのない人も居られる。さあ、やりたいことをやらなくちゃと思いながら、幾つになっても悟る境地には程遠いと実感する。どうも悟るというのは無理だなあと悟ったというところだ。

 心房細動による脳塞栓を防ぐ新しい抗凝固剤をNOAC(Noval Oral Anticoagulant)と言うのだが、最近はDOAC(Direct Oral Anticoagulant)と変更になったらしい。どうも、憶えたと思ったら呼称を変えるというのは学会の悪い癖だ。肝機能検査のGOTGPTからASTALTの変更にも慣れるのに十年掛かった。こうした頭文字を取った表現、アブリビエイションは英語の世界では物凄く多く、どんどん憶えないと新しい話題について行けない。漢字と違い意味が類推出来ないから、知らないとちんぷんかんぷんで話について行けなくなってしまう。TPPなど最近はどうやら意味を理解してきたが、最初は何だか下痢をしてみんなが困るのかと妙な印象を持っていた。 

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